不動産会社の経営者が教える! 収納スペースでわかる「選んではいけないNG物件」

取材、文・髙倉ゆこ — 2024.1.1 — Page 1/2
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者でもあり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、収納スペースでわかる「選んではいけないNG物件」について教えてもらいました。参考にして物件選びにお役立てください!
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NG1 「収納率」が適切ではない物件

収納率とは、一戸建て住宅の総床面積に対する収納部分(クローゼットや押し入れなど、床から天井まで高さのあるスペースのこと)の面積比率のこと。

マンションの場合は、建物の専有面積に対する収納部分の割合について表す数字です。

一般的に、一戸建て住宅は13~15%、マンションは8~10%程度の収納率が適切だと言われています。たとえば専有面積75㎡のマンションなら、6~7.5㎡(約3~4.5畳)程度ということになります。

収納率が低すぎるとものがあふれて部屋が散らかる原因となる一方、収納率が高すぎる物件はその分、居住スペースが削られて狭くなっているというデメリットがあります。

つまり収納率は、広すぎたり狭すぎたりしない適切な収納スペースがある物件かどうかの目安のひとつとなるのです。

候補の物件がある方は収納率について頭に入れつつ、間取り図を見て計算したり、内見時に収納スペースの採寸をしたりして確認しておいてください。

NG2 吊るす収納ができない押し入れ

築年数が古い物件では、メインの収納スペースが押し入れのみというところがかなり多いです。

押し入れは奥行きがあり、上下段に分かれていることから布団やシーズンオフのグッズなどを箱や袋に入れて収納しておくのに便利です。

その一方で、「奥側に何をしまったかわかりづらく、取り出しにくい」「パイプハンガーが付いていないので洋服が吊るして収納できない」といった不満の声を聞くことも多いです。

とくに、コートやスーツ、ワンピースなど丈の長い洋服や、畳むとシワになりやすい衣類を収納するときに不便です。

つっぱり棒で「即席クローゼット」を造ったり、別途、ハンガーラックなどを購入して収納スペースを増やしたりすることも可能ですが、「押し入れ内の強度が不安」「家具を置くと部屋が狭くなってしまう」といったデメリットも生じてしまいます。

押し入れしかない物件を購入する場合は、業者に依頼し、クローゼットにリフォームするのがおすすめです。

ふすまを扉に交換し、棚を撤去してハンガーパイプを取り付けるという工事が一般的ですが、もしスペースがあるようなら拡張してウォークインクローゼットにすることも可能。

工事費用も7~20万円程度とそれほど高額ではないので、検討してみてもいいかもしれません。

NG3 収納スペースがないトイレ

築年数が古い物件の特徴として、トイレに備え付けの棚など収納スペースがないことが多いです。

たくさんのものを置くことが難しくても、せめてトイレットペーパーの予備やサニタリーグッズなどは、手の届く場所に備えておきたいもの。

NG2と同様、つっぱり棒やDIYで棚を造ったり、ラックなどを置いたりすることもできますが、手間や費用、耐久性、衛生面などを考えると、やはり元から収納棚が付いている物件のほうがおすすめです。

また棚が高い位置に付いていて、女性やお子さんの手が届きにくい場合もあります。

築年数が古い物件を検討するときは、トイレ収納があるか、それが使いやすい位置に付いているかも忘れずにチェックしておきましょう。

NG4 収納が多すぎるキッチン

NG1の収納率の話にもつながりますが、キッチン収納は「多ければ多いほどいい」というわけではありません。空いているスペースがあると、ついものを詰め込みたくなってしまうもの。

収納スペースが多いがゆえに不要なものまでしまいこみ、本当に必要なものが見つけづらい&取り出しづらいと嘆いている方が、じつはとても多いのです。

家族の人数にもよりますし、あまりにもスペースがない物件は論外ですが、キッチン収納=大容量にこだわらなくてもいいと思います。

大切なのは、家事導線にそった適切な場所に、使用頻度の高いものを収納できるかどうか。

普段使いする数量の食器やカトラリー、キッチンツールなどが取り出しやすい場所に収納できそうか、もし家具を追加で購入するとしたらどのくらいのサイズのものをどこに置くかなど、内見の際にイメージしてみてください。

またこれもよくお客様から質問を受けるのですが、「ゴミ箱をどこに置いたらいいのかわからない」というのも、キッチン収納あるあるかもしれません。

隠す収納を推奨する専門家もいますが、とくに使用頻度の高い可燃ゴミ用のゴミ箱を、使うたびに出したりしまったりするのは非常に面倒なので、あまりおすすめできません。

ゴミ箱=美しくないものだから隠したい、という発想を逆手にとって、私はキッチンのどこに置いてもいい、おしゃれなゴミ箱を選んでみては? と、アドバイスしています。

生活感が出ないようなスタイリッシュなゴミ箱、センサーで開閉するハイテクなゴミ箱、アクセントになりそうなポップカラーのゴミ箱など。

ご自分の好みや部屋のインテリアに合わせて選び、家事導線の邪魔にならない(捨てやすい)場所に置くのがおすすめです。

不燃ゴミ、ビン、缶、ペットボトルなど捨てる頻度が少ないものについては、隠す収納などを活用してもいいと思います。

Information

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<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。
https://www.cotorire.com/

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取材、文・髙倉ゆこ


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