花村想太「全盛期で動ける間に、全力を注ぎたい」 Da-iCEの“今”を築いた“SCENE”を語る

2023.6.25
一昨年に「CITRUS」が大ヒットを記録。そして昨年の「スターマイン」で、実力が本物であることを証明してみせたDa-iCE。新アルバム『SCENE』にちなんで、“今”そして今を築いた大切な“シーン”を5人がそれぞれ語ります。
2353 Da-iCE

花村想太「グループ活動を第一に、もっと大きくしていきたい」

daice1

昨年秋の『ジャージー・ボーイズ』に今年春の『RENT』に、ここしばらくミュージカルのお仕事とDa-iCEの活動を並行しているような状況です。そのため楽曲制作に使える時間が以前よりも限られてしまっている、というのが正直なところ。ただ、忙しいぶん、お仕事からインプットできることも多く、その時に感じたことを曲にしよう、みたいなモチベーションにはなっています。

個人の仕事をしていると、グループに戻った時にいい影響を感じることもよくあります。例えば『ジャージー・ボーイズ』では、かなり高い歌唱力が必要とされる役を演じたので、そのレベルに達するために、ハードなトレーニングを積み重ねたんです。結果、格段に歌唱力が上がり、表現力もアップ。それはすごくDa-iCEのボーカルにも生かされて、大きな経験になりました。

今後は、お芝居という面では、ミュージカルはもちろん、映像作品にも挑戦したい。なかでも声優に興味があります。フィジカルだけじゃなく、いろんなジャンルのお芝居をやってみたいんです。ただ、難しいなと思うのが、個人の仕事が増えると、スケジュール的にDa-iCEの活動を止めざるを得ない場面が出てきてしまうこと。やっぱりDa-iCEは歌って踊るグループなので、全盛期で動ける間に、全力を注ぎたい。そう考えると今はグループでの活動を第一に、もっと大きくしていくことが重要かなと思っています。今年はロックフェスにも何度か出演させていただくので、そこで幅広い層の人たちに、Da-iCEのライブの良さみたいなものを感じてもらえると嬉しいですね。

僕は子どもの頃から歌を歌うことが好きで、そのきっかけは何だったんだろうと思うと、小学生の頃、家族みんなで毎週カラオケに行っていた“SCENE”が思い浮かびます。特に採点で初めて99点を取った時のことは、鮮明に覚えています。当時はたぶん採点システムが甘かったと思うんですけど、「歌うまいのかな?」と勘違いして(笑)。でも、もっと歌いたい、うまくなりたいって思うようになったのは、そのおかげかもしれません。

Q. メンバーと二人で旅行。誰とどこ行く?
大輝くん。わりと計画的なタイプなので、僕の代わりにいい感じのプランを立てて楽しませてくれそう。「次どうする?」みたいな空虚な時間さえなければ、インドアでもアウトドアでも何でも。ただ、泊まりは嫌です。家で寝たい(笑)。

はなむら・そうた 1990年8月15日生まれ、兵庫県出身。4人組バンド・Natural Lag、2人組音楽ユニット・UPSTARTでも活動。ミュージカル『ジャージー・ボーイズ』では主演を務め、文化庁芸術祭賞演劇部門新人賞を受賞。

和田 颯「グループのためにやれることは何でも挑戦したい」

daice2

僕の人生で忘れられない“SCENE”、それは2017年の武道館ライブでの光景です。ずっと立ちたいと願っていて、ようやく立たせてもらえた場所だったので。今でも鮮明に覚えています。ステージに出ていった時は、あまりの人の多さに「本当に自分たちのお客さん?」って疑った記憶があるくらい(笑)。最初のライブなんか、観客は10人でしたからね。自分としては、グループ結成時から今まで変わらず楽しくやっているつもりですが、それでも「CITRUS」がレコード大賞をいただいて、「スターマイン」がヒットするまでは、プレッシャーというか、焦りみたいなものはあった気がします。やっぱり、みなさんに知ってもらえている曲があるという安心感は大きいですね。ここ数年はYouTubeの「THE FIRST TAKE」で曲を聴いてくださる方も多いので、それをフックにDa-iCEの魅力をもっと知ってもらえたら嬉しいです。「こんなに踊れるグループなんだ!」って。

最近はソロ写真集を出させてもらったり、洋服のブランドをつくったり、俳優として活動させてもらったり、ありがたいことにソロのお仕事も充実しています。特に俳優業は、いろいろな人と知り合えるし、現場を見ているだけでもすごく勉強になります。当たり前ですけど、音楽活動とは全然違うんです。ダンスの振りはすぐに覚えられるのに、セリフが全然覚えられないのが今は悩みです(笑)。なので、作品に入っている時はずっと台本を読んで、自分のセリフだけを録音したり、カラダを動かしながら覚えるようにしています。そうやってソロで活動しているあいだも、もちろん「Da-iCEを背負っている」という意識は忘れていません。ごくたまに、俳優としての和田颯からDa-iCEを知ってくださる方もいるので、グループのためにやれることは何でも挑戦して、もっと前に出ていけたらいいなと思います。ちなみに今はギターを練習中。写真集のイベントを開いた時に弾き語りを披露したら、ボロボロだったのが悔しかったので…。ダンス、洋服、演技、そしてギター。“全部できるようになりたい精神”で頑張ってます。

Q. メンバーと二人で旅行。誰とどこ行く?
ファッションが好きなので、大輝くんと洋服屋めぐりをしたいですね。NY、パリ、ロンドン…スウェーデンにも行きたい! きっと大輝くんがショップからごはん屋さんまでリサーチしてくれると思うので、僕はついていくだけでOKです(笑)。

わだ・はやて 1994年2月3日生まれ、群馬県出身。パフォーマー、俳優、モデル、ラジオパーソナリティ、アパレル業などマルチに活動。昨年には自身がプロデューサーを務めるアパレルブランド『how』を立ち上げた。

岩岡 徹「ファンの方と会うことで僕もパワーをもらえるから」

daice3

「CITRUS」が注目されて以降、僕らの楽曲が、今までよりも多くの人に認知され、たくさん聴いていただいているのを実感しています。ただ、自分としては特にそこでの変化はなく、これまでもこれからもやることは変わりません。結成10年以上ですからね(笑)。ただ、コロナ禍での変化はありました。僕らはこれまでDa-iCEとしてライブ活動を大事にしてきたけれど、それが思うようにできないという状況になって、あらためてファンの方と会える場というのが自分にとってどれだけ大事なものかを強く再認識したんです。以前から、ライブより近い距離感で交流できる場所を作りたいという想いはありました。大きなライブではどうしても双方向のコミュニケーションは難しい。対面することで、僕もパワーをもらえるし、みなさんに元気を与えられることもあるはず。今年の頭ぐらいから小さい規模であちこち回れるようなイベントを、少しずつやり始めています。普段のライブでは、各地を訪れてもライブをやるだけで帰ることが多いですが、全国には素敵なものがたくさんあるので、その土地の魅力を堪能して何かの形で発信などもできればと思っています。

自分にとって忘れられない“SCENE”というと、小学校時代、骨折してそれまで頑張っていたサッカーをやめなきゃいけないかもしれないという時に、家のテレビでふと目にしたKinKi Kidsさんです。たしか「愛されるより 愛したい」を歌ってたんですが、めちゃくちゃカッコいいなと思ったんです。その時に初めて、歌って踊る世界があることを知り、それがダンスを始めるきっかけになっています。もともとカラダを動かすのが好きだったのもありますが、始めてみたら自分に合ったのか楽しかったんですよね。でもじつはその後、高校受験や大学受験、就職…と、何度もやめてはまた始めてを繰り返しています。でも、Da-iCEというグループができるんだけどと誘われた時に思いきって飛び込めたのは、間違いなくあの瞬間があったから。今もおふたりの大ファンですし、ダンスを諦めなくてよかったなと思います。

Q. メンバーと二人で旅行。誰とどこ行く?
誰とでも大丈夫だけれど、しいて言ったら想太かな。Da-iCEは全員が海鮮好きなんですが、特にお寿司が好きなイメージがあって、僕もお寿司好きなんで、金沢とか瀬戸内海とか北海道とか、美味しいお寿司屋さんを巡る旅がいいですね。

いわおか・とおる 1987年6月6日生まれ、千葉県出身。俳優としての活動のほか、昨年、OPENREC.tvで「岩岡徹チャンネル」開設。今年、自身ディレクターを務めるライフスタイルブランド『COMFY』を立ち上げた。

大野雄大「ストリートライブで親の顔を見た時はジンときました」

daice4

ここ数年で変化を感じるのは、「カラオケの履歴にDa-iCEの曲が入っている」ということですね。僕はカラオケに行くと、リサーチも兼ねて絶対に履歴をチェックするんですけど、2021年頃から自分たちの曲名を見かけるようになって。曲は「CITRUS」や「スターマイン」が多いですが、たまにそれ以外の楽曲が入っていると、「ちょっとは僕らのこと知ってくれているのかな」と嬉しくなるし、逆に「どんな方が歌ってくれたのかな」と想像したりもします。そうやって少しずつグループの認知度が上がっていくことにプレッシャーが全くないと言えば嘘になりますが、焦りはありません。何より今回リリースした『SCENE』というアルバムが僕は大好きなので、今はツアーも含め、早くみなさんに届けたいという気持ちのほうが大きいです。

忘れられない“SCENE”でいうと、思い出すのはストリートライブをやっていた16歳の時です。もともと僕はサッカー選手に憧れていて、高校もサッカー推薦で入ったものの、いろいろあって挫折してしまって。そんな時に、「歌をやりたい」と思い始めたのですが、親は大反対だったんです。「そんなに甘い世界じゃない」って。ケンカして、1か月くらい家出したこともありました。でもある時、地元の近くの駅でストリートライブをやっていたら、遠くの柱から少しだけ親の顔が見えたことがあって。どうして来たのかもわからないし、特にお互い話しかけることもなかったけれど、その時はやっぱりジンときましたね。ただ“見に来てくれた”っていうだけで嬉しかったです。

自分の中で今最もアツいこと…音楽活動もそうなのですが、やっぱり今年はトラフグの釣れる期間が長かったことですかね(笑)。例年は春先から1~2週間しか出られない釣りなんですが、今年は1か月以上釣れたので、かなり激アツでした。船宿で毒を抜いてもらい、ヒレは乾燥させてヒレ酒にしたり。それをいただく瞬間が最高で。シンガーとしてはもちろん、釣り関係のお仕事も引き続き力を入れていきたいです。

Q. メンバーと二人で旅行。誰とどこ行く?
二人かぁ。それなら、上二人(岩岡さん、工藤さん)のどっちかと沖縄に行きたいですね。僕、年上をイジるのが好きなので、からかい倒したいと思います。のんびり1か月くらい、食べて、飲んで、寝て、起きて…復帰できなくなりそう(笑)。

おおの・ゆうだい 1989年4月1日生まれ、愛知県出身。2019年よりシンガーとしてソロでも活動しており、昨年12月にミニアルバム『A Singer』をリリース。個人ではcookpadLiveで料理配信や、釣り番組にも多数出演。

工藤大輝「ダンスボーカル的ではない曲など、制作がより自由に」

daice5

最近、Da-iCEでやりたいことと求められることが一致してきて、楽曲制作がやりやすくなったような感じがします。僕たちはいわゆるダンスボーカル的な曲も好きなんですけど、もともとJ‐POPとかもよく聴いていて。「CITRUS」以降だと思いますが、ダンスボーカル的なアプローチ以外の曲もやろうよという空気になってきて、その後、自作曲の「スターマイン」で結果を残せたことで、自分たちのやりたいことに確信が持てたというか。それを経て今回のアルバムは、曲作りの自由度がより上がった気がします。

僕はほかのアーティストの方にも楽曲提供をすることがありますが、Da-iCEにも“楽曲提供をしている”という意識が強いんです。ボーカルの二人に合う曲を作るという前提で、一歩外にいる感覚は常に持っています。とはいえ、Da-iCEには自分も参加しているので、ライブでこういう演出をやりたいからこういう曲を作ろうとか、アイデアと作曲が直結する。一方で、ほかのアーティストの方から発注が来た時は、その方の曲を聴いて、逆にこういうアプローチをしたらどうだろう、みたいなことを考えて作ることが多いですね。

個人的な近況で大きなトピックといえば、シンガーソングライターのclaquepot(※工藤さんの双子の兄という噂)がレーベルを移籍したこと。兄(!?)が好きなアーティストの方々が所属しているレーベルなので、コラボできる機会が増えそうな環境に行けて、すごく喜んでいます。僕がDa-iCEで作っているのがヒットソングっていう概念を狙う曲だとしたら、ある一定の層にアプローチするような楽曲が兄の持ち味。兄弟でもやっている音楽が全く違うんです(笑)。

これまでを振り返って、自分の原点といえる“SCENE”は、2007年頃、渋谷のクラブでダンサー兼シンガーとして活動していた時代。20歳ぐらいだったんですけど、そこで毎日かかっていた新しいヒップホップやR&BをDJの人に聞いて、記憶して、調べて…。その時に吸収した音楽やカルチャーが、今の自分の土台になっています。

Q. メンバーと二人で旅行。誰とどこ行く?
難しい~。誰か1人ですよね。雄大かなぁ。アウトドアをストレスなく一緒に楽しめるので。でもやめて、海外でもいいなら、颯と韓国に買い物旅行ですかね。ファッションの感覚が近いのと、「僕もそれ見たいです」って言いそうなのが颯だから。

くどう・たいき 1987年6月28日生まれ、北海道出身。パフォーマー兼リーダー。作家として他アーティストへの楽曲提供やラジオパーソナリティ、アパレルブランド『ITEM』クリエイティブディレクターなど幅広く活動。

ダイス ツインボーカルが魅力の5人組男性アーティスト。2011年に結成し、’14年にメジャーデビュー。’20年にリリースした「CITRUS」で、翌’21年の第63回 輝く!日本レコード大賞では大賞を受賞。’22年の第64回には「スターマイン」で優秀作品賞も受賞。ニューアルバム『SCENE』は好評発売中。現在、全国6都市12公演を巡るアリーナツアーを開催中!

※『anan』2023年6月28日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・森田晃嘉(MiNTSS) ヘア&メイク・宮川 幸(P‐cott) 速水昭仁(CHUUNi) 取材、文・保手濱奈美 瀬尾麻美 構成、文・望月リサ

(by anan編集部)