知れば知るほど食べたくなる! 世界が注目する「和食」に迫る特別展

2023.11.6
今や外国人観光客の多くが「日本の最大の魅力」と答えるほど、世界中が注目している和食。その本質に迫る特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」では、日本列島の自然が育んだ食材や、人々の知恵によって生み出された技術、和食の成り立ちなどを、バラエティ豊かな標本や資料とともに、科学や歴史など多角的な視点から全6章で解き明かしていく。

知れば知るほど食べたくなる! 和食が進化した理由。

まず注目したいのは食材の豊富さ。食の基本となる水をはじめ、キノコ、山菜、野菜、海藻、魚介類と、恵まれた環境にある日本列島。この地がもたらす食材について、会場では実物大模型やレプリカ、標本などで紹介する。例えば、日本の野菜は実はほとんどが外国原産。その野菜がどうやって日本に渡ってきたのか、品種改良によってどれだけの種類が生まれたか、その系譜から驚くべき事実がわかる。また、昨今注目されている発酵の技術や、出汁についても、科学的な視点から解説する。

もうひとつ、和食の発展を知る上で重要なのが歴史。会場では卑弥呼や徳川家康など、歴史上の偉人たちの食卓を再現模型で紹介するほか、江戸時代のファストフード・寿司、天ぷら、そばの屋台も再現。さらに、古代から発展し続けてきた道具と料理人の技術、そして四季折々の風景と美しい料理の映像インスタレーションも楽しめる。未来へと続く和食の展望紹介も、見どころのひとつだ。

いつの時代も、日本の伝統食の基本にあったのはおもてなしの心。そんな心温まる事実を読み取ることができるのも本展の魅力だ。

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織田信長が徳川家康をもてなした本膳料理の再現模型 奥村彪生監修 御食国若狭おばま食文化館蔵
信長が家康に用意した宴席では5つの膳に24種もの料理が並んだ。

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奈良時代の貴族の宴会料理の再現模型 奥村彪生監修 奈良文化財研究所蔵
奈良時代の貴族の食事は米、海の幸、山菜など15品目も。

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多彩な地ダイコンのレプリカ(2020年の展示風景) 国立科学博物館蔵
日本に流通する代表的な大根の種類を紹介。各地に固有種も。

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マグロの実物大模型(2020年の展示風景) 国立科学博物館蔵
魚の多彩さは世界屈指。イワシからマンボウまで実物標本も。

特別展「和食~日本の自然、人々の知恵~」 国立科学博物館 東京都台東区上野公園7‐20 開催中~2024年2月25日(日)9時~17時(入場は閉館の30 分前まで) 月曜(12/25、1/8、2/12、2/19は開館)、12/28~1/1、1/9、2/13休 一般2000円ほか TEL:050・5541・8600(ハローダイヤル)

※『anan』2023年11月8日号より。文・山田貴美子

(by anan編集部)