YOASOBI・Ayase「ヒット曲を作ろうとして作れるようなことってまずないです」

2023.12.24
2023年も多忙な日々を過ごした、YOASOBIのおふたり。コンポーザーであるAyaseさんは今年もたくさんのヒット曲を世に放ち続けてくれていたけれど、制作をしていない空き時間やオフの日はどう過ごしていましたか?
YOASOBI

「最近は空き時間があればパーソナルトレーニングと整体に通っていて、もうそれが全てと言っていいくらい(笑)。僕はYOASOBIにおける外交担当でもあるので、夜は出かけることが多いし、お酒も飲む。だから気を抜くと一瞬で太るし、そろそろ30代という意識もあって。今はかなり集中してトレーニングをしています」

『NHK紅白歌合戦』への出場や「YOASOBI ASIA TOUR 2023‐2024」など、年末年始もスケジュールが盛りだくさん。だからこそ体調管理は徹底しているという。

「今年はアリーナツアー(「YOASOBI ARENA TOUR 2023“電光石火”」)のときに体重が増えたこともあり、3週間くらい本気でトレーニングをしたら、7~8kg落ちました。食生活にも気をつけていて、最近では日々の食事も決まったものしか食べないほど。今がベストっていうくらい、健康的に過ごしています」

そのときの自分の“やりたい”を大事に。

2023年のBillboard Global 200の年間チャート「YEAR‐END CHARTS Billboard Global 200」で、「アイドル」はJ‐POPアーティスト初となるTOP50入りとなるなど、多くのヒット曲を生み出すことによりYOASOBIとして求められるハードルも高くなっているように感じる。そんななかでもAyaseさんが曲作りにおいて大切にしていることがあるという。

「曲を作れば作るほど、原点回帰する瞬間が増えている気がします。やっぱり制作中も演奏していても楽しいと思えることが大事だし、自信を持って作ること以外はもうないなと毎回思うんです。もちろんヒットする曲を作りたい気持ちはあるんですけど。ただヒット曲を作ろうとして作れるようなことってまずないです。だから結局は自分がナチュラルに楽しく音楽と向き合って、今やりたい音楽を突き詰めることが、YOASOBIにとっての正解なのかな。自分のそのときどきの思い出にもしっかり残る楽曲をちゃんと作っていきたいんです」

では、Ayaseさんから見て、ikuraさんの、この一年における変化は、どう感じているのでしょうか。

「ikuraの仕事や音楽に対する向き合い方は、昔からずっとリスペクトしていて。この一年でボーカリストとしてのパワーが完全に上がってるなっていうのは思いますね。僕はライブや曲作りにおいてはikuraがもっとこういうふうに歌えたら、もっとこういうこともできるかもねっていうアイデアは日々持っていたりするんですけど。最近はその想定すら超えてきている感じがします。『こんなパフォーマンスができるようになったんだ。だったら、こんなこともできるね』って、彼女の成長から僕のアイデアが生まれるように。もともといいボーカリストですけど、より磨きがかかってきたんです」

ikuraさんの成長とAyaseさんのアイデアの相乗効果。それは曲作りだけじゃなく、ライブでも発揮されているそう。

「ライブのステージでは僕は後ろにいるので、ikuraがいいパフォーマンスをしてくれるだけでテンションが上がるし、次のライブに対するアイデアやモチベーションにも繋がります。舞台演出の方たちとプランニングをしていても、ボーカリストに任せられる場面が増えると選択肢が増えるんですよね」

体も心も、健康的に音楽と向き合っていたいというAyaseさん。2024年の抱負も「楽しく生きる」と、実にシンプル。

「健康第一で、楽しく生きること。それが一番大事かなって思います。YOASOBIってこれまでも音楽に対する目標を明確に掲げてやってきたことって実はないんですよ。だから来年は絶対にこれをやるぞとか、僕に関してはないですね。何かのオファーをいただくとか、ヒットしたとか、何か受賞したとか、そうした全てのことは自分たちが頑張って何かをしたことに対してのリアクションだから。ヒットするために、受賞するためにやったんじゃなくて、結果そうなったという流れだと思っているんです。だから頑張った先のことを考えるより、今の自分自身が楽しいと思えることをやって、自信を持って作品をリリースしていく。そのためにはikuraと良い関係性でいて、チームのみんなのことを信頼して、自分が健康でいることも大事。最高の環境で音楽を作り続けるために必要なことに、ちゃんと一つひとつ注力していきたいっていうのは真面目に思っています。そのために僕は人間ドックにも行きますよ(笑)」

今や世界へと広がったYOASOBIに対する熱気の渦中においても、自分たちの曲作りの根幹を大切に、これからも活動していきたいというのがYOASOBIのスタンスなのだろう。

「そうですね。野望や目標みたいなものは、ふわっと思い浮かべておきながら(笑)、これからも、まずは目の前のことにちゃんと向き合い続けていきたいですね」

アヤセ YOASOBIのコンポーザー。全ての作詞・作曲を手掛けている。2018年からボカロPとして活動。LiSAや鈴木雅之ら数々のアーティストに楽曲提供などを行う。’22年より自身がボーカルを務めるソロ活動もスタート。

ブルゾン¥85,800 パンツ¥52,800(共にホロマーケット/スタジオ ファブワーク TEL:03・6438・9575) その他はスタイリスト私物

ヨアソビ 2019年に結成した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット。コンセプトは“小説を音楽にするユニット”。シングル『勇者』の〈完全生産限定盤〉(CD+巻物ブックレット)が発売中。

※『anan』2023年12月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・船橋翔大 ヘア&メイク・YOUCA プロップスタイリスト・松尾 優 森井耕作 取材、文・上野三樹 撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY

(by anan編集部)