NHK朝ドラ『スカーレット』の松下洸平 “八郎”が羨ましい理由

2020.2.14
朝ドラ『スカーレット』の主人公・喜美子の夫で、誠実で優しい八郎役で注目度が急上昇中。演じる松下洸平さん自身も、“役のまんま”の真面目でちょっと天然(!?)な可愛い人でした。

すべての会話が気持ちよくハマっていく感覚があった。

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古風で硬派かと思えば、唐突に肉食な一面を見せてくる。そんな八郎に翻弄された人も少なくないはず。朝ドラ『スカーレット』の八郎役で話題の松下洸平さんのことを知りたい。そんな声にお応えし、じっくりとお話を聞いてまいりました。

――朝ドラから一気に注目度が上がりましたが、今そんな状況をどう感じていますか? 

松下:僕自身は何も変わってないつもりですが、周りの環境が変わってきているのは感じています。こんな僕にお仕事をくださっていた演劇関係者や、ずっと応援してくださっていた方々への感謝はもちろん、今まで以上に演じることへの責任を感じるようになりました。

――戸田恵梨香さんとの掛け合いがとても自然で、どこまでが台本なんだろうと思っているんですが、アドリブも結構あるんですか。

松下:基本的には台本通りで、アドリブはほとんどないし、戸田さんとお芝居について話し合ったりもしないんです。ただ、ここまで演じてきて、お互いに好きな芝居のテンポや間合い、というものは理解できるようになってきていると思いますね。喜美子と八郎が出会ってからここまでの間に積み上げてきた年月って、言葉の出し方ひとつとっても表れてくるものだと思うんです。戸田さんも同じように考えてくださっているから、夫婦の掛け合いの部分がリアルに感じられるのかもしれません。

――ここまでに二人でお芝居をしていて、キレイにハマったなと思うシーンはありますか。
 
松下:
1話丸々15分間二人しか登場しない回があったんですが、あの回は、すべての会話のテンポやトーンが気持ちいいところにハマっていく感覚がありました。戸田さんに限らず他の方とのお芝居でも、『スカーレット』の現場はそういうことが多いですね。

――『あさイチ』にトークゲストで出演された回も拝見しました。共演者から語られる松下さんのエピソードが、真面目だけどどこか天然な八郎さんのまんまでしたね。

松下:近い部分はたくさん感じます。意外と八郎って不器用で…行き詰まった時に外の世界を見て刺激をもらって、それを創作活動に生かしていくっていうことができない人なんですよね。悩めば悩むほど、内側に向いてどんどん自信をなくしていってしまう。自分もそっちタイプなので、台本を読みながら、わかるなーって思って演じています。喜美子みたいに、休んだらええねん、やりたくなったらやればいいってさらりと言える人のことが羨ましいなと思ったり…。

――喜美子は天才肌ですからね。

松下:「すごい面白いもんできた~。見て見てハチさん!」って…無邪気に言われると、「(深く)ハァ~ッ」て…(笑)。でも、そんな喜美子の才能に誰よりも惚れ込んでいるのが八郎で、そこのリスペクトは変わらない。これから先、また作家同士の創作に対する考え方の違いが表面化してきますけれど…。

――今(取材時は1月中旬)、やきもきする展開が続いていますが…、これ以上は聞かないことにしておきます。

松下:じゃあ…(意味深な笑顔)。これからいろいろなことが起こりますが、とにかく多くの人に伝わるものがあればと思っています。誰しも大切な人がいるはずで、その人たちのことを思うきっかけにこのドラマがなれば嬉しいです。

――これもぜひ伺いたかったんですが、八郎さんは恋愛に対して古風な考えを持っているくせに、肉食男子だったりしますよね。松下さんはどうなのかな、と。

松下:え!? 僕ですか? (ちょっと困りながら)…八郎を見習いたいです(笑)。

――熱い目線で「キスはいつするんやろ?」と言った後に「俺も男やで」と続けてくるところが…。

松下:急にオスの部分を出してきますよね。付き合ってもない人のことを名前で呼べないとか、八郎って人はなんて堅物で愛おしいんだって思って演じ続けていたんです。そしたら急になんか…男の一面を出してくるから、誰より僕が一番びっくりしましたよ。

――松下さん自身も、いく時はいくタイプですか?

松下:いけっ…いけないです。あんまり。僕、あんまりガツガツしてないんで、相手が僕のこと、さほど嫌と思っていないだろうという確証がないと、いったりはできないし、八郎が羨ましいです。

連続テレビ小説『スカーレット』は、毎週月~土曜の8時~NHK総合にて放送中(再放送は12時45分~)。戦後まもなく滋賀・信楽にやってきた主人公・喜美子(戸田恵梨香)が、信楽焼の魅力に惹かれ、女性陶芸家として活躍していく様を描いた女性一代記。松下さんは主人公・喜美子の夫で、陶芸作家として活躍する八郎。夫婦共々作家として活動する喜美子と八郎だが、やがて創作に対する考え方の違いからすれ違うようになって…。

まつした・こうへい 1987年3月6日生まれ、東京都出身。‘08年にペインティング・シンガーソングライター、洸平としてCDデビュー。その後、数々の舞台に出演。‘18年に文化庁芸術祭演劇部門で新人賞を、昨年は読売演劇大賞優秀男優賞と杉村春子賞を受賞。5月22日公開の映画『燃えよ剣』に出演。また、4~5月にはライブの開催も控える。

ジャケット¥31,900 パンツ¥22,000(共にインターナショナルギャラリー ビームス/インターナショナルギャラリー ビームス TEL:03・3470・3948) その他はスタイリスト私物

※『anan』2020年2月19日号より。写真・小笠原真紀 スタイリスト・丸本達彦 ヘア&メイク・五十嵐将寿 インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)

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