志村 昌美

【成海璃子さんに直撃!】不朽の名作を現代版で描いた感動作『古都』の裏側を語る!

2016.12.1
12月に入ると、いよいよ年末のことを考え始める時期ですが、この冬の旅行の計画を立てている人も多いのでは? とはいえ、行き先がなかなか決まらないという人もいるはず。そこで、そんなあなたにオススメの映画をご紹介したいと思います。いますぐにでも飛んでいきたくなるような美しすぎる街並みに、思わずため息がもれてしまう作品といえば……。

世界が誇る伝統の街である京都とパリを舞台にした注目作『古都』!

【映画、ときどき私】 vol. 63

千重子は、京都室町で先祖代々続く呉服屋を継いでからすでに20年が経っていた。しかし、娘の舞にも同じ宿命を背負わせていいものか葛藤する日々。そんな母の姿を見て、舞も店を継ぐべきなのか、それとも自らの力で就職するべきなのか決められずにいるのだった。

一方、千重子の生き別れた双子の妹・苗子も苦悩の日々を送っていた。

苗子は、北山杉の里で林業を営んでいたが、深刻な経営悪化に見舞われる。そんな苗子の娘である結衣は、絵画の勉強のためにパリに留学していたが、描きたいものを見失いスランプに陥ってしまう。それぞれの地で、母と娘の思いが交錯した先に見つけた新たな道とは……。

本作では豪華なキャストが集まっていることも話題ですが、そのなかでもパリでのエピソードの中核を担っているある方にお話を伺ってきました。なんと……。

結衣役の成海璃子さんにインタビュー!

若手女優のなかでも実力派といわれている成海さんは、2016年も映画やドラマ、舞台にと幅広い活躍を見せているところ。そこで、自然体なオーラが魅力の成海さんに、本作の撮影の様子や悩める女子へのアドバイスなどについて語ってもらいました。

今回、成海さんが演じた結衣はパリに留学中の美大生という設定だったため、有名な観光地というよりも、日本ではあまり取り上げられないアーティスティックな場所での撮影が中心だったそう。

パリでのオールロケはいかがでしたか? 

成海さん まず、ボザールという有名な美術学校のなかでも実際に撮影できたのは、うれしかったですね。そのときには、私が演じた役と同じように学校で絵を描いている日本人の方にも協力してもらうことができ、絵筆の持ち方などを現場で指導してもらったり、お話をしたりする時間もあったので、役の雰囲気を肌で感じることができました。

あと、撮影をしていたパリの20区には、色んな人種の方が集まっていたので、街の様子も普通の観光地とはまた全然違っておもしろかったです。

日本と海外では現場の雰囲気もかなり変わりますか?

成海さん やってること自体は変わらないんですけど、外国に行くと私は結構ナーバスになってしまうことがあるんです。それは、たとえ遊びで行っていたとしても同じことで、言葉が通じるところと通じないところではやっぱり違いますよね。

でも、この作品ではナーバスになったおかげで役の置かれている状況に入りやすかったところもあったのかなとは思いました。

テロの影響で撮影の日程もずれたそうですが、不安はありませんでしたか?

成海さん そのときは正直言って、行きたくないなと少し思ったこともありましたけど、やっぱり監督が思い描いていたのは京都とパリが舞台なので、パリで無事に撮影できてよかったなって思っています。

フランス人スタッフともお仕事されてみて、印象に残っていることは?

成海さん トータルで10日ほど滞在しましたが、日本人のスタッフとも現地のスタッフとも本当に楽しく過ごしました。なかでも、ホテルから現場まで車を運転してくれていたドライバーさんと仲良くなったことは、すごく思い出に残っていて、英語もフランス語も話せないけど、フィーリングでコミュニケーションを取ってました(笑)。

基本的には朝から夜まで撮影していましたが、オフも何日かはあったので、パリに住んでいる友達の家に遊びに行ったりして、結構エンジョイしてましたね。

今回は、フランス語と京都弁に挑戦されていましたが役作りで苦労したことは?

成海さん 京ことばは本当に難しかったですが、全部楽しくやれたので、大変だと感じることはひとつもなかったように思います。私はあまり自分を役に重ね合わせたりはしないので、脚本から自分が読み取ったことをやるというのに集中するだけなんですよね。

成海さんも結衣と同じように迷ったり悩んだりした経験はありますか?

成海さん 誰にでもあると思いますが、私も「もうダメだ」と思うことはしょっちゅうありますよ。だから今回は、結衣のセリフや気持ちがわかる部分があるから演じたいなと思いました。

特に学生のころは、まだ子どもを引きずっているところもあったので、いろいろと考えこんだりしていましたけど、高校を卒業して成人してからは、仕事だという意識の方が強くなって、前みたいに甘えてはいられない状況にはなったと思います。

ちなみに、本作の舞台でもある京都で好きな場所があれば教えてください!

成海さん 京都はいままでにも結構行ってますが、好きなご飯屋さんがあって、そこに行くためだけに京都を訪れたこともあります。あとは、以前太秦で撮影しているときに教えてもらったおいしいおでん屋さんがあるんですけど、そのおでんには感動しました。

食べ物のことばっかりで、観光地とか名所にはあんまり行ってないかもしれませんね(笑)。でも、京都はなんか落ち着くので、そこが好きなところです。

最後に、挫折を経験している悩める女子も多いので、ananweb読者にエールをお願いします!

成海さん まずは、「自分のしていることが本当に好きかどうか」ということですね。好きだったら、とりあえず一生懸命がんばって欲しいなと思います。いまでも悩むことは私もたくさんありますし、これは一生ついてくるものかなと思いますが、結局はこの仕事が好きだし、それで生きていかなきゃいけないですからね。

だから、ストレスも溜まりますけど、そういうときはおいしいご飯とお酒をいただくと自然に発散されて、すっきりします。やっぱり、おいしいものを食べるのはすごくいいことだと思います!

古きを知って、新しきを知る!

歴史のある街に生きる母と娘の姿からは、日本の伝統や精神を受け継いでいくことの大切さが胸に響き、そして日本人であることの誇りが身に染みるはず。止まることのない川の流れのように押し寄せてくる思いと、まるで絵画のような目も心も奪う古都の美しさに浸ってみては?

琴線に触れる予告編はこちら!

作品情報

『古都』
12月3日(土)全国公開
配給:DLE
© 公益財団法人川端康成記念會/古都プロジェクト

http://koto-movie.jp/