志村 昌美

千葉雄大と哀川翔が語る「僕たちが勝てない一番の誘惑は…」

2021.6.24
100年以上にわたって幅広い層から愛され続けている大人気キャラクターのひとつといえば、“世界一愛されているウサギ”と称されているピーターラビット。2018年に大ヒットを記録し、モフカワなピーターラビットと仲間たちが話題となった実写映画が3年ぶりに帰ってきます。そこで、最新作『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』で日本語吹替版を担当されたこちらの方々にお話をうかがいました。

千葉雄大さん&哀川翔さん

【映画、ときどき私】 vol. 390

千葉さんは前作に引き続きピーター役を演じており、哀川さんはピーターの父親の親友だったという新キャラクターのバーナバス役をそれぞれ演じています。今回は、作品を通して感じたことやお互いの印象、そしておふたりにとっての“誘惑”について語っていただきました。

―まず、2作続けて出演されている千葉さんから見て、『ピーターラビット』シリーズの魅力はどんなところですか?

千葉さん 前作同様に本作でも、『ピーターラビット』には風刺や少しブラックなところがありつつ、大人が見ても考えさせられるようなところがあるので、そういう世界観が僕はすごく好きです。特に今回は、哀川さんが演じるバーナバスの登場が“スパイス”となって新たな面白さが生まれていると感じました。

―哀川さんは初挑戦となった吹き替えでウサギ役というのは、いかがでしたか? 

哀川さん 役がウサギでも何でも俺は変わらないんだけど、今回は地下街のボスでピーターを悪の道に誘い込む役どころだったので、どこまでピーターを巻き込めるかというのがひとつのテーマでした。都会に住む動物たちも生きていくのに必死なので、その厳しさや相当な道のりを歩んできたんだなという生きざまみたいなものも見せられたらいいなと。あとは、そこにどこまで自分が入り込んでいけるかが大事かなと思いました。

―吹き替えならではの難しさに苦労したこともあったのでは?

哀川さん まずは、テンポの速さには驚きましたね。俺は普段話すのがそんなに速いほうではないから、そのテンポ感に合わせるのが難しかったです。それは俺が初めてバラエティ番組に出たときみたいな感じだったかな。

―周りが早くてついていけない感覚ということですか?

哀川さん そうそう。みんな速いから、初めて出たときは何も言えなかったよね(笑)。そこで、「あぁ、ゆっくりとかまえていられないんだな」と知りました。

疲れたときに観ると元気になれる

―現場によって、テンポ感はかなり違うんですね。千葉さんは、動物ならではの動きに声を合わせるために工夫されたことはありましたか?

千葉さん これは前作のときもしていたことですが、ピーターと同じ表情をしながら声を吹き込むようにしていました。今回は、歌うシーンとバーナバスに向かって行くところがかわいくて気に入っています。

―本シリーズへの愛着も人一倍あるのでは?

千葉さん それはありますね。僕は自分の作品をあまり見返さないほうなんですが、実は『ピーターラビット』だけはめちゃくちゃ観ています(笑)。特に、元気がないときや疲れたときに観るとすごく元気になれるんですよね。

哀川さん 確かに、前向きになれる作品だよね。今回なんてピーターはそんなに悪くないのにあんなことされちゃって……。普通だったらグレちゃうよ! 

千葉さん あはは!

―そうですね(笑)。では、お互いのイメージと実際に会われてみた印象を教えてください。

哀川さん もともと好青年だなと思って見ていましたが、イメージ通りでしたね。あと、好奇心旺盛でいろいろなことに興味を持っているような目をしているなと感じていた部分も、まさにその通りだなと。でも、そんなふうにテレビで受ける印象と実際が同じというのは、すごくいいことなんですよ。

千葉さん 僕たちの仕事だと、役がそのまま個人のイメージになることもあるので、難しいところはありますよね。

哀川さん 確かに、それはあるね。俺なんか昔、「おはようございます」って言っただけで、「挨拶したぜ」とか「しゃべるのか?」みたいに言われたこともあるくらいだから(笑)。

千葉さん (笑)。でも、僕はそうなりたいですね。

現場では孤独を味わうこともあった

―というと?

千葉さん たとえば、「好青年」という印象を持たれると、「いいことをして当たり前」みたいな感じになりますよね。なので、いまのお話にあったように、挨拶しただけですごいと思われるのはうらやましいです。

哀川さん まあ、俺の場合はそんな役ばっかりだったからね(笑)。でも、俺みたいなタイプは現場に行ったら孤独になってしまうことも多いんですよ。特に若いときは、周りになじむまでに1週間以上かかることもあったかな。

千葉さん でも、今回ご一緒させていただいて、哀川さんは本当にお優しい方だなと思いました。

哀川さん いやいや、普通のことを普通にしているだけなんだけどね。

―千葉さんは、以前「もっとワイルドになりたい」と発言されていたこともあるようですが、今後はご自分のイメージをもっと変えていきたいですか?

千葉さん いまはもう「野となれ山となれ」って感じですね(笑)。そういうふうに言っていたのは29歳のときで、当時は30歳になることに対してすごく身構えていたからそんなことを考えていたんだと思います。でも、30歳を超えてしまったら、別に何も変わらなかったなと。それに、自分に対してのいろいろな目線というのはあって当然ですからね。

哀川さん 結局は、どれも人からの印象であって、自分でどうこうできるものじゃないからね。

千葉さん そうなんですよね。なので、自分の近い人がわかってくれさえすれば、あとはエンターテインメントな存在でいいのかなと思うようになりました。

哀川さん でも、30歳になると、けっこう来るものはあったでしょ?

千葉さん ありましたね。

30歳からが“本当の大人”になるとき

―哀川さんも30歳で何か心境の変化があったということですか?

哀川さん 実際になってみると、別に全然変わらないんだけど、俺も30歳になったときは「30歳かぁ、やばい」みたいなことはやっぱり考えましたね。

千葉さん そうなんですよね。「大人になったな」みたいな。

哀川さん でも、確かに俺も30歳からが“本当の大人”であって、20歳はまだ大人ではないなと感じたかな。というのも、30歳から周りの接し方が変わってくるというか、20歳とは違って完全に大人扱いになるからね。決定的に違うのは、そこじゃないかな?

千葉さん 本当にそうですね。

―確かにそういう違いはありますよね。哀川さんは全然お変わりになりませんが、若さの秘訣は何ですか?

哀川さん いやいや、変わったよ(笑)。まあ、強いて言うなら早く寝ることじゃないかな。結婚して、30歳過ぎたくらいから俺はとにかく早寝早起きだからね。寝れるときなんて、夜の8時か9時には寝ちゃうから。

―そんなに早く寝ていらっしゃるんですか!?

哀川さん でも、その代わり朝の4時くらいには起きちゃうから、睡眠時間で言ったら7時間前後くらいかな。でも、本当はもっと寝たいんだけど、一度起きたら眠れなくて。ただ、ちゃんと睡眠を取ることが若返る一番の秘訣じゃないかな。

千葉さん 確かに、“睡眠のゴールデンタイム”と言われている時間帯は死守されてますもんね。

哀川さん ちなみに、早寝するのは難しいと思うんだけど、早起きすれば自然と疲れるから誰でも早寝できますよ。俺は休みのときは朝早くから釣りとかゴルフに行くんだけど、そうすると仕事以上に疲れちゃうからね(笑)。だから、コツは早寝早起きじゃなくて、早起き早寝にしてサイクルを作ることだと思います。

休みの日は、アウトドアを夢見るインドア派

―なるほど。確かに、健康にもよさそうです。では、サブタイトルの「バーナバスの誘惑」にかけて、おふたりがこれには勝てないという誘惑は何ですか?

千葉さん なぜか最近は甘い物がすごく食べたくなるときがあって、それがいま一番の誘惑ですね。いままではあまりそういう欲求はなかったんですけど、お酒を前ほど飲まなくなってから、そうなって来た気がします。あとは、天気のいい日にはどこかに行きたいというのも誘惑ですね。

―ということは、アウトドア派なんですか?

千葉さん そうではなくて、アウトドアを夢見るインドア派ですね(笑)。

―(笑)。では、お家ではどのように過ごすのがお好きですか?

千葉さん 天気がいいときは、ベランダに置いてある椅子に座ってボーっとしています。家では「何もしない」をしている感じです。そこにタルトとか甘い物があったら最高なんですけどね。砂糖の誘惑ってすごいなと思います。

―わかります。哀川さんはいかがですか?

哀川さん 昔はやっぱりお酒の誘惑かな(笑)。次の日が朝から仕事でも、ギリギリまで飲んでいたので、朝の7時に家を出なきゃいけないときは、5時まで飲んで、6時に家に帰ってシャワーを浴びて、7時に出る、みたいなことをしていました。そういう生活がずっと続いていたんですけど、若いときはしょうがないですよね。

―そこからどうやっていまの生活へと切り替えられたのでしょうか?

哀川さん 子どもが生まれたことが大きかったですね。そこで生活が変わったら、「二日酔いがない目覚めの気持ちよさは何なんだ」と。それに気がつくまで、10年かかりました。いまは、暗くなったら眠くなっちゃうので、勝てない誘惑は眠気ですね(笑)。

―(笑)。そのほかに、おふたりがリラックスできる時間はありますか?

千葉さん 僕は最近けっこう自炊をするんですが、野菜を刻んでいるときが一番無になれますね。たくさん切ってストックしたりします。

―確かに、余計なこと考えなくていいですよね。ちなみに、得意料理などはありますか?

千葉さん 炊き込みご飯とかみそ汁とか和食が多いですね。ただ、最近のイチオシは、ルーを使わずにスパイスで一から作ったカレーです。いつも余りがちなきゅうりや大根を入れてみたら意外とおいしくてびっくりしました。

さまざまな監督との出会いは貴重な経験

―おもしろい組み合わせですね。哀川さんはお家でどのように過ごされていますか?

哀川さん 普段だったら夕方5時くらいから飲み始めて、7時にはいろいろなことを終えて、8時には布団に入れるような感じにしています(笑)。特にここ1年は家にいることが多くて、最初はそれまでの生活がバタバタしすぎていたから家で何もしないのも楽でいいなと思っていましたけど、だんだん社会復帰できるのか怖くなったこともありましたね。

でも、家族と一緒にいられて温かみを感じられたことはよかったなと思っています。ただ、俺があまり凝ったご飯を作れないので、奥さんがご飯を毎日3食作ることになって大変だったかもしれないですけどね……。

―本作では、出会いの大切さといった普遍的なところも描かれていますが、おふたりにも忘れられない出会いがあれば、教えてください。

哀川さん やっぱりいろいろな監督たちとの出会いは、すごく貴重なことだったなと。俺も映画監督をしたことが1回あるんだけど、いろいろなことを考えなくちゃいけなくて、こんなにきつい仕事はないなと思ったくらいです。だから、俳優のほうが100倍楽なんじゃないかと感じたほど(笑)。本当にそれくらい大変だったので、たくさんの監督たちと出会えたことはステキなことだなと思っています。

千葉さん 僕もある監督から言われたことで残っていることがあって、それはうまく泣けなくて目薬を使ってしまったときのこと。撮影場所に縁側があったので、そこにひとりで凹んでいたら、監督が近づいてきて「目薬を本物の涙としてお客さんに届けるのも役者の仕事。それができていたから、気にしなくていいよ」と言ってくれたんです。そのときは「いま?」と思うタイミングで涙が出てしまいました(笑)。

哀川さん 俺も先輩から勇気が出るひと言をもらったことあったな。そういうことがあるとうれしいよね。

自分たちに置き換えて楽しんでほしい

―ちなみに、先輩である哀川さんからも千葉さんに何かアドバイスはありますか?

哀川さん 遊ぶ時間がないくらい忙しい生活がおそらく10年、15年と続くとは思うけど、いまのまま一生懸命やっていけばいいんじゃないかなとは思いますよ。

千葉さん 今日、哀川さんといろいろお話していているなかで、「嫌なこともやっていくと幅が広がるよ」とか刺さる言葉をたくさんいただいて、これからもがんばろうという気持ちになりました。

哀川さん そのときごとに考えなきゃいけないこともあるけど、仕事においては先を見ることも大事だからね。

―それでは最後に、作品の見どころなどについてメッセージをお願いします。

哀川さん 今回はピーターが悪の道に巻き込まれていくわけですが、いったいバーナバスにどうやって誘惑されてしまうのか。そして、ピーターはどうなってしまうのか、というところは楽しみにしてもらいたいなと思います。

千葉さん 都会のバーナバスも田舎育ちのピーターも違いはありますが、みんな一生懸命に生きているので、そういう世界観は自分たちに置きかえて感情移入できるところではないかなと。あとは、純粋に動物たちを見ているだけで、元気がもらえるので楽しみにしてください。

インタビューを終えてみて……。

おふたりが顔を合わせたのはこの日が2度目ということでしたが、そんなことはまったく感じさせない打ち解けた雰囲気の千葉さんと哀川さん。楽しいやりとりに、笑いが絶えない取材となりました。そんなおふたりが劇中でどんなやりとりを繰り広げるのかにも、ぜひ注目してみてください。

最後までドキドキの展開に目が離せない!

おもしろさもブラックさも、そしてモフモフのかわいさもさらにパワーアップした本作。さまざまな葛藤や失敗を経て成長していくピーターとともに、人生において大切なものが何かを改めて見直してみては?


写真・大内香織(千葉雄大、哀川翔) 取材、文・志村昌美
千葉雄大ヘアメイク:堤 紗也香/スタイリスト:寒河江 健
ニット¥47,300、シャツ¥39,600(ウジョー/エム)、その他/スタイリスト私物
哀川翔ヘアメイク:小林真之
スーツ (Twin’s & Co. )

ストーリー

湖水地方で、優しい画家のビアと暮らすウサギのピーター。3年前に隣に引っ越してきた動物嫌いのマグレガーとの全面抗争は終わりを迎え、大好きなビアと大嫌いなマグレガーは結婚することに。しかし、父親気取りのマクレガーに怒られてばかりの毎日に、ピーターはうんざりしていた。

そんななか、ピーターの父親の親友だったと語るバーナバスと出会い、ピーターは頼もしさを感じてしまう。ところが人間に恨みを抱くバーナバスは、人の家で盗みを働きながら、人間への復讐の機会をうかがっていた。そして、ついにある作戦を計画するのだが、ピーターは最大のピンチに陥ってしまうのだった……。

ハラハラする予告編はこちら!

作品情報

『ピーターラビット2/バーナバスの誘惑』
6月25日(金)全国ロードショー
配給:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
https://www.peterrabbit-movie.jp/

※ 商品にかかわる価格表記はすべて税込みです。