志村 昌美

韓国の国民的女優キム・ヒャンギも驚いた、シン・ヒョンスンの意外な過去「無謀だと反対された」

2023.11.18
大ヒットドラマ『愛の不時着』と『梨泰院クラス』の制作陣が生んだ、Hulu初のオリジナル韓国ドラマ『プレイ・プリ』。配信はスタートしたばかりですが、素顔を隠している女子大生と超人気アイドルによる“ワケありラブストーリー”は、すでに大きな注目を集めています。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。

キム・ヒャンギさん & シン・ヒョンスンさん

【映画、ときどき私】 vol. 617

平凡な女子大生でありながら、登録者数10万人を誇る「プリ」という名の人気覆面シンガーとして裏の顔を持つハンジュを演じるキム・ヒャンギさん。天才子役として活躍したのち、『神と共に』シリーズなどの話題作に数多く出演し、いまでは“韓国の国民的女優”とも呼ばれている存在です。

その相手役を務めるのは、天性のカリスマ性を持つ超人気アイドルのドグクを演じるシン・ヒョンスンさん。2020年カカオエンターテインメントが開催した新人俳優統合オーディションでは、5000倍もの競争率を勝ち抜いて優勝しており、華やかなデビューを飾った“ライジングスター”とされている若手の注目株です。

本作では、そんな2人が初共演を果たし、誰にも言えない秘密の恋が展開されています。そこで、役作りで苦労したことや知られざる一面、そして日本の好きな音楽などについて語っていただきました。

最大のミッションは、ギターの演奏だった

―今回はおふたりともドラマ初歌唱に挑戦されていますが、事前にどのような準備をされましたか?

ヒャンギさん この役を演じるうえで最大のミッションだったのは、ギターの演奏ですね。というのも、私はこれまで楽器を扱ったことがないんですよ。しかも、出演が決まってから撮影まで準備をする時間的な余裕があまりなかったので、そういう意味でもとても心配でした。

とはいえ、何とかしたいという思いは強かったので、撮影中でも休みがあればとにかく練習。おかげでいろんなコードを覚えましたが、「楽器を弾くというのは本当に難しいことなんだな」としみじみと実感しました。

―そんなことを感じさせない素敵な演奏でした。ヒョンスンさんも歌がお上手でしたが、もともと得意だったのでしょうか。

ヒョンスンさん 歌は前から好きでした。といっても、上手いかどうかはわかりませんが(笑)。今回は、ギターの練習だけでなく、歌もダンスもあったので、1つ1つをやり遂げるような気持ちで準備していました。僕としては、ゲームのステージを順番にクリアしていくような感覚でしたね。準備期間が短くて大変ではありましたが、そういうミッションを乗り越えるために、がんばって練習しました。

これからもっと素顔を知っていきたい

―共演してみて気が付いた相手の素顔や驚いたことなどがあれば、教えてください。

ヒョンスンさん 今回は撮影期間があまり長くなかったので、ヒャンギさんの意外な一面を知るには時間が足りなかったなと。なので、これから知っていけたらいいなと思っています。

ヒャンギさん 私もヒョンスンさんについてはまだまだ知らないことが多いですが、そのなかでも意外だなと感じたことはありました。初めてお会いしたとき、外見的なイメージが自分の気持ちを隠すことなくありのまま表現するタイプのドグクとぴったり合っているなと思ったんです。でも、実際のシンさんはすごく慎重な性格で、内気なところがある方なので、そこは驚きました。

ヒョンスンさん まさにその通りです(笑)。よく見ていますね。

強い憧れがあったから諦めずに続けられた

―さすがヒャンギさんですね。本作ではハンジュやドグクが自分のやりたいことに向き合う姿も描かれていますが、おふたりも夢を叶えるまでに苦労したり、周りから反対されたりしたことはありますか? 

ヒョンスンさん 実は高校生の頃、僕は太っていたんですよ。なので、演技をしたいと考えていることを話したら、周りから「そんな体型では無謀だね」と言われてしまったこともありました。しかも、僕は小心者で、人前に出るのも怖がっていたようなタイプ。それだけに、俳優を目指すことをみんなから疑問に思われていました。

ヒャンギさん そうだったんですね。

―とても意外な過去ですが、そんななかでも夢を諦めずに続けられたのはなぜですか?

ヒョンスンさん 俳優の仕事が楽しそうに見えましたし、とてもかっこよかったので憧れが強かったというのはありました。ただ、なかなか体重を減らせなかったので、痩せるまでが一番つらくて大変でしたね(笑)。

混乱した時期もあったけど、いまは演技が楽しい

―ヒャンギさんは23歳の若さにもかかわらず、キャリアはすでに20年ほどになりますが、その間にも挫折を経験されたこともあったのでしょうか。

ヒャンギさん 私の場合は、夢とは何かを理解していないうちから仕事をしていたので、ある意味それが長所であり短所でもあるかもしれません。ただ、まったく何もわからない状況のなかで、自分が得意としているものを周りが発見してくれたのは、ありがたいことだったなと感じています。

それでも、徐々に自我が芽生えてきたときに「俳優はあなたの仕事です」と言われるようになったり、周りから芸能人として見られたりすることに混乱してしまったことも…。演技が好きで俳優をしている自分と、芸能人として顔を知られている自分、そして日常生活をしている自分との間に“解離現象”のようなものが出てつらいと感じることもありました。でも、いまは演技をするのが楽しくてしょうがないと感じるくらい好きなので、これからも俳優を続けていきたいです。

日本では自分の計画通りに楽しんでみたい

―順調に見えていても、そういった思いも経験されていたんですね。では、日本についてもおうかがしますが、日本にまつわるエピソードはありますか?

ヒャンギさん 子どもの頃から休みがあると、日本にはよく遊びに行っていました。各地にある美術館を訪れたり、キレイな建物を見学したりするのが私の日本での楽しみです。あと、これはほとんどの韓国人に言えることですが、子どものころから大好きな日本のアニメーションや漫画を見て育ちました。

ヒョンスンさん 僕はまだ日本には行ったことがありませんが、実は行くつもりで計画まで立てていたことがありました。そのときは撮影と重なってしまって実現できなかったので、ぜひ日本に行って自分が立てた計画通りに楽しみたいです。

―ちなみに、どんなことをしたいと考えていたのでしょうか。

ヒョンスンさん まずはユニバーサル・スタジオ・ジャパンに行って、夕方は『深夜食堂』に出てくるようなお店で生ビールを飲みながらおいしいものを食べたいなと思っていました。計画の大半が、食べ物に関するものですね(笑)。

この作品を観ているときは癒しを感じてほしい

―とてもいい計画ですね。本作は音楽がテーマのドラマですが、いまハマっている音楽などがあれば、教えてください。

ヒャンギさん 私が最近よく聞いているのは、韓国の歌手ホ・フェギョンさんの「My Dear Love」とユン・ジヨンさんの「tomotomo」。あと、このドラマに出演することになってから聴くようになったのは、あいみょんさんの「マリーゴールド」や「ハルノヒ」です。

シンさん 僕は韓国の歌手OOHYOさんの「Dandelion」という曲を聴くと、とても癒されます。日本の曲だと、米津玄師さんの「Lemon」が好きです。

―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。

ヒャンギさん 私もみなさんと同じ働く女性として伝えたいのは、「健康で仕事ができるように、まずは体力をつけてください。そしてお互いに努力してがんばりましょう」ということです。それから、この作品でみなさんが癒しを感じていただけたらうれしいなと思います。とにかく、みなさん元気でいてください。

ヒョンスンさん このドラマでも描いているように、無謀な挑戦はしていいと考えていますし、挑戦する人を僕たちはいつも応援しています。『プレイ・プリ』を観ているときだけは、みなさんにとっての休息時間になったらいいなと思っています。

インタビューを終えてみて…。

とても穏やかで、癒し系のオーラを放っているヒャンギさんとヒョンスンさん。控えめで仲睦まじいおふたりの様子にも、思わずほっこりとしました。まだまだ若いおふたりですが、いろんな葛藤を乗り越えてきたからこそ、内に秘めた強さも感じたので、今後さらなる活躍を楽しみにしたいです。本作では、息の合ったやりとりをお楽しみください。

最高にキュートな2人から目が離せない!

心に響く音楽に乗せて盛り上がりを見せる秘密の恋だけでなく、笑いありドキドキの三角関係もありの王道ラブコメディ。不器用ながら夢にも恋愛にも一生懸命な2人の姿に、胸がキュンとなるこの冬オススメのドラマシリーズです。


取材、文・志村昌美

ストーリー

大学に通いながらバイトに明け暮れる日々を送っていた普通の女子大生ハンジュ。平凡で安定した人生を手に入れるために、大手企業への就職を目指して就活に励んでいる。しかし、裏では「プリ」という名前でカバー楽曲を SNSにアップし、顔も本名も年齢も隠したままひそかに歌手への夢を育んでいた。

いっぽう、人気グループ「セズ」のビジュアル担当“レビ”として活躍するアイドルのドグク。事務所との契約終了を控えて、ソロアルバムを出そうとしていた。そこで、プリに憧れていたドグクは、プリを捜し出すことを決意する。プリの正体を突き止めるため、ドグクは大学に潜入するが、2人は最悪な出会いを果たすのだった…。

続きが気になる予告編はこちら!

作品情報

Huluオリジナル『プレイ・プリ』
Huluにて独占配信中
https://bit.ly/49xKpjf