実は略語でした! 「ワイシャツ」、もともとの名は何でしょう?

文:田代わこ — 2022.8.21
ふだん何気なく使っている言葉のなかに、実は略語がけっこうあります。これって略語だったの!? と驚く略語をご紹介。今回は、「ワイシャツ」です!

【実は略語】vol. 3

「ワイシャツ」って、何の略?

制服や背広の下に着るワイシャツ。白が基本の色ですが、売り場に行くとブルーやピンク、チェックやストライプなどカラフルな柄もあり、TPOに合わせて選べるようになっています。

ショップでも当たり前のように使われている言葉「ワイシャツ」も、実は略語。

では、いったい何の略でしょう?

ワイシャツ、もともとの名は…?

ワイシャツ、もともとの名は「ホワイト・シャツ」でした!

『世界大百科事典』(平凡社)によると、ワイシャツは英語のwhite shirtが転訛(※本来の発音がなまって変化)した言葉。

ホワイト・シャツは明治時代に一般の人たちでも着られるようになり、大正時代にはすでに「ワイシャツ」という名称が定着しました。

ちなみに「Yシャツ」と書くこともありますよね。これはなぜだかご存じですか?

「Tシャツ」という名称が、袖を広げた形がTの字に似ていることからつけられたのと同じように、Yシャツも首の部分がYに見えるから、と思われた方がいるかもしれません。

筆者もそう思っていましたが、『広辞苑』(岩波書店)を調べてみたところ、「Yシャツ」は当て字ということが判明。ホワイトとは何の関係もないYが定着しているという点も、なかなかおもしろいです。

カッターシャツは?

西日本では、ワイシャツのことを「カッターシャツ」と呼ぶ方もいます。例えば、中国地方のクリーニング店で「カッターシャツ特価100円」などという広告を見かけたことがあります。

この「カッター」、いかにも外国語からきた言葉のように思えますが、実は「勝った」をもじったもの。

『日本国語大辞典』(小学館)によると、スポーツ用品メーカー美津濃(現名ミズノ)の元社長さんがつくった言葉で、もともと「カッターシャツ」は商標名でした。

英語ではどういうの?

では、英語圏でワイシャツを買いたいとき、何といえばいいのでしょう。おそらく、「ワイシャツ」も「カッターシャツ」も通じないと思います。

正解は、シンプルにshirt だけでいいようです。

さらに、men’s dress shirts やmen’s business shirtsなどにすると、よりワイシャツに近づきます。また、ネットショップではformal shirtsという表記もありましたので、これらの単語を使えばワイシャツを探せると思います。

ワイシャツは「ホワイト・シャツ」!

ワイシャツは、英語のwhite shirtが転訛した言葉でした。

確かに、英語ネイティブの方が早口で話すwhiteは、「ホワイト」より「ワィト」に近く、shirtと続けて発音すると、whiteの最後の「ト」はほとんど聞こえないかもしれません。

明治~大正時代の人たちが日本語として発音しやすくしてくれた「ワイシャツ」。白色でないワイシャツも増えている今、むしろ「ホワイト・シャツ」でなくてよかったのかもしれません。

意外な略語はまだまだあります。次回もお楽しみに!