YOASOBI・ikura「今年一年で、ライブバンドのボーカリストなんだという覚悟が生まれた」

2023.12.24
今年は春のアリーナツアー「YOASOBI ARENA TOUR 2023“電光石火”」や、初のアメリカ公演など、精力的にライブ活動を行ったYOASOBI。ボーカルのikuraさんにとって印象的だったステージの一つを振り返ってくれた。
YOASOBI

「11月の6日と7日に行われたColdplayさんの東京ドーム公演に、私たちYOASOBIがゲストアクトとして出演させていただきました。Coldplayさんのお客さんたちの前で歌わせていただくということは一つの挑戦でしたし、そこで『YOASOBIのライブめっちゃいいじゃん!』って言ってもらえたらいいなと思っていたんです。皆さんにすごく温かく迎えていただいて、東京ドームにいた方たち全員でとても良い空間を作れたなというのをすごく実感できて、自分の中でも大きな経験になりました。その後、Coldplayさんのライブも観させていただいて、ワールドクラスでツアーをまわっている方たちの演出や、クリス・マーティンさんのボーカリストとしての存在感や素晴らしさも感じました。勉強させていただいたことがたくさんあったし、これからYOASOBIもどんどん海外でライブをしたりする経験を積んでいきたいと思っているので、自分の中で昇華して活かしていけたらいいなと思える出来事でした」

そんな大舞台の数々を経験するなかで、ステージ上でのikuraさんの顔つきの変化を感じた人も多かったのでは。フロントマンとしての責任やライブに込めた想いの強さが表情に、より表れるようになったというか。

「最近よく言われます(笑)。やっぱり今年一年で、私はライブバンドのボーカリストなんだという覚悟が生まれたんだなと思います」

2023年の怒涛の日々を駆け抜けてきたikuraさん。Ayaseさん同様、彼女もオフの時間には、ボーカリストとして、心と体の健康を整えるために過ごしているそう。

「お休みの日には、仕事を健康的にやり続けるための心と体のメンテナンスをしています。具体的にはボイトレに通ったり、整体に通ったり。整体にしても、普通の整体とボーカリストが喉のコンディションを整えるための整体と両方通っていたりして。他にも少しでも時間があると、仕事で120%発揮するための準備をしています。それも仕事といえば仕事ですけど(笑)、心と体が健康でないと活動を続けられないので。心の健康という意味では家族に会ったり、1泊2日でも旅行に出かけて大自然に身を置いてみたり、そんなことをしています。温泉に行ってリラックスするのもいいですね。そうしてリフレッシュすることで、いい気分で仕事に向かえるように。もう本当に健康的ですよね(笑)。音楽で幸せになるために日々を過ごしているんです」

全力でライブ・パフォーマンスができるように日々を過ごす、そしてそれがYOASOBIにとっての幸せに繋がっていくという。

「もうここ3~4年はそんな生活をしていると思います。やっぱりどちらかが止まってしまえばライブができなくなってしまうし、そうするとチーム全体が止まっちゃう。それが一番自分が苦しいというか、悔しいことなので」

ひとりでは決して引き出せない、たくさんの歌い方が生まれました。

作品をリリースするごとに、ボーカリストとして本当にたくさんの引き出しを開けるように多彩な歌声を聴かせてくれるikuraさん。ご自身ではどんな変化を感じているのでしょう。

「YOASOBIは小説を音楽にするユニット。違う方が書いた原作の小説が全ての曲にあって、それをAyaseさんが曲にして、そのバトンをもらって私が歌を乗せるという流れ。つまりそれぞれの作品で映し出したい世界は変わるし、主人公も違うし、なので必然的に全ての曲でその曲の世界に見合った人物を歌わなきゃいけない。そこで新しい自分の歌を引き出してもらえている感覚は確かにあります。『アイドル』にしても、初めてあんなにかわい子ぶる声を出したので、『私こんな歌も歌えるんだ?』って自分でもびっくりしましたし(笑)。自分がひとりで活動していたら、ああいう歌い方は生まれなかったと思います。なのでYOASOBIの活動があったからこそ今のたくさんの自分の声が生まれたなと感じています」

最後にikuraさんから見たAyaseさんの2023年の変化について意見を聞いてみると、こんな答えが返ってきた。

「最初にお会いしたときからずっと思慮深い人なので、すごくいろんなことをいろんな方向に考えて、チームを引っ張ってくれていると感じます。Ayaseさんは『自分はYOASOBIの外交担当なので』と言っているようにバンドのメンバーや、何百人といるスタッフさんともちゃんと深い関わりを持ちながら引っ張っていく力があるんです。私とAyaseさんのコミュニケーションにおいても『今こういう時期だからこうだよね』とか『今こんな気持ちかな、こんなふうに話しかけてみようかな』とか、お互いに想像力を持って接することができています。その濃密さはここ一年でも増したんじゃないかなと。コンポーザーとしてのAyaseさんは、もう私は何も言うことはないですが、人間としての深さをより感じることのできた一年でした」

イクラ YOASOBIのボーカル。ソロの幾田りら名義ではシンガーソングライターとして活動。あのとダブル主演を務めるアニメ映画『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』が来年3月と4月に公開予定。

ミリタリーブルゾン¥88,000(NKGW/ノントーキョー TEL:03・6432・6079) ナイロンブルゾン¥23,100 パンツ¥24,200(共にパメオポーズ/パメオポーズ 表参道本店 TEL:03・3400・0860) ピアス¥30,800 リング¥34,650(共にプリュイ/プリュイ トウキョウ TEL:03・6450・5777) その他はスタイリスト私物

ヨアソビ 2019年に結成した、コンポーザーのAyaseとボーカルのikuraからなる音楽ユニット。コンセプトは“小説を音楽にするユニット”。シングル『勇者』の〈完全生産限定盤〉(CD+巻物ブックレット)が発売中。

※『anan』2023年12月27日号より。写真・森山将人(TRIVAL) スタイリスト・船橋翔大 ヘア&メイク・YOUCA プロップスタイリスト・松尾 優 森井耕作 取材、文・上野三樹 撮影協力・BACKGROUNDS FACTORY

(by anan編集部)