ヒトの赤ちゃんも育てますよ…猫さまが飼い主の息子に与えた影響とは
取材、文・Manabu Matsunaga — 2023.6.25
フランス在住のカメラマン、松永学さんによる、フランスの猫さま紹介! 第147回目はトンキニーズのエル(L)さまの登場です。
東京生まれの猫さまの物語
【フレンチ猫さま】vol.147
猫さまの話をもっと聞かせて!
エルさまは13歳の女性猫さまです。
エルさまが語ります。
私はパリの6区の小さな道沿いにあるアパルトマンに住んでいます。今年で14歳になり、活動的な時間が減ってきてずっと寝ています。飼い主もよく寝る似た者同士です(笑)。
夜になるとちょこっと活動して、また寝ます。『ROYAL CANIN』のカリカリが主食です。特別な日のごはんはありませんが、かつおぶしはたまーにもらうと笑顔になります。基本的に人間の食べ物には全く興味がないので食卓の食事を狙うことはありません。でもグラスに入った人間の水を飲むことはあります。
大好きな居場所はクローゼットの中。いつも薄暗くてよく眠れます。飼い主の膝の上も大好き。ブラッシングしてもらった後の自分の毛玉で遊びます。あとはキャットニップが入ったねずみです。
性格はとにかく人懐っこく、くっつきたがりです。甘えん坊でやさしいとよく言われます。猫のアールちゃんがいた時はお姉さんキャラだったけれど、彼女が去ってからは甘々な性格(犬っぽい?)になりました。 特技はセントラルヒーティングの溝にからだを沿わせて寝ること。チャームポイントはとがったあごひげですかね。
飼い主から見たエルさまは
生まれた時から実家には猫がいました。1人暮らしを始めた当初は猫がいない生活に耐えられず、猫のタトゥーを入れました。年齢=猫歴です。2009年に東京でエルとアールを迎え、2011年に渡仏。2013年、ロシアンブルーのアールが当時住んでいたブルゴーニュ地方で事故に遭い、そのあと病院で息を引き取りました。それからはエルと暮らしています。今年新しい1匹を迎え入れようと考え中です。エルはフランス生活を共にサバイブしてくれているメンターのような存在です。誰よりもいちばん一緒にいる家族です。
思い出深いのは2016年、私に息子が産まれて初めて病院から連れて帰ってきた時。エルはなんともいえない表情で、不思議そうに泣く息子を見つめていたのを思い出します。その後も息子の成長にやさしく寄り添ってくれています。年齢=猫歴であるがゆえ、猫の存在は私にとってあまりにも普通であり必要です。息子を見ていると、かつて自分がそうであったように、小さな頃から動物と共同生活しているがゆえに得られる感覚(他者への思いやりや、癒しを与えてもらう喜び、別れなど)があると感じます。数年前に実家の猫達のうちの1匹が死んだとき、悲しみと同時に深い感謝の気持ちが湧きました。
将来エルとのお別れの仕方なんて考えてもいませんが、きっとものすごく深い感謝が生まれると思うので、その時はきちんと伝えたいと思っています。当然今も、私の人生に存在し続けてくれていることに、付き合ってくれていることに感謝しています。
ーー飼い主にとっては猫さまとの生活は必須事項です。猫さまを通して成長してきた経験は、彼女の息子さんにも伝わっていくのでしょうね。息子さんが大きくなった時、自分の猫さまを飼う時には、また話を聞いてみたくなりました。
著者情報
松永学
猫さま好きフォトグラファー。雑誌、webなど多くの媒体で活躍。猫歴、実家に通っていた野良を含めると10匹以上、パリには2匹の猫さまを連れて移住、現在は保護猫3匹と暮らす。どこへ行っても通りで見かけた猫さまに挨拶は忘れません!