高確率で運命の人かわかる!…「本命彼氏にふさわしい」男性の言動
カリン(21歳)お家レスで大切なことに気づいたうえに彼氏できそうな予感
【レスなひとびと】vol. 110
「今日だるいんで、休んでいいっすか? え、ダメ? じゃあもういいっす。辞めます。はい」
電話を切ると、ベッドにバフンっとスマホを投げた。実家で両親と兄と暮らすカリンは、飽き性でめんどくさがりや。バイトもすぐ辞める。平均20日しか続かない。半年で6件辞めた。
リビングに行くと、兄の茂樹が、大学時代からの友人、修二とゲームをしていた。修二は菅田将暉似の顔立ちで、なんともいえないオトナの雰囲気。目が合ったカリンはひそかにトキめいた。
「あれ? カリン、今日バイトじゃないの?」
「辞めた。だるいから。わたしに合う職場じゃなかった」
「お前、そんなんばっかじゃん」
「だよねえー、ザンネンなわたしーー」
カリンはふざけて笑う。茂樹がトイレに行った隙に、修二が話しかけてきた。
「カリンちゃんって苦労したことないでしょ」
「は?」
「実家で暮らしてて、不自由なさそうだし。だから、バイト先の人の気持ちもわからないんじゃない? もっとちゃんとしないと将来落ちぶれるよ」
ムカッ! そしてガーン…
「なんで初対面のあんたにそんなこと言われないといけないの! うち、ひとり暮らしなんか余裕でできるし」
無性に怒りが湧いた。カリンはひとり暮らしの部屋を借りると即決。めんどくさがりのくせに沸騰しやすい、やっかいな性格。「実家出て自立するし」と鼻息荒い。頭金を母親にせがむと、「ま、あんたの自立のための修行だと思って、出したげる」と、あっさり貸してくれた。
「やっぱ、親に頼るってとこがうちの甘いとこかも…」と思ったものの、まずはひとり暮らしだ。4畳一間の部屋しか無理だったが。速攻、近くのコンビニの面接に行って働くことに。
コレがむちゃくちゃキツかった。早朝シフトか深夜枠しか空いてないので、体内時計の調整がうまくできず、ずっと眠い。一回寝坊してしまい、店長からクビ宣言。他のバイト先は受からなかったから、ここを辞めると実家に戻るしかない。悔しい。
「家賃の支払いがあるから辞めるわけにはいかない」…と泣いた。猛烈反省で許しを得た。
一緒にシフトに入った同い年の美希は大学費用を払うために働いてると言う。ふたつ上のお姉さんはシングルマザーで、生活資金が足りないから昼も夜も働いていると。
「そうかあ。みんな頑張って生きてんだなあ…」
美希と一緒になってから、真面目に日々の業務に向き合うようになり、20日過ぎても続いていた。日中も働けるようになった頃、修二が買い物に来た。
「ひとり暮らし、どうよ」
「うん。うちが間違ってた。たしかに苦労知らずだったなって。自分で家賃払うってマジきつい。今まで20日で辞めたバイトばっかだったけど、店の人に迷惑かけて悪かったなと思うよ」
「ほう」
「あんとき、正直ムカついたよ。でも、それでひとり暮らし始めたから、結果よかった。サンキュ」
ボソボソと答えて顔を上げる。修二がカリンの目を見て微笑んでいた。あらららら、頬が熱くなる。
「バイトのあと空いてる? 俺のおごりで天丼食うか」
もうすぐ22歳の誕生日。少し早めの春の予感だ。
【三松さんからのコメント】
どういうときに人を好きになりますか?
見た目が好み、話し方がやさしそうって思った、尊敬できるとこが多い、など好きポイントはさまざま。好きになったひとが表面だけでなく、心からあなたのことを想っているかどうか。それはとても重要なこと。上っ面の褒め言葉や、チャラい誘いには気をつけて。
カリンさんは、修二さんの言葉に最初むかつきましたが、速攻行動し、生きるのに大切な心構えに気づく。耳が痛い言葉を、どう受け止めるかってとこが運命の分かれ道です。
怒って、そのひとを嫌いになるか。
自分の反省点に気づくことができるか。
自分から実家を出たのだから、すぐにめげて帰るわけにはいかない。奮起させてくれたひと言は、落ちぶれる将来からカリンさんを救ってくれたのです。実家を出て自分で生計を立てる。当たり前のようでむずかしい。覚悟がないと、すぐにヘタレてしまいます。
苦労知らずのカリンさん、大切なことに気づけてよかったよかった。災い転じて福となす。周りにリップサービスばかりする男性が多いと感じたら、深い呼吸をして心の目で他者を見つめて。厳しい言葉、弱い部分を指摘する言葉を告げてくれるひとこそ、運命の相手…の可能性があるもんです。
「飽き性でひとつのことが続かないザンネンなあなた。自分を逆境に置いてみて。けなげに生きる姿を認めてくれるひとが突然ポポポーンと現れるから」
三松 真由美
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。
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三松真由美 note 恋と結婚とエッチのテーマ更新中
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「君とはもうできない」と言われまして
©Westend61/Gettyimages