小山田壮平「時を超えてくるような不思議な歌が書けた」 セカンドアルバムでの手応え

2024.1.23
小山田壮平さんのセカンドアルバムは『時をかけるメロディー』。初のソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』から約3年。表題曲が生まれたことにより、アルバムができるという手応えが芽生えたという。
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「日常的に曲を作っている中で、2021年の10月頃にスタジオでギターを弾いていたら、『時をかけるメロディー』っていう曲のなんとなくのメロディと歌詞が出てきて。その後、いま僕が住んでる福岡市から実家がある飯塚まで車で1時間弱くらいなんですが、その往復の中でどんどん曲ができていった記憶があります。それで、“自分が落ち込んでいる時や悲しい気持ちになった時に気持ちを持ち上げてくれるメロディ”について歌っているんだと自分で気付きました。最高のメロディはどこかに存在していて、自分がそれにアクセスできる時を待っている感覚があるんです。そんなふうに時を超えてくるような不思議な歌が書けたので、『これはアルバムのテーマになるな』って思いました」

まるでヒーローのようにどこからかやってくるメロディ。そこに様々な記憶や思い出が付随し、蘇ってくる感覚があるかどうかが大事だそう。

「良いメロディに加えて、自分の時間とか、いろいろな側面が内包できていると『良い曲だな』という充実感があるし、単純に幸せな気持ちになれるんですよね」

ネパールを旅した思い出から生まれた「マジカルダンサー」や、沖縄でのゲストハウスでの一夜を描いた「月光荘」など、音楽を通じた交流が曲にとじ込められている。

「2018年にネパールを旅した時に日本人のダンサーとインド人のロイプラジャパティーくんという二人と仲良くなったんです。そのダンサーの踊りを観たり、一緒にダンスを踊る中で、『音楽とダンスは言葉や文化を超えていくな』って改めて思った時のことを書きました。踊っている人がいると子供たちも喜ぶし、世界中にいろいろな人がいるけれど、ダンスでコミュニケーションがとれる。『月光荘』は沖縄のゲストハウスに行った時のことを歌っているんですが、心が自由になれるような宴の音楽だと思います。アルバム全体を通して、生活の中でふと湧いてくる音楽の楽しさが詰まっていると思うので、ぜひいろいろな人に聴いてもらいたいですね」

曲を作り始めてから20年以上が経つ。年々曲を作るペースが落ちているのは、自分がOKとするラインが上がっているから。

「テクニックで書こうとすると、これまで聴いたことのあるような曲になっちゃうんですよね。そういう曲はボツにするので、新しい書き方を発見できた曲だけが残っているんだと思います。いつもとは違う場所に行くと、新たな気持ちになって曲が生まれやすいんです」

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2ndアルバム『時をかけるメロディー』。初のドラマタイアップ曲「恋はマーブルの海へ」を含む全12曲収録。【初回限定盤】2022年の弾き語りツアーのライブ音源を収録したライブCD付き。¥4,400 【通常盤】¥3,300(SPEEDSTAR RECORDS)

おやまだ・そうへい 1984年生まれ、福岡県出身。2007年、andymoriのボーカル&ギターとして活動開始。’16年からソロで弾き語りツアーをスタート。’20年、初のソロアルバム『THE TRAVELING LIFE』発売。

※『anan』2024年1月24日号より。写真・玉村敬太 取材、文・小松香里

(by anan編集部)