年下彼との甘い生活は僅か数日間でした…幸せの絶頂から地獄に落ちた「30歳女性の哀れな末路」

文・三松真由美 — 2023.3.16
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、初対面で酔っ払いの年下イケメン男性を部屋に連れ込み、男女の仲になった30歳女性。ある日、彼が突然姿を消して音信不通に…。三松先生が対処法を教えてくれます!

信子(30)返信レスでお先真っ暗。いきなり消えた年下イケメン。

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【レスなひとびと】vol. 196


信子は、社員数10名ほどのシステム会社で働くエンジニア。今日は渋谷横丁で職場の送迎会だった。信子は会社で唯一の女性社員。店を出た路地で4統括マネージャーの山本岳さんが、中田アキラさんの肩に腕を回して言う。

「中田くん、そんなんじゃ愛しの信子さんに嫌われちゃうぞ」

「ちょっ、先輩、やめてくださいよ…セクハラっすよ」

中田アキラさんは、信子が好きらしい。でも、さえない雰囲気の中田さんを、信子は好きになれない。自分だって決してイケてるオンナではないけれど。

「じゃあ、失礼します」

山本さんたちが手を振る。

「のぶちゃ〜ん また来週ね」

のぶちゃんってなんだ、のぶちゃんって。提灯の下に立っている酔っ払い男性陣たちにうんざりしながら渋谷駅まで歩く。ときめく男性が職場にいないって残酷。

途中のコンビニでミネラルウォーターを買い、店を出た時、若い男の子とぶつかった。

「す、すみません…ぼく、酔っ払っちゃってて」

足元もおぼつかない様子の彼。信子は勇気を出して、買ったばかりのミネラルウォーターを差し出した。彼が顔をあげる。端正な顔立ち。信子の好きな韓国の男性アイドルそっくりだ。

彼は信子のジャケットの裾をつかんだまま座り込み、水を飲み始めた。しばらくして、口を開く。

「ありがとう、お姉さん」。

時刻は午前1時。渋谷にはまだまだ人がいるけれど、終電はなくなってしまった。

「あの、私タクシーで帰ろうと思うんですけど、大丈夫ですか」

「あ、そうですよね、すみません。実は僕…」

彼の名前はショウジ。20歳。地元の専門学校を出て、東京の美容院へ就職が決まったばかり。今日は上京前に家探しに来たものの、家が決まらず。しかもひとりで飲み過ぎてしまったと言う。

信子は思わず提案してしまう。
しかも大胆な提案。

「うちに泊まっていきますか」

危ない危ない。こんな危ないことしたことない。頭の中の理性が「そんなことしちゃダメ」と警報を鳴らす。

ゆきずりの男の人なんて、家に入れちゃダメに決まってる。でもイケメンなんだもん。

玄関。組んでいた腕をほどいて、ショウジはキスをしてくる。お酒臭い。でも、顔がきれいだからいいや。

初めてのディープキス。幸せな気分。そしてエッチ。わかってたはず。こうなることは。

信子はあんまし経験がないので痛かったけれど、真っ暗なおかげで体型もバレず、いい感じで終わった。

朝は彼にコーヒーを入れてあげた。無防備な寝顔がかわいい。

ショウジの家が決まるまで…ということだったけれど、信子にとってこの生活は夢のよう。いつまでもいてほしくて、メンズの部屋着や下着までそろえた。仕事は早めに切り上げて、自炊にも力を入れて。

でも、ある日、帰ったら…消えていた。

信子は、震える手でLINEを送る。既読がつかない。1分1秒が長く感じる。眠れない。

次の日も、その次の日も、彼のことが頭から離れない。仕事中、「LINE 既読つかない なぜ」「ブロック 確かめる方法」とググる。必死の形相だったのか、中田さんに恐る恐る聞かれる。

「あの、クマがひどいですけど何かあったんですか?」

なんちゅう聞き方するんだ。無神経男。もっといい聞き方、あるでしょうが。やっぱりショウジしかいないよ。お願い、返事して。ショウジとの未来しか考えられない。


【三松さんからのコメント】

信子さん、こんなことを聞きたくないかもしれませんが。

彼はなりゆきで信子さんと数日過ごしただけなのです。

家探し中で、ホテルに泊まるのもお金がかかるから、都合よく信子さんを頼った。“返信レス”がその証拠。ポジティブに「好みの男の子と数日過ごせてよかったな」と考えて、切り替える…のはなかなかむずかしいですよね。

しかし、このままでは、健康や仕事に支障をきたすことになってしまいます。この出会いのせいで、もともと持っていたものを失ってしまうと、負のスパイラルに迷い込みます。

中田さんにときめかないのであれば、自分から行きずりではない相手を探しに行きましょう。

信子さんは自分のことを「イケてない」と言っていましたが、そのせいで恋愛に踏み出せないのであれば、まずは自分ステップアップからです。

例えば、流行りの骨格診断やパーソナルカラー診断で、自分に似合うものを見つけてみるとか。動画で「@魅力的な笑顔」の作り方を研究するとか。ショウジさんとの出会いが、信子さんの考え方をギアチェンジさせてくれたと捉えるのが一番お得です。

「“返信レス”の相手に悩むあなた。ネチネチ待ち続けるより、返信レスの理由を予測することから始めよう。あ、うちに飽きたのか。あ、新彼女できたのか。あ、別れたいんやな等々。大人視点で捉えると次のアクションに移りやすい」

三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。


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