志村 昌美

チ・チャンウクが明かすウィ・ハジュンとイム・セミとの関係「こんなに違うのに仲がいいから不思議」

2023.10.27
さまざまなヒット作を輩出している韓国ドラマ界から新たに誕生した話題作といえば、現在ディズニープラス スターで独占配信中の『最悪の悪』。見どころ満載のクライムアクション・ドラマとして、大きな反響を呼んでいます。そこで、こちらの方々にお話をうかがってきました。

チ・チャンウクさん、ウィ・ハジュンさん、イム・セミさん

【映画、ときどき私】 vol. 609

1990年代の韓国を舞台に、江南と中国、そして日本の麻薬密売に関わる捜査の裏側をスリリングに描いた本作。ある犯罪組織に潜入捜査をすることになった田舎の刑事パク・ジュンモを演じているのは、『ヒーラー~最高の恋人~』などで知られ、"ロマンスの名手"として人気のチ・チャンウクさん(写真・中央)。対する犯罪組織のリーダーで元DJのチョン・ギチョルには『イカゲーム』で一躍ブレイクを果たしたウィ・ハジュンさん(左)、さらにジュンモの妻で麻薬保安官のユ・ウィジョンには韓国の実力派俳優イム・セミさん(右)が出演しています。

今回は、現場の様子や共演者が知る意外な一面、そして日本の好きなところなどについて、語っていただきました。

―前半で山場のひとつといえば、ジュンモとギチョルが初めて対峙するシーンですが、特にチ・チャンウクさんとウィ・ハジュンさんの表情や目の動きが素晴らしかったです。おふたりのなかでも、駆け引きなどがあったのでしょうか。

チ・チャンウクさん あのシーンに関しては、監督やアクション監督をはじめスタッフの方々が事前にいろんなことを計画的に決めてくれていました。なので、僕たちは現場であれこれ悩む必要はなく、感じたことを少しずつ入れながら修正を加えていくだけだったと思います。

本当に面白い構図で組み立ててくださっていたので、2人が対面する様子を最大限に表現することができました。そういったこともあって、個人的にはあのシーンの撮影がとても楽しかったです。

ウィ・ハジュンさん 実は、ジュンモとギチョルが初対面するシーンは、僕たちにとっても初めての撮影だったんですよ。

視線がぶつかり合い、強烈な映像を撮ることができた

―そういう状況も相まって、あの緊迫感が生み出されていたんですね。

ウィ・ハジュンさん 僕もチ・チャンウクさんと同じように特別な計算や準備をすることなく、ギチョルに入り込むことだけを考えて現場にいました。そのなかでも意識したのは、チャンウクさんの目をひたすらじっと見つめること。そうすることで、自然とギチョルになることができました。

あのシーンでは、お互いの視線がぶつかり合っていたこともあり、強烈な映像が撮れたと思っています。たくさんのことを学び、エネルギーをもらうことができたので、いまは撮影現場が恋しいです。

―そんなお二人の間にいたイム・セミさんは、現場で意識されていたことはありましたか?

イム・セミさん 男性のほうが多い現場でしたが、性別に関係なく、「同じ演技をする仲間」という感覚のほうが強かったので、むしろすごく楽だったなと思っています。今回、私は男性陣のようにアクションシーンに関わることはありませんでしたが、みんなにより近づきたいと思っていたので、自分が出ていないシーンでも現場には行くようにしました。

そうすることで自分も組織の一員であるかのような気持ちになれたので、それもよかったのかなと。俳優同士がお互いに心配りをし合えたからこそ、できたことは多かったと思います。

3人でいると、ケミストリーが生まれるの感じる

―なるほど。劇中では、イム・セミさん演じるウィジョンを巡って、3人が複雑な関係となりますが、普段のみなさんはいかがですか? 

チ・チャンウクさん 僕が感じているのは、どうしてこの3人はこんなにも性格が違って、すべてがバラバラなんだろうということです(笑)。

ウィ・ハジュンさん あはは! 

チ・チャンウクさん でも、それなのにこんなに仲がいいから不思議ですよね。

イム・セミさん 確かにそうですね。

チ・チャンウクさん 3人のなかで特に役割的なものはなく、一緒にいるだけでとても楽しいので、それによってシナジー効果やケミストリーが生まれているように感じています。

―素敵な関係性ですね。ちなみに、このなかで意外な素顔をお持ちの方がいれば、教えてください。

チ・チャンウクさん みなさんは僕たちの意外な一面というのが意外と気になるみたいですね(笑)。

ウィ・ハジュンさん これは結構よく聞かれることですよね。

チ・チャンウクさん みなさんがどう見ているのかわかりませんが、おそらくこの3人のなかだったらイム・セミさんが一番意外な面が多いんじゃないかな。というのも、どちらかというと物静かなタイプに見えるかもしれないですが、実はすごくアクティブ。マラソンをしたり、自然環境のための運動をしたり、さまざまな啓蒙活動にも取り組んでいるんですよ。人々にいろんなメッセージを伝えたいという情熱をすごく持っている方だと思います。

日本の伝統的な部分にも、興味を向けていきたい

―幅広い活動をされていてすごいですね。では、日本に対しての印象や好きなカルチャーなどについてもお聞かせください。

チ・チャンウクさん 日本といえば、僕はいつもアニメーションを楽しんでいます。あと、最近観た作品で面白かったのは、ドラマ『サンクチュアリ -聖域-』。ほかにも『ドライブ・マイ・カー』など日本にはいい作品が多いですし、一緒に仕事をしたい監督はたくさんいます。

イム・セミさん 私も日本のアニメーションが大好きで、宮崎駿監督の『となりのトトロ』を観たときには、「こんな世界があるんだ。なんて愛らしいんだろう」と夢見たのを覚えています。

ウィ・ハジュンさん 僕は世界的な監督である是枝裕和監督の『そして父になる』などが好きで、人間の描写が素晴らしいと感じています。いつか、そういった“人間の匂い”がするような作品でご一緒できる機会があればうれしいなと思っています。

チ・チャンウクさん あとは、やっぱりおいしいお店がたくさんあるところや気持ちのいいスパがあるのも魅力ですよね。僕は日本には旅行でもよく来ているので、いまやなじみのある国ですが、本当にいい印象を持っています。

ウィ・ハジュンさん 確かに、僕もおいしいお店がいっぱいあるところは好きですね。ほかにも、日本のストリートファッションがすごく素敵だなと思って見ています。

イム・セミさん それから日本には豊かな自然があるので、そういうところでキャンプをしたり、お散歩したり、日本的な旅館に泊まったりできたらいいなと。以前は、東京や大阪のような華やかでキラキラしている大都会を訪れることが多かったですが、最近は自然のほうに関心を持つようになりました。これからは日本の伝統的な部分にも興味を向けたいなと思っています。

ベストを尽くした作品を楽しんでほしい

―それでは最後に、ananweb読者に向けてメッセージをお願いします。

チ・チャンウクさん 今回、僕たちは『最悪の悪』という作品のために日本を訪れました。みんなでベストを尽くして撮った作品なので、みなさんにも楽しんでいただけたら、僕たちもうれしいです。

ウィ・ハジュンさん 日本のファンのみなさんと会うことができて、とてもいい思い出になりました。ぜひ、この作品を愛していただけたらと思っています。

イム・セミさん 信号ですれ違った人とでもいいので、「『最悪の悪』ってドラマ面白かったよね!」と言い合っていただきたいです(笑)。

インタビューを終えてみて…。

劇中では緊張感が張り詰める関係性にいる3人ですが、実際はとても仲が良く、和気あいあいとした雰囲気が漂っていました。お互いをリスペクトし合っているからこそ本気でぶつかり合うことができ、数々の名シーンが生まれたのも納得です。みなさんがいつか日本の作品とコラボする日が来るのを楽しみにしたいと思います。

過激でスタイリッシュな映像に魅了される!

圧巻のアクションシーンだけでなく、怒涛の展開と洗練されたストーリーで観客を一気に引き込む本シリーズ。交錯する人間模様のなかで、”最悪の悪“とは一体誰のことなのか。最後の最後までスリル満点で、目が離せなくなること間違いなし!


写真・園山友基(チ・チャンウク、ウィ・ハジュン、イム・セミ) 取材、文・志村昌美

ストーリー

1995 年、韓国から日本へ流れる麻薬密売の情報が入り、犯罪組織を解体するために韓国と日本が合同捜査に乗り出す。そんななか、田舎町の刑事ジュンモは、昇進のために江南連合へ潜入捜査することを決意する。

しかし、まさか自分と妻のウィジョン、そして犯罪組織のボスであるギチョルとの複雑な関係に踏み込むことになろうとは考えてもいなかった。逃れられない運命の輪に巻き込まれ、組織に深く入り込んでしまったジュンモは、次第に不安を募らせる。任務を完了したとき、彼らは元の生活に戻れるのか…。

衝撃が走る予告編はこちら!

作品情報

『最悪の悪』
ディズニープラス スターにて独占配信中
(全12話/初回一挙3話、4話以降は毎週水曜2話ずつ配信、最終週は3話一挙配信)
https://www.disneyplus.com/ja-jp/series/the-worst-of-evil/29IM2a96KyDP
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