189kgなのに50m走は9秒台!? ママタルト「ボケの動きは迫力が違うと思います」

2023.8.5
体重189kgの着ぐるみ級ボディがなんとも愛らしいボケの大鶴肥満さんと、神戸大卒の頭脳を生かした語彙力が光るツッコミの檜原洋平さん。大喜利ライブで出会いコンビを結成した二人は、キングオブコントやM‐1グランプリで準決勝まで勝ち進むなど、芸人として着実に成長中。看板フレーズである「まーごめ」を引っ提げてお茶の間にジワジワと進出しているママタルトの、規格外にBIGな可能性とその魅力の源に迫ります。

総体重、約270kg。太くて重たい漫才コンビ。

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――お二人はもともと別々のコンビだったそうですね。

檜原洋平:僕が前のコンビを解散した時に、芸人のZAZYから「次はめっちゃ太ってるとか、特徴のある人と組んだ方がええで」と言われたんです。その翌日に出た大喜利ライブに、大鶴肥満がいて。“ZAZYの導きや!”と思って、「俺が君を王様にするから一緒に組もう!」と熱弁を奮って誘いました。

大鶴肥満:その当時、別の相方とコンビを組んでいたんですが、解散を考えてた時期で。

――一緒に王を目指すのではなく、「王様にしてあげる」というスタンスだったんですね。

檜原:その頃『ONE PIECE』にハマってたんです。海賊王を目指してたエースっていうキャラクターが「俺は自分よりも王になってほしい人に出会ったんだ」と言って海賊の部下になったシーンに感動してた時期なので、「俺なら大鶴くんの体を生かしたボケをもっと考えられるぞ」と押し切りました。

――ネタ作りは檜原さん担当?

肥満:僕は基本的に“自分がやりたいお笑いよりも、相方のやりたいお笑いの方が強ければそっちで行こう”というスタンス。ひわちゃんの場合は大喜利力に圧倒されたので信頼してますね。

――結成後は順調でしたか?

肥満:賞レースの成績だけでいうと前年より落ちたことはないんです。緩やかに上がってる。

檜原:ただ、やっぱりバイトをしてた時期は体力的に大変でした。月50本ライブに出てもギャラが2万円ぐらいだったので、朝から晩までバイトするしかなくて。バイトとバイトの合間や休憩中にライブやオーディションを詰め込む生活でしたね。

肥満:忙しかったけど、アルバイトの仕事は好きだったんですよ。僕は金券ショップでひわちゃんはピザ屋だったけど、二人とも自分の店を1番にしてやるって気持ちで働いてました。

――大変だった時期に心が折れたりはされなかったんですか?

檜原:「ママタルトは面白いから大丈夫」って先輩方が褒めてくださっていたから、売れてなくても腐りはしなかったですね。

肥満:キングオブコントの準決勝に行ったのが5年目なので、「あり得ないスピードだからな」って先輩方から言われます。

――たしかに! 昨年から漫才協会に所属していますが、意識の変化はありましたか?

檜原:僕、自分のおばあちゃんとすごく仲がいいんですよ。なので、ご年配の方に観てもらう機会が増えてありがたいですね。

肥満:協会に入らなかったら絶対に会わなかったであろう芸人さんと会話できるのは、芸人冥利に尽きる感じがします。

檜原:72歳の東(あずま)京平師匠は、出番の時に昭和の歌やCMソングのイントロを歌って、お客さんに曲名を当てさせるんですよ。観客を楽しませる演芸って、漫才以外にもいろんなアプローチがあるんだなって感じます。

――ママタルトのドキュメンタリー作品『まーごめ180キロ』が劇場公開されたのも、かなり新しいアプローチですよね。

肥満:もともとは“まーごめ”をめぐるドキュメンタリー風の映像を撮って、それをひわちゃんたちが会場で見てツッコむ、映像ライブ用だったんです。

檜原:ライブ後に“大鶴肥満の知らなかった部分がたくさん見られてよかった”っていう反響をたくさんいただいて、映画館で流すことになりました。

――なるほど。次は檜原さんに着目した作品も作れそうですね。

檜原:今、撮ってるんですよ。少しフィクション寄りですが。

肥満:僕も『大鶴肥満の結婚前夜』っていう2作目を撮影中です。好きな人ができて破れる姿をずっと追っかけられていて…。

――人生がコンテンツですね。

肥満:そういう人生を歩んでいる先輩がクロちゃんさんしかいないから、何が正解かわからないまま模索しつつやってます。

――新時代を切り開くお二人から見て、今後どういった芸人さんが支持されると思いますか?

肥満:もう解散してしまったんですが、スタンダップコーギーさんっていうコンビの解散ライブがすごく面白かったんですよ。

檜原:途中からネタじゃなくて本音の言い合いになっていく感じの漫才が26分間続くんです。

肥満:そういう愚直なくらい人間味のある方が面白いと思う。

――人となりがポイント?

檜原:今は芸人がYouTubeとかでも自分のラジオ番組を持ってるから、それを聴くだけでどんな人かを知ることができちゃう。なので、そこからさらに引き込むくらい魅力の器も大きくないといけないのかなって。

肥満:不思議ですよね。SNSは短い方が流行ってるのに、お笑いはディープな方に行ってる。なので、大勢の目には触れてないけどコアなファンがいるっていう感じになってきてるのかな。

――お二人が芸人として目指すのはどんなスタンスですか?

肥満:僕は大勢の人に観てほしい気持ちが強いですね。『こち亀』の両さんが理想なので。

檜原:「おっ、まーごめ。最近、嫌なことがあったんだよ」みたいに、知らない人から声をかけられる街の人気者。芸人でいうと、オードリーの春日さんみたいな“スター”に憧れますね。

――そういった次世代のスターになるためのお二人の強みは?

檜原:大鶴肥満の類を見ない大きさ。芸人界で最重量ですから。

肥満:189kgだけど膝は痛くないし、50m走も9秒64。この体って、とんでもないんだなって(笑)。ボケの動きは迫力が違うと思います。

――檜原さんのツッコミも独特の魅力がある気がします。

檜原:僕は大阪の中でも方言がキツいエリアの出身なんですよ。その後神戸の大学に行って、東京で宅配ピザのバイトをしたら、聞いたことのない関西弁になって。それが独特な節だと評してもらえることはありますね。

――今後さらに売れたら生活もガラリと変わりそうですが、どんな芸人人生が理想ですか?

肥満:M‐1で優勝すると、3か月は眠れないっていうじゃないですか。そういう経験もしてみたいけど、3か月でいいかな。

檜原:忙しいと、大鶴肥満の色が悪くなっちゃうんですよ。去年も脚が紫色になった時期があって、僕がずっと揉んでたんです。なので、適度に休みを取りつつ楽しく働けたら幸せですね。

もっとママタルトを知りたい人はこちらをチェック。

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『ママタルト本物チャンネル』
“大鶴肥満の頭皮ツアー”や“料理好きひわらのこだわり満載「肉マシマシバーガー」が完成”など、二人のキャラが伝わるほのぼの企画が充実したYouTubeチャンネル。毎日更新。

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『まーごめ180キロ』
昨年のライブで上映され、劇場公開もされた“まーごめ”の全貌に迫るドキュメンタリー。「俺が泣きながらマック食って『うまい』と言っている映像が一部で話題に」(肥満)

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『ママタルトのラジオ母ちゃん』
お笑いラジオアプリ「GERA」で3年以上継続中の冠ラジオ番組。毎週木曜20時より最新エピソードを公開。「プロの芸人も投稿している大喜利コーナーがオススメです」(檜原)

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『芸人Boom!Boom! ママタルトのラジオまーちゃん』
音声プラットフォーム「stand.fm」で毎週火曜23時に配信されるラジオ番組。「ラジオを2本やってるので、話のネタがない時はくだらないケンカで時間を使いがち(笑)」(肥満)

ママタルト お笑い芸人。左・檜原洋平(ひわら・ようへい) 大阪府出身。右・大鶴肥満(おおつる・ひまん) 東京都出身。共に1991年生まれ。2016年コンビ結成。挨拶代わりの万能ギャグ「まーごめ」は、大鶴肥満の芸名の元になった大鶴義丹さんが浮気の謝罪会見で発した「まーちゃんごめんね」を縮めたもの。

※『anan』2023年8月9日号より。写真・岩澤高雄(The VOICE) ヘア&メイク・浜田あゆみ 取材、文・真島絵麻里

(by anan編集部)