疲れが簡単に取れる!…ダイエット、肩こりにも効く「今日からできる習慣」

文・伊藤順子 — 2020.4.25
サッカー日本代表のチーフアスレティックトレーナーを務める前田弘さんが、おこもり中に誰でもできる「体にいい習慣や簡単ストレッチ」を教えてくれました。通勤がなくなり運動不足の人、テレワークによるパソコンしすぎで肩こりが辛い人、育児や家事に追われて疲労困憊の人……毎日をおうちで頑張っているすべての人、必見です! 初回は、ものすごく簡単にできる疲労回復法をお伝えします。

日頃の疲れをしっかり取るには?

1日を元気よく過ごすためにも、前日の疲れは残したくないですよね。でも、その日の疲れをしっかり取るってなかなか難しい。そこで、サッカー日本代表のチーフアスレティックトレーナーを長年務める前田弘さんが、簡単にできる疲労回復法を教えてくれました。

前田さん それは交替浴です。温かい風呂と水風呂に交互に入ることですが、外出自粛のいま、そんなことできない人がほとんどだと思いますし、水風呂なんて入りたくないと思う人も多いでしょう。ですので、ご自宅でできる簡単な交替浴をお伝えしましょう。翌朝のスッキリ感が格段に違いますし、後程詳しくご説明しますが、疲労回復のほかにもダイエットや冷え性、むくみなど、いろいろな悩みが解消できますよ。

100%の力を発揮するには、疲れを取ることが重要

具体的な方法の前に、改めて疲労回復の大切さをお伝えしましょう。

ダイエット、仕事、試験、家事、育児、さらには大好きな人に会えるオンラインデートなど……。外出できなくたって、私たちはやりたいこと、やらなければならないことがいっぱいあります。そして、それらひとつひとつに100%の力を出し切りたいと思うのは当然のこと。でも、ただがむしゃらに頑張るだけでは、残念ながら成果が出るとは限りません。全力で挑もうにも、どうも集中できない、化粧ノリがよくないなんて日もあります。なぜ、そうなってしまうのでしょう。

前田さん それは、パフォーマンスをうまく行うための土台となる、「体調を整えること(=コンディショニング)」ができていないからです。コンディショニングがしっかりとしていれば、どの目標においても100%の力を発揮することができます。100%があって101%があるのです。

ーーコンディショニングとは、具体的にどういうことですか?

前田さん 私が選手たちに伝えているのは、次の4つです。

・トレーニング
・リカバリー(疲労回復)
・睡眠
・食事

これらのうち、トレーニングを「適度な運動」と置き換えると、読者のみさなんもしっくりくると思います。4つの柱がしっかりして初めて、いいパフォーマンスができる、と思ってください。逆を言えば、どれかひとつでも欠けていたら100%の力は出せないのです。

今回のテーマである疲労回復は、4本柱のうちの1本を担う大変重要なことなのですが、どうもうまくできていない人や意外と軽視している人が多いように思えます。今日から実践していただき、翌朝こうも体が違うのか! という驚きと喜びを実感してほしいですね。

では、交替浴をご説明しましょう。

面倒くさくない! おうちでできる簡単交替浴

Woman relaxing in bubble bath

1. 40℃の温水(湯舟)に3分間、肩まで浸かる。
※炭酸の入浴剤を入れてください。効果が高まります。

2. 20℃くらいの冷シャワーを1分間、足からかける。
※徐々に上へ、最終的には全身を浴びるのが望ましいが、下半身だけ、もしくは膝あたりまででもOK。

これを1セットとし、毎日3~5セット行いましょう。

前田さん 以上、たったこれだけです! 温水につかる、冷水を浴びる、これを交互にすることで、血管の拡張、収縮を促し、血行促進に働きかけます。血行が良くなると、乳酸などの疲労物質を効率よく除去でき、疲労回復につながります。

ーー簡単ですね! ですが正直、お風呂に入るだけでも、血行は良くなりそうですが?

はい、十分良くなりますし、入浴するだけでも、幸せホルモンと呼ばれるオキシトシンの分泌が促され、多くの健康効果が期待できます。ですが、温と冷を交互に行うことでさらに血行が良くなるのです。温かいお風呂に入ると、血管が拡張し、冷たい水を浴びると、血管が収縮します。拡張と収縮を繰り返すことで、それがポンプのような作用となって、血流を良くしてくれる効果があるんですね。

また、自律神経のバランスも整えられます。温水による血管拡張で副交感神経が優位になり(=リラックス)、冷水による血管収縮で交感神経が優位になります(=興奮)。どちらも優位にすることで、バランスが良くなるのです。さらに、自律神経はホルモンと関わりがありますので、女性ホルモンの乱れを整えてくれることもあります。

ーーただ入浴するだけとは雲泥の差があるのですね。では、注意点も教えてください。

前田さん 次のことを守っていただきたいです。脱水症状にならないよう、特に水分はこまめに摂りましょう。

・無理にやることは禁物です。
・交替浴の前に必ず十分な水分補給するようにしてください。最低でもコップ一杯は飲むようにしましょう。
・入浴中はかなりの水分が奪われます。入浴中も喉が渇いたら水分補給を。
・無理に決めた数をやる必要はありません、自分の体調に合わせて行いましょう。
・入浴後はリラックスし、ここでも水分補給を忘れないように。

疲労回復のほかにも、いいことづくめ!

ーーたったこれをするだけで、体が楽になるなんて、今日からさっそく始めたいですね。最後に、疲れ以外の悩み解消にはどんなものがありますか?

前田さん ざっと挙げますと下記の通りです。

・冷え性、むくみの改善
・血行不良からくる腰痛や肩こりの改善
・入眠、睡眠の改善
・ダイエット効果
・肌のハリの改善
・免疫力の向上、改善
・アレルギー症状の緩和、改善

もちろん個人差はありますが、毎日行っていれば次第に必ず良くなります。今日行うだけでも、翌朝の体の軽さが違うと思いますよ。ぜひ、ひとつひとつの動作を意識して行ってみてください。

ーー以上、前田さんおススメの簡単な習慣、交替浴をご紹介しました。次回からは、おうちでできる簡単ストレッチや運動をお伝えします!

Information

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前田 弘(まえだ ひろし)さん
日本代表チーム チーフアスレティックトレーナー

日本サッカー協会

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