実は略語でした! 「シャーペン」、もともとの名は何でしょう?

文:田代わこ — 2022.10.28
ふだん何気なく使っている言葉のなかに、実は略語がけっこうあります。これって略語だったの!? と驚く略語をご紹介。今回は、「シャーペン」です!

【実は略語】vol. 7

「シャーペン」って、何の略?

誰もが必ず使ったことがあるシャーペン。社会人になってからは、使う機会が減った人もいるかもしれませんが、どの家庭や職場にも1本は置いてあると思います。

そんな見慣れた文具の「シャーペン」も、実は略語。いったい、何の略でしょう?

シャーペン、もともとは…?

シャーペン、もともとは「エバー レディ シャープ ペンシル」の略でした!

かなり長い名前ですねー。

レディは、「淑女」のladyではなく、「準備が整っている」のready。英語の表記は、EVER READY SHARP PENCILとなります。

シャーペンの歴史は…

名前の由来を知るために、シャーペンの歴史を調べてみました。

『世界大百科事典』(平凡社)によると、1837~38年ころのアメリカで「エバーシャープ(EVER SHARP)」(意味:常にとがっている)という商標で発売されたのが最初。

日本に輸入されたのは1877年で、当初は「繰出鉛筆」と呼ばれていました。

国産のシャーペンが登場したのは1915年。製造業者の早川徳次氏が、金属製の「早川式繰出鉛筆」を発売。その後、名称を「エバー レディ シャープ ペンシル」としました。

そこから「シャープペンシル」となり、今ではシャーペンと略されています。

シャープのシャーペン…!?

国産シャーペン誕生後のサイドストーリーも興味深いのでご紹介。

昭和世代にはおなじみの話かもしれませんが、シャーペンを考案した早川氏が興した会社が「シャープ株式会社」。今はご存じのとおり、文具メーカーではありません。

シャープ公式サイト内の『創業者 早川徳次物語』によると、当時「エバー レディ シャープ ペンシル」は大ヒットし、アメリカでも特許を取得。事業が急成長し、工場も増やして社員も200名を越えました。

しかし、1923年に関東大震災が発生。すべての工場が焼失したため、早川氏は事業を譲渡して大阪で再出発します。しばらくは文具部品を作っていましたが、1925年にラジオ放送がはじまり、国産ラジオの生産・販売を開始。そのラジオに「シャープ」の名前がつけられ、やがて社名にもなりました。

シャーペンは略語でした!

シャーペンは、「エバー レディ シャープ ペンシル」の略語で、シャープ(株)の創業者が考案したものでした。小さなシャープペンシルからはじまり、ラジオやテレビ、さらに現在のIT機器まで手がけるようになった会社の歴史を見ていくと、シャーペン1本にもロマンを感じられます。

意外な略語はまだまだあります。次回もお楽しみに!

『創業者 早川徳次物語』|シャープ株式会社