「デート中の推し活でトラブル…」22歳女性を救った男性の「最高すぎる言葉」

文・三松真由美 — 2024.2.15
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、推し一筋でリアルな恋愛に縁がなかった22歳女性。バイト先の男性に突然告白され、驚きつつデートするもトラブルに遭遇してしまい…。「いい彼氏」になれるのはどんな男性なのか、三松先生が教えてくれます!

風花(22歳)、ぬい撮り中に「非常識ね」と指摘され動揺。私って常識レスなの??

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【レスなひとびと】vol. 231


風花には推しがいる。お出かけの時は、いつだって推しぬいと一緒。ぬい活は、風花の暮らしのなかの欠かせないルーティンだ。そして、同じグループを推してる子とのお出かけが、一番気楽だった。推し仲間はすべてを分かち合える。
だから、バイト先の竜崎くんに誘われたときは心底驚いた。

「間宮さん、この通り沿いにパフェ専門店がオープンしたの知ってる? 僕、甘党なんだ。男一人だと行きづらいから、付き合ってくんない? や、もちろん興味なかったら全然断ってくれていんだけど」

「えっ! エミリーパフェのことかな。ま、まぁいいけど…」

高さのある盛り付けがキレイなそのパフェ店は、SNSでも話題になっていた。今月限定のいちごパフェは、推しのメンカラの赤と同じだから、写真を撮ったらすごく映えそうで、正直ひとりでも行こうと思ってた。だから、勢いでOKしちゃった。

「あの、うち、推しがいて。カフェとか行くと、いっつも推しのぬい…あ、小さいぬいぐるみなんだけど…と写真撮ってるんだよね。竜崎くんはそういうの、恥ずかしくない?」

「え、全然。てゆうか知ってるよ、間宮さんがよく、休憩中にぬいと写真撮ってるの」

(み、見られてたのかあ)

思わぬ発言に、顔がホワンと赤くなる。

「ごめん、やっぱ言う。男一人だから入れないんじゃなくて、間宮さんが気になってるから一緒に行きたいの」

(って、どういう展開?…)

突然の告白。これまで推しにしか恋愛感情がなかった風花は心臓が飛び出そうになる。

とはいえ、同時に思う。なかなかうちの推し活を理解するのは難しいだろうな、と。悶々。

(パフェ店でのうちを見て、竜崎くん、常識ないやつって、きっと引くんだろうな)

1週間後、竜崎くんが予約してくれたパフェ店に行った。予定通り、いちごパフェの隣にぬいを置いて撮影タイム。
絶対映える。ウキウキだ。意外にも竜崎くんはそれを楽しそうに見ている。と、そのとき。

「あっ、汚〜い」

こちらに向かって、すぐ隣のテーブルの女性が大きな声を出した。目がつり上がって怖い顔。驚いて固まっていると、こう言った。

「あなた、不衛生じゃない? 洗濯もできない汚れたぬいぐるみを食べ物のそばに置いて。隣の席にいる私達のことも考えてよ。子どもじゃあるまいし。非常識よ」

店にいるみんなが、こちらを見ている。不意打ちすぎて、言葉が出ず、ぬいをテーブル下に隠してうつむいてしまう。
涙がこぼれそう。

(やっぱ、常識はずれかあ。竜崎くん、きっと、こんなうちといるのは嫌だろうな)

「そんなふうに指摘してくるほうがずっと非常識です。僕たちは、予約のとき、お店の方に人形と写真を撮っていいかの確認を取ってますよ」

(え…?)

竜崎くんの言葉に顔を上げる。すると、説教女は「うるさいわね! 気分悪いわ。ここで食べるの嫌になったわ」と言ってレジへと立ち去っていった。

(竜崎くん、そんなことまで確認しておいてくれたんだ)

「さ、撮って! いつも楽しそうに推し活してる間宮さんのこと、いいなと思ってたんだよ。一生懸命でいい感じだなって」

ほんと、竜崎くんには、ドキッとさせられっぱなしだ。


【三松さんからのコメント】

今や、20代の半数は推しがいるとも言われています。実際にフル推し活をしている人の割合はもう少し低いかもしれませんが、それでも「ぬい撮り=周囲に引かれること」というふうに考えて、自分から身を引く必要はないない。勇気を出してデート、行ってみてよかったですね!

それにしても、急に怒鳴られたのは災難でした。ぬいを置いているのは、風花さんのパフェの隣。その説教女のパフェではないですし、同席しているわけでもない。自分のなかの常識を振りかざし、個人を怒鳴り、公の場で辱める。そのひとこそ非常識な行動だわあと感じました。

思わぬアクシデントが起きた時の咄嗟対応って、性格が出ます。さっと動いて、かばってくれた竜崎くん、ナイスです。
きっと、風花さんが心から楽しめるように事前準備してくれていたのですね。気遣い度抜群。これからのおふたりの進展が、楽しみです。

「常識レスかなと感じてるあなた。空気を読む力があれば大丈夫。時と場所を考えて気遣いを。それを補ってくれる彼氏をゲッチュできれば幸せ者です」


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三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。


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