圧が強すぎ…! 現代日本のトップアーティスト、大竹伸朗のパワフル展覧会
美術館が宇和島駅に…?!
【女子的アートナビ】vol. 269
『大竹伸朗展』では、1980年代初めにデビューして以来、絵画や彫刻、映像、インスタレーション、巨大な建造物など幅広いジャンルで多くの作品を手がけてきたアーティスト、大竹伸朗さんの作品約500点を展示。16年ぶりの大回顧展となります。
大竹さんは、1955年東京生まれ。武蔵野美術大学を卒業後、1982年に初個展を開催。その後、ドイツ・カッセルで開かれている世界最大級の国際美術展・ドクメンタ(2012年)や、120年以上の歴史を持つヴェネチア・ビエンナーレ(2013年)など、さまざまな国際展に参加。アートの島として有名な直島に多くの作品が展示されているほか、「東京2020 公式アートポスター展」にも参加するなど、半世紀近くもの長い間、多方面で活躍されています。
プレス内覧会に登壇した大竹さんは、次のように述べました。
大竹さん 本展は挑戦要素が多い展覧会で、今までにないものになっていると思います。世界は破壊が続いていますけど、モノをつくる力、つくりだすパワーを少しでも感じていただければとてもうれしく思います。5回ぐらい来て、見てください(笑)。
大竹伸朗展 2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館 展示風景より《宇和島駅》(1997年)
また、大竹さんは、美術館のテラスに設置された作品《宇和島駅》についてもコメントしました。
大竹さん 宇和島は、僕が制作拠点にしている場所です。宇和島駅が新しくなるとき、駅名の文字を廃棄するというので、納得がいかなくて入手しました。駅舎に乗って、ひとつずつ焼き切ったのです。東京国立近代美術館と宇和島駅が交差するのは、ある種のコラージュ。赤い色は僕が創造したもので、夜はライトアップされて見え方が変わります。
圧が強すぎ…! 7つのテーマで体感
大竹伸朗展 2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館 展示風景より 手前:《男》(1974-75年) 富山県美術館
では、展示の様子をご紹介。
会場では、テーマに合わせて7つのセクションに分けられています。ただ、テーマに沿って作品をつくっているのではなく、また、制作時代順にも並んでいないので、自分の好きなところから自由に見ていけばいいようです。
最初の展示室から、けっこう圧が強め。ちょっと怖い感じの人形のような作品が立っていたり、天井からぶら下がっていたりして、もし照明が暗いとお化け屋敷と思ってしまいそうな雰囲気です。
大竹伸朗展 2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館 展示風景より 手前:《スクラップブック #71/宇和島》(2018-2021年)
本展を担当された東京国立近代美術館の主任研究員、成相肇さんによると、大竹作品の特徴は「貼り付けること。貼ってからはがして、重ねて量を増やして密度を増していき、ほとんどの作品がコラージュ作品になっている」とのこと。その密度の濃さを体験してほしいそうです。
もっとも密度を感じられるのは、スクラップブックと題された作品たち。もはやスクラップブックの面影もないような、大きな塊です。
展示室に巨大な小屋が…!
大竹伸朗展 2022年11月1日(火)~2023年2月5日(日)東京国立近代美術館 展示風景より《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》(2012年)
本展でもっとも目を引く作品は、ドイツの国際展にも展示された《モンシェリー:スクラップ小屋としての自画像》。ネオンサインやトレーラー、ギター、巨大なスクラップブックなどが凝縮されたパワフルなインスタレーションです。
展示室の空間に巨大な小屋が置かれ、かなり迫力があります。小屋の中をのぞくと、いろいろなものが詰まっていて、こちらも圧が強め。音も鳴る作品で、大竹さんの集大成のひとつといわれています。
人気のニューシャネルも…!
また、本展はグッズも充実。大竹さんは、文字の作品も多く手がけていて、本展の「大竹伸朗展」という文字も今回の新作です。そんな「大竹文字」のひとつが《ニューシャネル》(1998年)。スナックの看板をモチーフにしてつくられたもので、Tシャツなどのグッズが大人気です。今回のためにつくられた新作グッズもあるので、ぜひ特設ショップものぞいてみてください。
本展は2023年2月5日(日)まで開催。その後、愛媛県美術館と富山県美術館に巡回予定です。
Information
会期 :~2023年2月5日(日)
休館日 :月曜日(ただし1月2日、9日は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)、1月10日(火)
会場 :東京国立近代美術館
開館時間 :10:00-17:00(金曜・土曜は10:00-20:00)(入館は各閉館時間の30分前まで)
※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください
観覧料 :一般 ¥1,500、大学生¥1,000、高校生以下および18歳未満は無料
お問合せ: 050-5541-8600(ハローダイヤル 9:00~20:00)