日光を浴びない、耳が冷たい…自律神経が乱れて「めまいや耳鳴りを感じやすい人」の特徴と対策 #195

文・大久保愛 — 2023.1.13
中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生によると、これからの時期は、気温差が激しくなることから自律神経の乱れや血流低下が生じやすくなり、めまいや耳鳴り、だるさに悩む人が増えるのだそう。そこで愛先生が、自律神経を整え、血流を改善する簡単な方法を教えてくれます!

最近、めまいや耳鳴り、だるさに悩んでいませんか?

自律神経 セロトニン めまい 耳鳴り だるさ 改善 解消 対策 温活 方法 漢方 食薬

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 195


正月モードからようやくいつものリズムに戻ってきた頃でしょうか。集中力を取り戻し、テキパキと動いていきたいですよね。そんな中、1月の気候は寒くなったり、暖かくなったりとちょっと不安定です。ですが、これはまだ始まりです。2月、3月と気圧や気温の変化は今以上に大きくなっていくことが例年の傾向です。

これによって起こるのが自律神経の乱れや血流の低下。外を歩いていて耳が冷たいなと感じることはないでしょうか。耳周辺には体温調節を行う血管であるAVA(動静脈吻合血管)や心を落ち着かせる神経が密集しています。そのため、今の時期の気候の変化が、自律神経を乱し、私たちのやる気を邪魔してしまう耳鳴りやめまい、だるさを引き起こしてしまうことがあります。ということで、今週は気候の変化に負けないように自律神経を整える食薬習慣を紹介していきたいと思います。

今週は、耳鳴り・めまいなど自律神経の乱れ対策となる食薬習慣

最近、耳鳴りやめまいで悩む人の声をよく耳にします。毎年、寒い時期になると耳鳴りが増加していく傾向があります。まずは、首の太い血管を温めるマフラーや耳を覆う帽子などで防寒対策、冷えたカラダを温める入浴も忘れないようにしましょうね。

また、日照時間が短いことも自律神経の乱れに関係するので、毎朝しっかりと朝日をあびるように心がけ、生活リズムを正していきたいですね。そして、イライラしたり不安になったり、夜更かしをしてスマホをみることも自律神経を乱すので、調子の悪い人は、のんびりしながらリハビリのように正月から日常に戻していくことがベター。

また、漢方医学では、冬の耳鳴りは冷えによる『腎陽虚』、自律神経の乱れや血流の低下による『気滞血瘀』などと考えます。そこで、体を温め血流を促し、ストレスにも強くなるように『腎』をサポートしつつ『気や血』の巡りを解消していく食薬をとっていきます。食べるとよい食薬は、【シシャモの南蛮漬け】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食薬:シシャモの南蛮漬け】

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レシピはこちらです。

<材料>
タマネギ 1/2個(スライス)
人参   1/3個(千切り)
シシャモ 5尾
お酢   大さじ4
みりん  大さじ1
塩    お好みで

<作り方>
シシャモ以外の材料をポリ袋にいれ放置(A)。シシャモを両面焼いたら、Aにシシャモを加えつかるようにした状態で1時間くらいおいたら完成。

【シシャモ】

シシャモは、骨や頭、内臓まで丸ごと食べることのできるお魚で、『腎』の働きを支えるために役立つ食材です。冬に不足しがちなビタミンDやセロトニンの材料となる鉄やアミノ酸、ビタミンB群なども豊富です。さらに、集中力や記憶力もサポートするオメガ3脂肪酸も含んでいます。

【玉ねぎ】

『気滞血瘀』を解消するために役立つ食材です。血流を促したり、抗酸化作用や血糖値の上昇を抑えたりする働きもあるため、冬の不快症状やお正月太りなどの解消にも役立ちます。ツーンとする香りのもとアリシンは、シシャモのビタミンBの吸収をサポートしたり、代謝を助け疲労回復を促したり、感染症対策もできます。

シシャモは塩味が強いので、塩や醤油などの味付けが不要な便利な食材です。酸味と相性がよく、生臭さも消してくれます。

新年早々に不調を感じる人は、少なくはありません。無理やりやる気を振り絞らずに、生活スタイルや食事の見直しを行うことで、カラダの中から改善して根性論ではなく円滑にすごせるようにしていきましょう。
ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもがカラダに影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人のカラダも約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化とさまざまなものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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