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ダメ女こそ「素敵な男」を掴まえる…!?|12星座連載小説#53~射手座5話~

文・脇田尚揮 — 2017.4.7
12人の女性たちの生き方を、12星座になぞらえて紹介していくショートクロスストーリー『12星座 女たちの人生』。 キャリア、恋愛、不倫、育児……。男性とはまた異なる、色とりどりの生活の中で彼女たちは自己実現を果たしていく。 この物語を読み進めていく中で、自身の星座に与えられた“宿命”のようなものを感じられるのではないでしょうか。

【12星座 女たちの人生】第53話 ~射手座-5~


前回までのお話はコチラ

「今日は楽しかったね、Junちゃん」

ガングロ男が私の肩に手を回しながら微笑みかけてきた。

時計を見ると、いつの間にか朝の5時。結局オールしちゃった。

「そうだ! LINE交換しようよ!」

純がスマホをフリフリしている。

『そうだね! 交換しちゃおう~』

朝まで飲み続けた私の思考回路は、もう“ショート寸前”。あ~、でも、こういう感覚がたまらないのよね。

取りあえず、その場にいる全員とアドレス交換して、ふわふわの意識のままクラブを出る。

扉を開けると……朝日の眩しさに目がくらみそうになる。

『はぁ……気持ちワル…』

周りを見ると、ヘラヘラした男がベロベロに酔いつぶれた女を、“お持ち帰り”しようとしていた。“もんじゃ焼き”みたいな嘔吐物もちらほら。

よく見る“六本木の朝”の光景だ。

「じゃあね~! また連絡するね」

純が手を振ってくれる。

私も手を振り返し、そしてタクシーを拾う。

―――タクシーに乗った瞬間、意識は途切れた。

目を覚ますと、私は家のベッドに“すっぽんぽん”で横たわっていた。

『あ……れ?…… うっ、頭イタ~』

頭がクラクラズキズキして、起き上がれない。

「Jun……、ボクはもうどうしていいかワカラナイよ…」

ヒゲもじゃもじゃのメガネが心配そうに、私の顔を覗き込んできた。

……どうやら私は、クリスに介抱されていたらしい。

昨夜の記憶が2時くらいからほとんどない。あの後、どうやって帰ったんだろ。

『クリス……、アリガトウ。水、もらえる?』

困った顔で肩をすくめ、オーバー気味に“お手上げポーズ”してみせるクリス。なんだか、ちょっとカワイイ。

今何時だろう?

頭は動かさず、“目だけ”でアンティークの掛け時計を見る……。

もう昼の2時かぁ。早いなぁ。

「ハイ、お水ダヨ」

起き上がれない私を抱き抱えるようにして、水の入ったコップを持たせてくれる。

……ああ、彼氏がいるって幸せだなぁ。この絶対的な安心感。どんなにベロベロでダメな私でも、クリスはいつでも私の味方。

少しずつ水を口に含み、ゆっくり飲み込む。

ちょっと落ち着いた。

「大丈夫?」

『愛してるわ、クリス。今朝、私どうやって帰ってきたの?』

「ハァ……」

クリスが深い溜息をつき、長々と説明を始める。

どうやら私は明け方、タクシーで家へ帰ろうとしたらしい。

……が、行き先の説明が曖昧過ぎて、運転手さんを相当困らせてしまった。結局、寝ているクリスに電話をかけ、自宅の場所を代わりに説明してもらうことに。

ひどく酔っている私を心配し、クリスは家の下で出迎えてくれた。

そこからがまた酷くて、クリスはゲロゲロ吐きまくる私の世話と、嘔吐物の後片付けに“小一時間”ほど付き合う羽目に。

シャワーを浴びさせ身体を拭き、ベットに寝かしつけたのが朝の8時。


そんな感じだった。

……本当に優しいわね、クリスは。

「Jun、アンマリダヨ……」

確かにあんまりだと思う。彼氏がいるのにクラブで踊って、見知らぬ男たちと朝まで飲み明かす……。

最後には、寝ている彼を起こし、昼まで介抱させるなんて……。なかなかダメ女ね。

『ゴメンネ、クリス』

両手を合わせ、謝罪する。

「ボクは17時から仕事だから、そろそろ帰るネ。……Jun、もう少し考えて欲しい」

そう言って、彼は私に背を向けた。

……まぁ当然よね。

『クリス、ありがと』

悲しそうな目をして、クリスは家から出て行った。

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『はぁ~』

ダメダメだなぁ私。

……分かってはいるけど、でもやめられないの。

だって、刺激がなくっちゃ生きてる実感が持てないんだもの。

え~と、今日は何しようかな。

フリーで動いている私は、基本的にすべて自分でスケジュールを組んでいる。

提携先をもっと増やし、本気でやればもっと稼げるんだけど、何にも縛られないこれくらいのスタイルがラクで良い。

でも、明日は銀座のジュエリー店に石を卸して……、それから“サンクチュアリ”の瀬名さんとブライダルジュエリーの打ち合わせもしなくちゃ。

ああ、でも今日はもう何もしたくないや……。

なんとか身体を起こし、ベットから出る。少しお腹が空いた。

『あ……』

キッチンのコンロの上に鍋がある。

蓋をあけると、中にはベーコン、玉ねぎ、ニンジン……。琥珀色のオニオンスープがキラキラ輝いていた。

『ああ~、なんて素敵な彼氏なの!』

心から、クリスに感謝する。

スープを温め直して、胃袋に流し込む……。

『ふぅ~、おいし……』

クリスはイタリア人のくせに、日本風の薄い味付けを好む。

オリーブオイルを瓶ごと使い、トマトをワッサーって入れような料理をするかと思っていたのにね。

感謝感謝だわ……“謝謝”。

クリスへお礼を送るためにスマホを手に取る。

LINEを開くと……、

「昨夜はとても楽しかったね! 俺もメチャクチャ飲んじゃって、二日酔いだよ(泣)実は、俺たち、歌舞伎町でホストやっててさ、今日も夜からまた飲むんだ。また、良かったら一緒にのもうよ♡」

純からだ。

―――クリスへメッセを送るよりも先に、純に返信していた。



【これまでのお話一覧はコチラ♡】

【今回の主役】
戸部淳子 射手座28歳 ジュエリー卸業
ヨーロッパ圏でのホームステイなど、学生の頃から海外経験が豊富で、英語がそこそこ堪能。国外から宝石を買い付けて、ブティックやウェデイング業界に卸している。若さの割に目利きであると評されるところも。イタリア人の彼氏・クリスがいるが、性に奔放で何かとトラブルが起こりやすい。

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