【陰陽五行】季節のプチ不調を解決! 春に食べたい“旬食材”とは?

2022.4.9
ポカポカ陽気がうれしいシーズンの到来! けれど、季節の変わり目になると、イライラしたり、疲れやすかったり、プチ不調が出やすいというお悩みも多い。

体が喜ぶ“陰陽五行”的な旬の食材選びで、心も健やかに。

「人間の体には、季節によって出やすい心身のトラブルがあるんです。春は心が揺れやすかったり、夏は疲れやすかったり…。そこでおすすめなのが、“陰陽五行”的に旬の食材を意識して食事を楽しむこと。きちんと食べながら、ストレスフリーに健康的な心身をキープできます」(鍼灸あん摩マッサージ指圧師・橋爪佐和子さん)

陰陽五行とは東洋医学の考え方で、食生活に取り入れることで心身が整う効果があるとされる。

「自然界のものはすべて、陰と陽という2つの相反するエネルギーと、木(もく)、火(か)、土(ど)、金(こん)、水(すい)、の5つの要素によって構成されているという考え方に基づきます。陰陽五行説では、この“陰陽”と、“五行”(木・火・土・金・水)が、お互いの性質を助け合ったり、打ち消し合ったりすることで、あらゆるバランスを保っていると考えられています。自然界の食べ物も陰陽五行説にのっとって、食材の組み合わせで効能をアップさせ、健康を増進させることが可能。旬の食材や調味料を組み合わせることで実践できる陰陽五行クッキングは、薬膳同等の効果が得られます」

どんな食材を食べればいいのかを知る手がかりが、陰陽五行説に基づいた、“五味”と“五性”。

「食材の味は、酸味・苦味・甘味・辛味・鹹味(かんみ)(=塩辛い味)という“五味”に分けられます。季節や体調によって味わってほしい五味は変わりますが、その味だけ食べればいいというわけではなく、バランスが大切。例えば、おにぎりなら、甘味のご飯に酸味の梅干しを具材にし、苦味のフキの漬物を添えれば、簡単にバランスのとれた食事になります」

“五性”は食材の性質を表す。

「体を冷やしたり温めたりする作用を表す“五性”は、寒性・涼性・平性・温性・熱性に分類され、季節や体調、体質に合わせて必要な食材を選ぶ目安になります。ほてったり暑い時は寒性(柑橘類や塩など)・涼性(トマトや豚肉など)を、冷え症や寒い時は温性(玉ねぎやしらすなど)・熱性(ラム肉や唐辛子など)の食べ物を選びましょう。また、温めることも冷やすこともしない平性(米やじゃがいもなど)の食物は、ほかの性質の調和を図ります。陰陽的には、温・熱性が陽で、寒・涼性が陰に分類され、平性は中庸です」

食材が持つ五味と五性を活かした料理を食べることで、季節のプチ不調にアプローチできる。

「春から初夏は、酸味と苦味のある食べ物を積極的に取り入れたい時季です。春は血流を調整している“肝”が高ぶって、血流が乱れがち。その高ぶりを鎮静させ、上昇した血を肝に戻す作用がある苦味のある春の食材の出番。同時に、肝を補う酸味のある食材も食べることで、寒さで冷えて代謝の落ちた冬の体を巡りのいい体へと切り替えやすくなります」

手軽に陰陽五行を体に取り込むならまず大切にしたいのは、食材の“旬”。

「陰陽五行的には、旬の食材はその季節に合った性質を持つものが多いので、旬のものを食べることで英気を養えるとされています。心身に不安を感じたら、まずは旬食材を食べること」(橋爪さん)

「旬食材は栄養価も高く、味も濃いので心身ともに満たされるはずです」(料理家・真藤舞衣子さん)

季節ごとに意識すべき味覚が違う!? 「陰陽五行」についてStudy!

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五行に沿った食材選びで健やかさUP。
陰陽五行の木・火・土・金・水それぞれの五行は、季節や味、感情、臓器などさまざまなものに当てはめることができる。例えば木に属するのは、季節は春、五味では酸味、五臓は肝など。そして季節によって出やすい心身の不調は、陰陽五行に基づいた食事で整えることができる。陰陽的にはバランスが大切なので、一つの食材だけを大量に食べ続けることはNG。食材の陰陽のバランスが極端に崩れると、体調不良を起こすことも。

春…肝のデトックスに最適。梅干しや柑橘類、酢など酸味があるものを。甘味や苦味と合わせるといい。

夏…巡りが停滞しやすい季節。体内の熱を冷ましてくれるゴーヤやみょうが、緑茶などの苦味がおすすめ。

土用…四立前の18日間の期間のことで、消化不良や食欲不振になりやすい。消化器官の脾に働きかける甘味が◎。

秋…体を温めて滞ったものを巡らせたい。肺にアプローチするにんにくや生姜、にらなどの辛味を。

冬…代謝を活発にしてアンチエイジングにいい時季。腎に効くあさりやいわしなどの鹹味がおすすめ。

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五行には、相手を生かす“相生”と抑制する“相剋”がある。
自然界に存在するものはすべて、木=植物、火=熱、土=土壌、金=鉱物、水=液体、の5つの要素によって構成され、互いに影響していると考えられている。図のように、木→火→土→金→水→木の順に循環し、木から火が生じるというように、次の要素を生む(=相生)関係と、木は土を、水は火を抑制する(=相剋)といった関係があり、自然界や人体は相生と相剋でバランスが保たれている。

春の旬食材

春は陽の気が上昇し始める季節。五行の面では血流を調整する肝が高ぶりやすいので、苦味のある食材と肝を補う酸味のある食材が◎。

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・かぶ…体内の熱を冷まし、炎症を鎮めてくれる苦味の食材。葉が色鮮やかでしなびていない、茎の付け根が淡い緑色、皮が白くてハリがあるものを選ぶ。持った時に重みがあるかぶは、水分がしっかり詰まって新鮮な証拠。

・そら豆…冷やす性質と温める性質を調和する偏りのない性質である平性の食材。解毒作用に優れ、むくみを取る効果。さやの緑色が鮮やかで艶のあるものが新鮮。鮮度が落ちやすいので、買ってきたらすぐに調理すること。

・新玉ねぎ…疲労回復に効果的な食材。通年出る玉ねぎに比べ、辛味が少なくみずみずしいのが特徴。重みがあって皮にツヤがあるもの、カビや傷んでいるところがないかチェック。水分が多く傷みやすいので冷蔵庫で保存を。

・セロリ…体の熱をゆっくりと冷ます涼性の食材。ほてりやのぼせに効果的。筋が縦にくっきりと入っているもの、茎の部分が肉厚、切り口に穴がないものを選ぶ。葉と茎は分けて、野菜室で立てて保存すると長持ちする。

・あさり…旬は春と秋の2回。鹹味の食材。春に摂りたい苦味や酸味と組み合わせるとバランスがよい味。あさりの殻の縞模様が3~4本くらいのもの、平たい形のものが美味しいとされる。砂抜きは、3%程度の塩水で行う。

・しじみ…涼性の食材で、5月頃が旬。肝臓の働きを助ける。砂抜きは、バットの中にザルを置き、重ならないように並べ(吐き出した砂を再度吸い込むのを防ぐ)、1%程度の塩水をひたひたくらいまで入れ、2~3時間放置。

・初ガツオ…春にケアしたい、肝をいたわる旬の食材。5~6月に出回る初ガツオは、脂が少なく淡泊な味わいが特徴。水っぽくないもの、きれいな赤みがかった身の色が新鮮さの目安。足が早いのでその日のうちに食べたい。

橋爪佐和子さん 鍼灸あん摩マッサージ指圧師。鍼灸師だった祖父の影響で、幼少期から東洋医学や自然療法の知恵に触れて育つ。中国発祥の陰陽五行説に基づいた、体を整えてくれる季節の食事方法にも精通している。

真藤舞衣子さん 料理家。旬の食材を活かしたシンプルで洗練されたレシピが好評。料理教室、レシピ開発など幅広く活躍中。『大人のおしゃれ手帖特別編集 発酵美人になりませう。』(TJMOOK)など著書多数。

※『anan』2022年4月13日号より。イラスト・はらぺこめがね 取材、文・岡井美絹子

(by anan編集部)