ちゃんみな、こだわりのライブパフォーマンスはドライブ中にアイデア出し

2023.6.16
グローバルな活動やエンターテインメント性の高いライブパフォーマンスなど、ちゃんみなを語る上でのキーワードはたくさんある。だけど彼女はいたって気負わず、素直に音楽と向き合うからこそ多くの人の胸を打つものになるのだろう。海外で暮らした幼少期のことや、ステージ上でのポリシーなど、じっくり語ってもらった。
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――幼少期はピアノやバレエでクラシック音楽にも慣れ親しんでいたそうですが、どんなふうに音楽と向き合っていましたか。

ちゃんみな:私が韓国にいた頃は、同じ家で暮らしていた従兄弟たちと一緒にピアノを弾いたりしていました。彼らはいつの間にかバイオリンを習うようになって、一人はミュージカル音楽を作っていて、もう一人はもうすぐ兵役に行っちゃうんですけど、今年3月の横浜アリーナ公演で共演できたことは本当に嬉しかったです。

――周りに刺激を受けながら、自然と音楽が好きになったんですね。

ちゃんみな:物心つく前から音楽に触れていたし、音楽以外には興味を示さなかったぐらい。お母さんの話によると、私は1歳半で、両親に歌手になっていいかと聞いたそうです。私は覚えてないので、そこで両親がなんて答えたのかわかんないんです(笑)。

――では幼い頃に韓国とアメリカを行き来して暮らしたことは、どんな思い出として残っていますか。

ちゃんみな:自分の中に何かは残ってるんでしょうけど、本当に覚えてないんです。でも、飛行機に乗るときは毎回寂しかったことは覚えています。この土地から離れたくないな、あの人もこの人もいるのにな、とかは思ってたんじゃないかな。

――アルバム『Naked』でも日本語、韓国語、英語と3つの言語を使って自由に表現されていましたが、それぞれの言語の良さというのはどう感じていますか。

ちゃんみな:例えば音楽に乗りやすいのは英語だとか、よく言いますけど、私の中では、そんなふうに言葉を区別して捉えたことがないです。アメリカで仕事をご一緒した方で、何か国語も喋る方がいらっしゃったんですけど、彼女は「自分が話す数か国語が1つの私の言葉」と言っていて。私も本当にそういう感覚だなと思ったんです。その中でも、日本語と韓国語は似ている部分があるし、このふたつは擬音が超優秀。〈ずきずき〉とか〈ざらざら〉とか、感覚的なことを伝える言葉がすごく多いし、素敵な言葉がたくさんあると思います。一方で、英語はシンプルな言葉が多い。私の性格はどちらかというと日本人に近いと思うので、言いにくいことを表現するのに日本語だと回り道して伝えることができるけど、アメリカでそれをやるとめんどくさいって思われちゃうから、どうやってストレートに伝えつつ優しさを込めるか、みたいなことを考えます。そうした感情のコントロールが、英語での言葉の表現においては大事になってくるのかなと思います。

――なるほど。ちなみに、ちゃんみなという呼び名はいつどのように始まったものだったんですか。

ちゃんみな:最初は中学生ぐらいのときに友達に〈ちゃんみな〉って呼ばれて浸透していったんですけど。アーティストとしてデビューするときに、特に「ちゃんみなでいこう」とか思ってなかったんですよ。だからチャンスがあるなら今からでも変えたいです(笑)。

――そうなんですか(笑)。

ちゃんみな:もともと高校生RAP選手権に出たときに、MCネームを教えてくださいって言われたんですが、全く考えてなかったんですよ。その頃は音楽に集中するために地元を離れて、友達みんなと疎遠になっていて。私がちゃんみなという名前で有名になったら「ちゃんみなだ!」って気づいてくれるかなと思って、アーティスト名を〈ちゃんみな〉にしたら、ここまで来ちゃいました。

――地元を離れて友達とも疎遠になったという話も、それだけの覚悟をもって音楽と向き合っていたということですよね。

ちゃんみな:やっぱりこのままでは前に進めないと思いましたし、私は友達が好きだったからこそ、友達といると自分がやらなきゃいけないことをおろそかにしているとも感じて。

――こうして今、ちゃんみなとして活動する中で、そのときの友達とまた会うことはありましたか。

ちゃんみな:そのときの友達全員と連絡が取れているわけじゃないですけど、そのうちの何人かは毎回ライブに来てくれるし、今でもすごくいい友達です。

――今年3月に行われた横浜アリーナ公演「AREA OF DIAMOND」ではエンターテインメント性の高い演出と目の前の観客に訴えかけるパフォーマンスで魅了しました。いつもどんな想いでステージに立っていますか。

ちゃんみな:私の中で曲を書くことはプライベートなものなので、一人の女の子の人生として正直に書いているんです。これを誰かに届けたいというより、人生の一部を形に残すというイメージ。なので、ライブやエンターテインメントというのは曲作りとは違って、みんなに魅せにいく、見てもらう発信の場所。曲からどんなメッセージを見出して、みんなに伝えるかを考えるのがライブです。

――エアリアルと呼ばれるアクロバティックな空中パフォーマンスも本当に素晴らしかったです。ステージ上では高い場所も怖くないほどの勇気が湧いてくるものなんですか。

ちゃんみな:普通に怖いですけどね(笑)。特に私が輪の真ん中にいて、後から2人のパフォーマーが乗ってくるときなんかは揺れるので怖いです。ただ、エアリアル歴は結構長くて、ライブでも少しずつ取り入れながら、もう5年くらいやっています。最初は練習しても、使ったことのない筋肉を使うので全然できなかったですけど、もともとバレエやチアもやっていたこともあって、1~2か月くらいで徐々に慣れてきました。

――そうしたライブパフォーマンスのアイデアはどういうところから浮かぶものですか。

ちゃんみな:それは日常的にずっと考えていることです。ずっと考えている中で、その時どきのステージのテーマとすり合わせながら作っていく感じです。

――そのために普段からいろんな舞台を観に行ったり?

ちゃんみな:一緒に演出をやってくれている、ダンサーであり演出家のミカエウとゲンタに誘われたライブや公演は行くようにしてますが、そのために行くということではないです。私たちはそれより、3人でドライブしてるときの方がアイデアが出るんですよ。

――ミーティングではなくドライブってところがポイントですか。

ちゃんみな:そうかも(笑)。ちゃんみなのライブ作りにおいて重要なうちの一つが、私とミカエウとゲンタのいる3人のチーム。全てのことがこの3人から始まって、衣装や照明など、各チームに振り分けられていくんですけど。ドライブ好きな、この3人のLINEのグループ名が〈遠出愛好会〉。だからライブ前になると、スタッフの間では「それ〈遠出〉に確認した?」なんてやり取りが頻繁に行われています(笑)。

Entame

ちゃんみな 1998年10月14日生まれ。日本語・英語・韓国語を操るトリリンガルラッパー/シンガー。2017年、高校在学中に「FXXKER」でメジャーデビュー。今年3月には横浜アリーナでワンマンライブ「AREA OF DIAMOND」を開催。4thアルバム『Naked』が発売中。ヒット曲「美人」にAwichを迎えたリミックスも話題に。

※『anan』2023年6月21日号より。写真・苗江 スタイリスト・加藤吏紗 ヘア・北村雄太 メイク・野﨑裕子 インタビュー、文・上野三樹

(by anan編集部)