驚異の18歳・諭吉佳作/men「オタクの妄想力で音楽を作っているのかも」
オタク的な妄想力で音楽を作ってるかも。
「ピアノを多少習っていたのは土台としてあるのかもしれないですが、楽譜は読めないので全てを打ち込みで作れたら何の制約もないなって。学校にうまく通えなかったので、いわゆる普通に学校に行って生活している子とはズレがあったかもしれません。人との関わりがなかったから、バンドをやるよりも一人で音楽をやった方が早いと思ったんですよね」
’19年に、でんぱ組.incへ楽曲提供を行った「形而上学的、魔法」「もしもし、インターネット」でも抜群の音楽センスを発揮。
「お話をいただいた時に、単純にファンだったので戸惑いました(笑)。不登校だった時に、でんぱ組も頑張ってるから頑張ろう、と思わせてくれた存在でしたから。ファンをやっているグループに関わるってどういうことか、大丈夫なのか? と今も思っています」
今年の5月に、脚本家・坂元裕二の朗読劇『坂元裕二 朗読劇2021』主題歌を含む全て書き下ろしのEP『からだポータブル』と、崎山蒼志や長谷川白紙、根本凪(でんぱ組.inc/虹のコンキスタドール)らとのコラボ曲をまとめたEP『放るアソート』の2枚同時リリースでのデビューも華々しい。何故こんなに、時に奇抜なアイデアでリズムもメロディも自在に操るような音楽を生み出せるのだろう。
「裏付けが何もない、音楽理論がわからないからこその自由もあるにはあるのかもしれないですね。知らないことの怖さもあるので、これからはわからないですけど。それに昔からオタクでアニメやボカロが好きだったこともあって、常にオタク的な思考の組み立て方をしています。オタクの妄想力で音楽を作っているのかもしれないです」
撮影時の凜とした雰囲気も、取材時の受け応えも十分に大人っぽい。18歳ならではのエピソードってある? と聞くと「思春期だからいつも悩んでます!」と笑った。
ゆきちかさくめん 2003年生まれの音楽家。中学生の時に出場した「未確認フェスティバル」で審査員特別賞を受賞。iPhoneのみで楽曲制作をスタートさせ、次世代の新たな感覚と唯一無二の楽曲センスが話題を呼ぶ。執筆活動やイラストなどクリエイティブの幅は多岐にわたる。
※『anan』2021年8月4日号より。写真・川村恵理 取材、文・上野三樹
(by anan編集部)