不動産会社の経営者が教える! 失敗しない「賃貸物件探しのチェックポイント」

取材、文・髙倉ゆこ — 2024.2.24 — Page 1/2
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者であり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、賃貸物件を探す際のNG行動についてお聞きしています。今回のテーマは、やむを得ず内見ができない場合の物件の選び方について。選ぶ際の注意点は? チェックポイントは? などなど、ぜひ物件選びの参考にしてください!
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内見できないときのNG行動

――遠方へ引っ越す、急に引っ越しが決まったなど、内見しないまま物件を選ばざるを得ない方もいると思います。

石岡 そうですね。引っ越しシーズンのピークとなる2月~3月は人気物件の争奪戦が起こるため、スピード勝負とばかりに内見しないで契約を結ぶ方も一定数いらっしゃいます。

また、大家さんや管理会社は入居者がいない期間を減らすため、退去予定の住人が居住中の段階で入居者募集を始めるのが一般的です。そのため退去日を迎えるまでに次の入居者が決まってしまい、内見できないというパターンもあります。

――どうしても内見したい場合はどうすればいいですか。

石岡 同じ物件に空き部屋があればそちらを見せてもらう、不動産会社を通じて入居者に室内を見せてもらえるように交渉する、など方法はありますが、どちらも難しい場合が多いでしょうね。そんなときは「先行申し込み」をしておくのがおすすめです。

先行申し込みとは、内見の前に入居の申し込みと入居審査を完了させる方法のこと。内見可能なタイミングで優先的に内見ができ、気に入らない場合は申し込みをキャンセルすることもできます。入居審査は先着順で行われるため、他の入居希望者に先を越されるリスクを減らせるのです。

これに対し、まったく内見をせずにその物件を押さえることを「先行契約」と呼びます。キャンセルしたい場合、違約金がかかるケースが多いため、慎重に検討したほうがよいでしょう。

――なるほど。それでは、内見しないまま契約する場合のNG行動について教えてください。

NG1 周辺環境を確認しない

部屋の中が見られない場合でも、できれば現地に行って周辺を歩いてみてほしいです。駅からの道のりはフラットで歩きやすいか、人通りは多いか、街灯があるかなど、アクセスや治安について確認しておきしましょう。

また日当たりに関しても、物件の周辺に背の高い建物がないか、隣家と近すぎないかなどをチェックしておいてください。

どうしても現地に行くのが難しい場合は、グーグルマップのストリートビューで物件周辺の雰囲気を確かめたり、国土地理院のサイト「重ねるハザードマップ」(※)を活用して、洪水、土砂災害、高潮、津波などの災害リスクを調べたりしておくと安心です。

「重ねるハザードマップ」は、防災に役立つさまざまな情報を地図上で閲覧できるシステム。住所を入力するとその場所の災害リスクを教えてくれるほか、管轄警察署や消防署の電話番号も記載されているので、いざというときにも役に立ちます。

NG2 複数枚の写真をチェックしない

内見ができない場合はとくに間取り図や写真をしっかりチェックして、入居するかどうか判断しなければなりません。サイトによって掲載する写真の枚数が違う場合もあるので、いくつかのサイトを比べてみるとよいでしょう。

撮る方向によって広さやイメージが違って見えることもあるので、なるべく多めに写真を見ておいたほうがいいです。不動産会社がアザーカットを持っている場合もあるので、問い合わせてみてもいいかもしれません。

ただし、サイトに掲載された写真や不動産会社が持っている写真が最新の状態ではない可能性もあるので要注意です。経年使用で設備の老朽化が進んでいる、前の入居者の使い方がよくなかったため室内のコンディションが低下している、といったことがあるのです。

もし最新の写真ではない場合、入居までに設備の修復工事や室内清掃などを適切に行ってもらえるか、契約する前に確認しておきましょう。

なお、新築物件やリフォーム中の物件は、部屋の完成後にサイト上の写真が充実した途端、入居申し込みが殺到することがほとんどです。工事中の段階から問い合わせて、先行申し込みしておくと安心です。

NG3 オンライン内見をしない

コロナ禍をきっかけに、ビデオ通話機能を使ってリモートで内見する「オンライン内見」ができる物件も増えてきました。

遠方に住んでいて内見に行けない、多忙で内見に行くのが難しそう…というかたの場合、空室の物件であれば「オンライン内見」を活用しましょう(※不動産会社が対応してくれる場合のみ利用できます。依頼できるか問い合わせてください)

インターネットに接続できる環境であれば、全国どこからでも利用できるのが大きな魅力。担当者と会話しながら内見できるので、気になる場所を指示して見せてもらったり、アドバイスしてもらったりできるのもメリットです。

オンライン内見の際、担当者に確認してもらったほうがいいポイントを簡単にまとめると、こちらとなります。

  • 部屋のサイズと、柱や梁の位置(冷蔵庫、洗濯機、ベッドやソファなどインテリアが希望の場所に置けるか測ってもらう)
  • クローゼットなど収納スペースの広さ(幅、高さ、奥行きを測ってもらう)
  • コンセントの位置と数
  • 日当たりとバルコニーからの眺望(南向きでも、周囲に高い建物があると日当たりが悪くなるため)
  • ベランダの様子(動物のフンやゴミで汚れていないか)
  • スマホの電波が入りづらい場所がないか

この他にも、聞きたいことがあればメモを取っておき、通話中、忘れずに質問しましょう。ただし、部屋の臭いや湿度、防音性など、実際に行ってみないとわからないこともありますので、その点も考慮して選ぶようにしてください。

※国土地理院「重ねるハザードマップ」
https://disaportal.gsi.go.jp/

Information

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<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。
https://www.youtube.com/watch?v=r_CAWia41ow

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取材、文・髙倉ゆこ


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