志村 昌美

【千年に1度よりも…】超絶かわいーっ! 奇跡の美少女がデビュー!

2017.10.26
アラサーといえば、何かと悩みの多い年頃。それだけに仕事や恋愛がうまくいかず、自分の居場所を見失っている人もいるのでは? そこで、そんな女子たちにオススメしたい注目の映画をご紹介します。それは……。

運命に翻弄されながらも成長していく少女を描いた『ポリーナ、私を踊る』!

【映画、ときどき私】 vol. 120

ボリショイバレエ団のバレリーナを夢見ていたロシア人のポリーナ。貧しい家庭環境にありながらも、厳格な恩師のもとで将来有望なバレリーナへと成長していた。

そして、ついに憧れのボリショイバレエ団への入団が決定するが、コンテンポラリーダンスに魅了されてしまったポリーナは、約束されていた輝かしいキャリアを投げ打ち、パートナーとともに南フランスへと向かうのだった。しかし、そこで待ち受けていたのは、夢と愛に葛藤する毎日。すべてを失ったポリーナが新たな場所で見つけたものとは……。

そこで、ダンスと映像の美しさを見事に引き出した方々に、本作が完成するまでの裏側や人生の秘訣について語ってもらいました。それは……。

共同監督を務めたヴァレリー・ミュラー&アンジュラン・プレルジョカージュ!

今回は、幅広い映像作品を手掛けているヴァレリー監督(写真・左)とコンテンポラリーダンスの振付家として世界的に有名なアンジュラン監督(写真・右)という才能あふれるおふたりにお話を聞いてきました。

本作はフランス漫画界期待の新星といわれるバスティアン・ヴィヴェスの人気グラフィックノベルが原作となっているのも話題のひとつ。

なぜこの漫画を映像化したいと思ったのですか?

ヴァレリー監督 まず私はアンジュランのドキュメンタリーを撮ったあとで、今度はダンスの世界を扱うフィクションを撮りたいと思っていたの。そんなときに、プロデューサーがこの作品を脚色してみないかと提案してきて、アンジュランが私に共同監督をしようと言ってくれたのがきっかけよ。

それから、私たちはこの漫画の登場人物がとてもおもしろいと思ったの。特にポリーナが現代的な人物であり、ステレオタイプなクラシックダンサーとしては描かれてないところね。あとは、アップの画が多いのがこの漫画の特徴なんだけど、それが逆に背景やいろんなものを脚色する自由を私たちに与えてくれたのよ。

脚本を書く際に苦労したことはありませんでしたか?

アンジュラン監督 漫画のままでは映画的ではないので、登場人物にバックグラウンドを与えて、人生の基盤というものを作らないといけないと気がついたんだ。映画化にあたって、ポリーナのした経験が原作とは少し違うんだけど、経験自体が持つ強烈さというのは変わっていないと思っているよ。

今回原作と一番異なるのは、ダンスシーンだね。漫画というのは静止画なので、ダンスのシーンを描いていても動きがそこで固定されているけれど、映画ではダンスを時間的かつ空間的に展開しなければいけなかったということなんだ。だから、それをどう撮影するかというのが、僕とヴァレリーの共同作業においては肝となる部分だったと思うよ。

共同監督ということですが、2人だからこそできたことは何かありましたか?

ヴァレリー監督 この映画全体が2人ならではだと思っているけれど、本当に私たちの興味と特性がクロスオーバーした映画だったのよ。

アンジュラン監督 今回は僕1人、ヴァレリー1人、そして2人という3つの可能があったと思うんだ。ただ、もし僕だけで撮ったとしたらそれがワーストだったろうね(笑)。ヴァレリーだけなら悪くはないと思うけど、やっぱり2人で共同監督する作品がベストだったと思うよ!

ヴァレリー監督 最初は自分たちの得意分野だけを分業しようと考えていただけど、撮影が始まってみると、要領よくどんどん決めていかなければいけないのが映画の現場なので、そこで2人である強みや勢いというのをすごく感じたの。そのほうがプロセスを進めていくのにアイディアもいっぱい生まれるし、より豊かな対話によって撮影ができるということに気がついたから、補い合ってやることで早く進められたと思うわ。

今回、ポリーナのキャスティングは難航し、約600人のダンサーをオーディションしたそうですが、そのなかから選ばれたのは有名バレエ・カンパニーに所属し、本作で映画デビューを飾ったアナスタシア・シェフツォワ。名女優ジュリエット・ビノシュにも負けない輝きを放ち、まさにポリーナそのもの。

では、他の人にはなくて彼女だけにある魅力はどんなところでしたか?

アンジュラン監督 オーディションにあたって、たくさんの優秀なダンサーたちに会ったんだけど、条件としては古典とコンテンポラリーの両方をこなさなければいけないということだったんだ。でも、アナスタシアはそれらの特質を備えていて、素晴らしい才能を持っていたんだよ。

ヴァレリー監督 そういったダンスのテストをやったあと、女優としての演技を試すためにカメラテストをしたんだけど、そこで気がついたのは、アナスタシアというのはすごく存在感があって、視線が強く、そしてミステリアスな雰囲気があるということなの。そして、もうひとつとても重要なことで、これを感じさせる女優というのは少ないんだけど、カメラの前にいる喜びを感じさせる人だったのよ。あとは、彼女のダンスへのこだわりや媚びずに決意を持って取り組んでいるところが原作のポリーナにも似ていると感じたわ。

ポリーナのように才能を開花させるために必要ことはなんだと思いますか?

アンジュラン監督 直感というのは、恩恵のように天から与えられるように急に湧いてくるものだと思うんだ。でも、天から降ってきたときに受け取る準備が自分でできていなかったらそれは何にもならない。だから、映画の前半で描かれているように、厳しい学校や規律に従うということは必要なんだ。そうやって準備しているからこそ、インスピレーションが降りてきたときに、無駄にすることなく受け取ることができるんだよ。

ヴァレリー監督 でも、その厳しい訓練を経ておしまいというだけでもダメだと思うわ。ポリーナと同じように、最初に厳しいテクニックや規律を学んだあとに個人的や職業的な経験をすることで、素晴らしいクリエイションに到達するのよ。つまり、厳しい訓練や規律というのはツールなの。だから、この映画はひとりのダンサーの物語であるけれども、自分が情熱を持って何かに取り組んでいるひとりの若者の映画というふうにもいえるわよね。

最後に日本の女性たちへのメッセージをお願いします!

ヴァレリー監督 私のメッセージがすべての人に適応するということはないと思うけれど、ポリーナが自分の強さやもろさといったあらゆる個性を使って自分自身の軌跡をたどったみたいに、それぞれの人に合ったやり方があるということを知っていて欲しいわ。だから、ひとつのお手本だけを追って行こうと思わないで、「人生を構築する道というのはさまざまなんだ」ということを言いたいわね。

アンジュラン監督 僕からはニーチェの言葉のなかで好きなフレーズを伝えたいと思うよ。それは、「人は真剣さを持って取り組まなければいけない。でも、その真剣さというのは、子どもが遊びのなかに注いでいる真剣さと同等のものを大人も持たなければいけない」というものなんだけど、つまり子どもが遊びに集中して取り組むような真摯さを人生で持って欲しいということだね。

誰もが自分の人生では自分が主人公!

ダンスの素晴らしさを楽しめるだけでなく、女性の強さも描かれている感動作。たとえ、何もかもを失ったとしても、自分の心の声を聞いてふたたび立ち上がる力は誰にでもあるのだと感じるはず。自分だけが輝ける “人生のステージ” をポリーナとともに探してみては?

心に問いかける予告編はこちら!

作品情報

『ポリーナ、私を踊る』
10月28日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷 ほか全国ロードショー
配給:ポニーキャニオン 
©2016 Everybody on Deck - TF1 Droits Audiovisuels - UCG Images - France 2 Cinema
http://polina-movie.jp/