志村 昌美

「男女の友情は成立する」徳永えりが断言する理由と夫に告げた言葉とは?

2019.6.5
男女における友情や恋愛の悩みは、いつの時代も尽きないところ。女子会でもたびたび取り上げられるテーマのひとつでは? そこで、男女間の友情について描き、高い共感を呼んでいる注目作『月極オトコトモダチ』をご紹介します。今回は、本作についてこちらの方にお話を伺ってきました。

主演を務めた徳永えりさん!

【映画、ときどき私】 vol. 237

主人公の望月那沙を演じたのは、昨年30歳にして連続ドラマ初主演を果たした女優・徳永さん。劇中では、WEBマガジンの編集者である那沙がレンタル友達を使って「男女の間に友情は存在するのか?」を検証するなかで、さまざまな感情に向き合う姿が描かれています。そこで今回は、男女の友情や自身の恋愛観、そして新婚生活までいろいろと語っていただきました。

―「男女の友情はあるか、ないか」という長年語られ続けているテーマと、いまどきの「レンタル友達」という組み合わせがおもしろいと感じましたが、最初に聞いたときはどう感じましたか?

徳永さん 今回はプロットの段階でお話をいただいたのですが、「答えがあるようでないテーマでどうやって物語を作っていくんだろう」という疑問と興味がすごくありました。

―では、さっそくですが、徳永さんは男女の友情はアリ派? それともナシ派ですか?

徳永さん 私はアリ派ですね。取材でもよくこの質問をしていただくのですが、記者のみなさんはナシ派が多くて驚いています。私には男友達もいますし、成り立つものだと思っていたので、そんなにありえないものなのかと。でも、人によって感じ方が違うのがこの映画のおもしろいところだとは思います。

―私もアリ派なので、ナシ派が多いと聞いて少し驚きましたが、反対側の意見を聞いてみてどう感じましたか?

徳永さん 「なるほどな」と思うこともあります。ただ、劇中でも那沙が「どっちかが恋愛感情を抱いたら友達とは言わないと思う」というセリフを言いますが、それは私もすごくわかります。

―以前、ナシ派の男性に意見を聞いたことがありますが、「男性は基本的に気がない女性と食事に行かないから、男女の友情はない」と言われたことがありました……。

徳永さん アリ派からすると、必ずしもそういうわけではないですよね! むしろ、女友達にちょっと話しにくいことでも男友達なら言えることもあると思うので。

夫と私はどちらも男女の友情はアリ派

―ちなみに、本作に関わるにあたって、ご夫婦で「男女の友情はアリかナシか」というお話もされましたか?

徳永さん 男女の友情についてというわけではないですが、「私が男友達とご飯に行くのは嫌?」と事前には聞いたことはありました。そのとき夫は、「全然いいよ、いってらっしゃい」みたいな感じだったので、私たちはどちらもアリ派なんだと思います。

―ということは、徳永さんが男友達と出かけることには寛容なんですね。

徳永さん そうだと思います。というのも、もしやましいことがあったら私も言わないと思いますけど、そういうことがないからでしょうね。私も彼が女友達と出かけても大丈夫です。

―それは、ちゃんと報告してくれれば問題ないということですか?

徳永さん そうですね。ときどき事後報告もありますが(笑)。でも、結局は信頼関係の話だと思います。以前、別の現場でそういう話になったことがあるんですが、ご結婚されているある役者さんは自分の妻がほかの男性とご飯に行くのは嫌だというタイプでした。

理由を聞いたら、「何のために行くの? 俺と一緒にいたほうが楽しくない(笑)?」みたいことをおっしゃっていたんです。私にはその考え方はわかりませんでしたが、人それぞれだし、ご夫婦の関係性もあるだろうから、いろいろな方がいるんだなと思いました。

―ご自身は結婚したことによる心境の変化はありませんか?

徳永さん いいのか悪いのかわからないですけど、私はけっこうさっぱりしているほうなんです。なので、夫にも、「今回縁があって一緒に過ごす道を選んだけれど、どこまで行っても私は私の人生だし、あなたもあなたの人生だから、お互いに自立していくというのは変わらないと思う」と伝えました。

そしたら、「それはすごくわかる」と彼も言ってくれたので、夫婦という形でいろんな経験をしていくとは思いますが、そういう部分はこれからも変わらないと思っています。

―おふたりそれぞれがすごく自立していらっしゃるからこそですね。

徳永さん たとえば、何かを一緒に楽しめることはいいと思いますが、全部が全部そうではないかなと思うんです。私には私のコミュニティがあって、彼には彼のコミュニティあるので、そこはそれぞれ存分に楽しんだほうが健康的だろうなと思うからです。

―とはいえ、やはり一緒に住むと価値観の違いを感じたりすることはないですか?

徳永さん もちろん他人同士なので、合わないことは絶対にありますし、価値観の違いというのも出てきますよね。でも、ちょっと特殊なのが、彼は私が怒っていることに気がつかないとてもハッピーな人だったりしまして…。なので、「怒っている時間がすごく無駄だな。やーめた!」と私もなってしまうんです。

彼は太陽みたいな人で、私がいままで出会ってきたなかでも珍しい存在なんですが、おそらくそういったエネルギーのほうが負の感情に勝ってしまうんだと思います。そんなふうに力をもらいながらうまくやっているところです。

友情と恋愛の境界線は本人たち次第

―今回、男女の友情を考えるうえで興味深かったのは、友情と恋愛の境界線を実験するシーン。「手をつなぐ」「キスをする」など段階がありますが、どこまでが境界線だと思いますか? 

徳永さん 難しいですよね……。あまりよくないと言われるかもしれませんが、私はいくところまでいっても2人が友達だと思うなら、友達なのかなと。それによってどちらかが恋愛感情を持ってしまったらアウトですが、それでもお互いに成り立っていて、本人たちがいいならば、それは友達と言えるんじゃないかなと思うタイプです。

―では、男友達だと思っていた人を好きになってしまった経験はないですか? 

徳永さん ないですね。友達は友達のまま続いています。

―逆に、友達だと思っていたら、実は相手が自分のことを好きだったことは?

徳永さん それも全然ないです。というのも、私は相手に気がないときはあからさまに態度で出してしまうほうなので、もしそういう気持ちを持ってくれたとしても「どうせないだろうな」と思われていたのかもしれません(笑)。

―ということは、好きな人の前だとわかりやすいタイプですか?

徳永さん そうですね、わかりやすいと思います。私は恋愛として好きだと思ったらイエスかノーか早くはっきりさせたいと思っていて。ダラダラしているくらいなら、自分から言ってしまうか、相手に言ってもらう方向へ持っていきますね。そうじゃないと、時間がもったいないと思ってしまうんです。でも、はっきりしすぎて色気がないかもしれないですね……(笑)。

―逆に言いたいけど言えない女性のほうが多いと思うので、何かアドバイスをいただきたいです!

徳永さん たとえば、もし2人でご飯に行く機会があれば…2人でご飯に行くというのは “好きエリア” には入れているんだろうなと思うので、そういうところで相手が自分に好意があるかないかはだんだんわかって来ると思うんです。そしたら少しずつパーソナルエリアに入っていくのがいいと思います。

とはいっても、別にやましいことはしませんが、ちょっとずつ距離を詰める感じです。

気になる人はすぐに食事に誘えるタイプ

―そうなんですよね……。ということは、自分から食事に誘えるタイプですか?

徳永さん 私は興味ある人には、「ご飯行きましょう!」とすぐに言えるほうです。逆に興味ない人と食事に行くほうがつらくないですか?

―それはありますが、「好きな人に断られたらどうしよう」という傷つきたくない気持ちが強いのかもしれないです。

徳永さん でも、断られるということは割と早い段階で諦めがつきますよね。私は得体の知れない「どうしよう」「どうなるの?」と考える時間のほうがつらいと感じてしまうので、「それだったら、痛みを伴ってでもぶつかってやれ!」という当たって砕けろの精神のほうが早くていいかなと。もちろんダメだったら凹みますけど、人の気持ちなのでしょうがないかなと思います。

―落ち込んだときは、どのようにして立ち直っていますか?

徳永さん 友達になぐさめてもらっています。そこで話を全部聞いてもらって、泣いたら終わりですね(笑)。仕事も恋愛も、仕方がないことは仕方がないというか、やっぱりご縁ってあると思うんです。「これはいまのタイミングじゃなかったんだな」というのが、私のなかで諦めのポイントにもなりますね。

―そういう風に考えられるようになったきっかけはありますか?

徳永さん ちょっとスピリチュアルな話になりますけど、「“上の人”がそうさせているのよ」と美輪明宏さんがおっしゃっていたのを聞いてすごく納得したんです。たとえば、受験がダメでも落ち込む必要はなくて、それは“上の人”が間違った方向に行こうとしているのを正しているだけ。

そういう風に考えるようにしたら、嫌なことがあっても、「いまはそういう時期なのかな」と考えるようになりましたし、逆にいいことがあったときは「ご縁があったことに感謝して誠実に向き合おう」と思えるようになりました。

―それは、美輪さんから直接聞かれたのですか?

徳永さん いえ、テレビで見ました(笑)。でも、そのときに「よし、私もそうして生きて行こう」と思うようになったんです。

自分がどうなりたいかに焦点を当てて欲しい

―では、最後に仕事や恋愛に悩んでいるananwebの女性たちにメッセージをお願いします!

徳永さん 結婚する前は取材でも「好きなタイプは?」と聞かれていたのに、30歳を過ぎてから突然「結婚に興味ありますか?」と具体的な質問にどんどん変わっていきました。そのときに、「もしかしたら年齢的なレッテルを貼ってくるのは周りの人なのかも」と気が付いたんです。

そんな風に、本人が考えるよりも周りからの圧のほうが強いと思うので、あまり周りに流されずに、自分がどうしていきたいかを考えることが大事だと思います。体力やお肌など、衰えてくることもたくさんありますけど、年齢を重ねたからこそ、10代や20代ではわからなかった楽しみもあるはずです。

なので、5年後、10年後に自分がどうなっていたいかということに焦点を当てて、みなさんには人生を歩んでいって欲しいですし、私自身もそうありたいと思っています。結婚すると、次は「子どもは?」と言われるかもしれませんが、子どもがいるかいないかが幸せに関わるわけではないので、仕事でも恋愛でも自分が幸せになるための道を見つけていって欲しいなと思います。

インタビューを終えてみて……。

幸せオーラ全開で笑顔がステキな徳永さん。悩める女性たちの背中をグッと押してくれるような前向きな姿に、元気と勇気をたくさんいただきました。徳永さんの行動力も含め、ぜひとも見習いたいと思います!

共感と胸キュンが止まらない!

誰もが一度は経験したことのある男女の友情問題。正解が出ないからこそ、観たあとは話し合わずにはいられないはず。男女間における“最大の難問”を前に、あなたが出す答えとは?

ストーリー

WEB編集者として働くアラサー女子の那沙は、ひょんなきっかけで「レンタル友達」を生業としている草太と知り合う。そこで、男女の友情は成り立つのかを検証する連載企画のために、草太を1か月15時間まで使える月極プランの契約を結ぶことに。

その後、友達以上恋人未満の距離感を保ち続けていた2人だったが、那沙のリアル友達である珠希は音楽を通じて草太と距離を縮めていくのだった。この不思議な関係が行きつく先とは……?

ドキドキの予告編はこちら!

作品情報

『月極オトコトモダチ』
6 月 8 日(土)より、新宿武蔵野館、アップリンク吉祥寺、 イオンシネマ板橋ほかにて全国順次公開
配給:SPOTTED PRODUCTIONS
©2019「月極オトコトモダチ」製作委員会
https://tsukigimefriend.com/

スタイリスト:道端亜未
ヘアメイク:コール 尾口佳奈

トップス ¥18,000 (UNITED TOKYO) 問合せ先:ユナイテッドトウキョウ 新丸ビル店(tel 03-6273-4944)
スカート ¥13,000(PUBLIC TOKYO) 問合せ先:パブリックトウキョウ ウィメンズ新宿店(tel 03-6258-0533)