アーティスト・ao、高校生になって作詞に変化が!? “言葉のチカラ”を語る

2023.10.6
小学6年生から作詞を始め、愛聴する洋楽の和訳を読むことが好きだというアーティストのaoさん。言葉と感情のインプットの仕方、そして現在17歳のaoさんにとっての“言葉のチカラ”とは?
Entame

小学6年生の時、歌手になるためのオーディションを受け、今の事務所に入ったaoさん。まもなく作詞・作曲を始めた。3曲目にできた「kekka」の歌詞には「仲間とバラバラになっても繋げてくれるのは言葉 Let’s say I’m not scary 私を変えてくれる言葉」というフレーズがある。初めて“言葉のチカラ”を感じた出来事を詞に反映したという。

「当時小学校高学年だったんですが、学校で女の子同士のいざこざが起きて、言葉が持つ攻撃力を人生で初めて感じたんです。当事者それぞれが言うことが違ったり、陰口が聞こえてきたり。それで真実を言葉にすることで自分にとって良い方向に導かれるんじゃないかなと思って書いた歌詞です。結局そのいざこざは解決に向かったので、『自分の言葉で発信することは大事なんだな』ということを知りました」

ストレートで等身大の歌詞は、幼い頃から愛聴する洋楽の影響が大きい。

「和訳を読むことが好きなんです。日本語詞と比べて和訳はストレートなので影響されていると思います。最初は小学校の漢字ノートに詞を書いていて、高校生になって『you too』の歌詞のモチーフになったお兄さんから『音楽活動頑張ってね』という思いを込めて誕生日にプレゼントしてもらったノートに書くようになりました。そのシリーズのノートは5冊目に突入しています。楽しいことも悲しいことも怒りも、感情が高ぶった時にノートにバーッて言葉を書きます。毎週日曜日に一週間で感じたことをまとめて書いていた時期もありました。言葉にすることで自分の気持ちとちゃんと向き合える。作詞は自分の気持ちを整理する時間でもあります」

遊び心を持ってメロディに言葉を乗せられるように。

音の響きに導かれるように英語詞と日本語詞が自然と混在していた歌詞が特徴的だったが、変化が起きている。

「1年ほど前にリリースした『リップル』くらいから日本語中心の歌詞を書くよう意識し始めました。音で楽しむというよりは、言葉で伝える大切さや面白みに興味が出てきました。作詞を始めてから5年ぐらい経ちますが、やっと遊び心を持ってメロディに言葉を乗せられるようになってきた気がしています。以前は『このワードを使いたいな』と思ったら瞬間的に歌詞に取り入れることが多くて、一曲にまとめる時に大幅に書き直すことも珍しくなかったのに、最近は直すことが少なくなりました。パナソニックさんのCMに書き下ろした『Unveil‐Reborn』の歌詞は、自分の中から出てきた言葉をそのまま詞にしていったら一曲できた。どんどん作詞が楽しくなってきています」

高校生になったことも作詞に影響しているそうだ。

「中学生の頃は、人間関係に対する自分の痛みをわかってほしいという気持ちが強くて負のエネルギーで歌詞を書くことが多かったんですが、高校生になって環境が変わったことで、いろいろなことを客観視できるようになりました。俯瞰して、過去の自分の感情や『こんなことを思っている人がいるかもしれない』といったことを考えられるようになった。高校生活がすごく楽しくて、金髪にもなりました(笑)」

リスナーからの反応が一番のモチベーション。

幼い頃から読書が好きで、本から言葉のインスピレーションを受けることも多い。愛読書として挙げたのは辻村深月さんの『かがみの孤城』と、R・J・パラシオさんの『365日のWONDER ブラウン先生の格言ノート』。

「『かがみの孤城』は小さい頃に、祖母が贈ってくれました。心が繊細な人たちがいろいろな時代から集まってくるというストーリーなんですが、音楽活動を始めてから読み直した時に、私の活動に似ているなと思いました。広い世界にポンッと放った曲をいろいろな場所から、いろいろな思いを持った人たちが聴いてくれる。そう感じたことでより好きな本になりました。『格言ノート』には365個の格言が載っていて、読みながら『今日はこの格言をモットーに生きてみよう』と思って過ごしていました。本を読むことで新しい単語がインプットされますね。ただ、感情のインプットは映画の影響が一番大きいと思います。最近観た映画でぐっときたのはNetflixで観た『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』です」

リスナーから歌詞についての反応を直接もらうことがままある。とても嬉しそうに、こんなエピソードを教えてくれた。

「今年『ENCORE』という楽曲をリリースした時に、曲を聴いてくれた方がすごく長い文章をDMで送ってくれたんです。『私はすごい歌手に出合えた』とか『想像できない曲を聴かせてくれた』ということが書かれていて、『共感してくれた人がいた。この曲を作って本当によかった』と強く思いました。リスナーの方から反応をいただけることが音楽活動の一番のモチベーションですね」

アオ 2021年、15歳の時に「Tag」でメジャーデビュー。’22年、Spotifyが選ぶ活躍を期待する次世代アーティスト「RADAR:Early Noise 2022」に選出。最新作はCMソングとしてオンエア中の「ENCORE」。現在放映中のハーゲンダッツとパナソニックのCMソングも担当している。

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※『anan』2023年10月11日号より。写真・Nae.Jay スタイリスト・岡本さなみ ヘア&メイク・灯(ROOSTER) 取材、文・小松香里 撮影協力・スタジオ バスティーユ

(by anan編集部)