作り手のアイデアに脱帽! 淫靡で絢爛な“昭和ラブホ”の世界

2024.8.19
明確なコンセプトがあったり、デコラティブだったりと、今の時代のものとはひと味違うユニークなデザインに心惹かれる、昭和に作られたラブホテル。その魅力や、おすすめのスポットを、“昭和ラブホ”を愛するゆななさんがガイド!

めくるめく淫靡で絢爛な世界、昭和ラブホの楽しみ方ガイド。

昭和ラブホはデザインと“動き”に注目を!

日本各地にある昭和に建てられた個性豊かなラブホテルの魅力を発信している、ゆななさん。

「高校時代から喫茶店などレトロな場所が好きでしたが、大学4年生の時、たまたまインターネットでスペースシャトルの形をしたベッドのある昭和ラブホを見つけて、こんなにギラギラしたラブホテルがあったんだ、と衝撃を受けたんです。早く行かないとなくなる可能性もある場所なので、まずは近場から…と東京の『ニューアリス』に一人で行ってみることに。全面鏡張りのお部屋に入った時、“私は昭和ラブホを見るために生まれてきたんだ!”と思えるくらい感動して、どんどんのめり込んでいきました」

ゆななさんが特に魅力を感じるのは、部屋のデザイン性と、ベッドなど設備の動きだという。

「『回転ベッドを追いかけて』という著書の中で、さまざまなホテルのデザインを手がける亜美伊新さんにお話を聞いた時、『動きのない遊園地ってすごくつまらないよね』とおっしゃっていて、その通りだなと思ったんです。回転ベッドの中には、回転に加え上昇をするものがあったり、また、枕元のボタンを押すとベッドが前後に動くようなものもあって。“動き”は、昭和ラブホを語るうえで、とても重要だと思っています。私は一人で行くことが多いですが、同性の友だちと訪れることも。恋人同士に限らず入れる場所がほとんどなので、ぜひ、遊びに行ってみてください」

そもそも昭和ラブホとは?

「主に1960~’80年代前半に建てられたラブホテルのことを『昭和ラブホ』と呼んでいます。というのも、1985年に新風営法が施行されてから、昭和ラブホの象徴ともいえる、一定以上の大きさの鏡や回転ベッドを設置することが難しくなったからです。また、近年、コロナの影響や後継者不足、設備の修理ができないことを理由に、昭和ラブホの閉店スピードが加速しているという現実も。気になる方は、行けるうちに行ってみてください」

はじめての昭和ラブホの選び方。

1、ホームページがあるホテルを選ぼう。
ホームページがしっかり作られているホテルは、比較的、ちゃんとしているケースが多い傾向が。各部屋の写真が掲載されている場合も多いので、事前にチェックしてみよう。

2、「旅のついで」に訪れてみよう。
駅から遠い場所や高速道路近くなど、街の中心地から離れているところにもユニークな昭和ラブホは存在する。旅行時、行き先の近くで探して、目的地の一つにするのもあり。

3、世界観を活かすイベントや食事にも注目。
世界観が作り込まれた部屋の場合、写真を撮るためのコスプレプランが用意されていることも。また、韓国フェアを行うなど、フードメニューに力を入れているホテルも多い。

初心者にも自信を持っておすすめ。○○がすごい、注目の昭和ラブホ3選。

動きがすごい! ホテル フランセ(岡山)

ラブホ
ラブホ

シンプルなデザインの部屋に加え、ホテルの誕生当時から変わらない、昭和ラブホならではのエッセンスを楽しめる、8つの「アミューズメントルーム」が存在する。汽車の形をした前後に可動するベッドもあれば、レーシングカーをモチーフにしたベッドもあり。また、ブルーの照明がたくさんつけられた鏡張りの部屋では、まるで宇宙空間にいるかのような気分に。作り手のアイデアに脱帽! ●岡山県岡山市中区神下175 TEL:086・279・3131 https://www.vivafrance.jp/

総工事費がすごい! ホテル ブルージュ(千葉)

ラブホ
ラブホ

真っ白な宮殿を思わせる建物に一歩入ると、そこはヨーロピアンクラシックの世界。イタリアから輸入したものなど豪奢で素敵な家具や、ウィリアム・モリスの壁紙、ゴージャスな照明など、まるでマリー・アントワネットが住んでいそうな部屋が47も用意されていて、総工事費はなんと36億円! 夏はプール付きの部屋も開放されているとか。夢のような世界を味わいに行ってみよう。●千葉県柏市柏インター東8‐5 TEL:04・7131・1919 https://www.hotel-brugge.jp/

プランがすごい! ホテル ファミー(千葉)

ラブホ
ラブホ

まるで映画のワンシーンに出てくるような、作り込まれたインテリアが魅力的なホテル。御簾や畳のある和室に、中華風、大きなシャンデリアが吊るされた洋風までと、テイストもさまざま。世界観を活かして撮影を楽しめる撮影プランに力を入れていて、多くのコスプレイヤーたちが訪れている。ドラマや写真集など、さまざまな作品のロケ地としても使われている。撮影プランは予約制。●千葉県千葉市花見川区幕張本郷1‐33‐22 TEL:043・271・5711 https://hotel-famy.com/

ゆななさん 日本各地の昭和ラブホを160軒以上巡り、SNSやYouTubeでその魅力を伝えている。500点以上の写真やコラムなどを収めた著書『回転ベッドを追いかけて』(hayaoki books)が発売中。

※『anan』2024年8月14日‐21日合併号より。写真・ゆなな 取材、文・重信 綾

(by anan編集部)