花田 浩菜

【はぴマネレッスン】vol.16 転職、退職のときの手続きって何をすればいい?

2015.11.10
結婚、出産など節目や、病気などの万が一の際に訪れる「転職」「退職」のタイミング。ライフスタイルの変化が多い女性のほうが、男性よりも身近なものと言えるかもしれません。しかし、いざ会社を辞めるとなったとき、どういった手続きが必要かまではなかなかわからないもの。今回は、そんな「いざ」というときの退職手続きについてお伝えします。

退職前後はやることがたくさん!

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転職や退職は、自分自身で決断する場合もあれば、予期せぬ出来事によって突然強いられる場合もあるでしょう。そんなときにやらなければいけない手続きをご存知でしょうか?

「何をすればいいか」なんてわからない人が多いのも当然です。転職、退職をたびたび繰り返すことはそうないものですよね。実は、退職する際に会社が手続きを行ってくれるもの以外に、退職「前」に調べておくべき事柄や、自分自身で申請しないといけないものがたくさんあるのです。

知らないと損をする可能性もある、退職時の手続きのポイントをお伝えします。

ステップ1〜会社を辞める「前」〜

まず、会社を辞める「前」にチェックしておくべきポイントですが、主に2種類。「社内で積み立てをやっているお金」と「社会保険」です。ひとつずつチェックしていきましょう!

積み立て関係

1. 「財形貯蓄」
はぴマネレッスンvol.12「0からわかる財形貯蓄」でもお話した「財形貯蓄」です。会社を辞める際に退職金やお給料とともに振り込まれるケースと、自分自身で金融機関に出向いて解約手続きをするケースとに分かれます。

注意したいのは「転職」する際です。こちらももちろん解約すればお金は手元に戻りますが、転職先が決まっている場合、「転職先の財形制度」は要チェック。転職前と後とで同じ金融機関での財形制度であれば、転職しても、前の会社で積み立てていた財形をそのまま続けることも可能です。また、別の金融機関であっても預け変えもできるので、調べておきたいポイントですよね。

2. 「持ち株会」
企業によっては、社員が定期的に積み立てながら自社株を取得する「持ち株会」の制度を採用していて、利用している人もいるかもしれません。こちらは、いざ会社を辞めるときには株を自分名義に書き換えて引き続き所有するか、売って現金で受け取るかを自分自身で選べます。

3. 「社内預金」
会社が運用しているため比較的高い金利で預けられるとあって利用者も多い、「社内預金」。社内預金は退職の際に解約請求を行います。請求すると、企業は「7日以内」に必ず返金しなければならない法律があるので、こちらも解約請求の手続きのチェックを忘れずに。

4. 「退職金積み立て」
お給料から一部を積み立てて行うものです。こういった制度のある会社の場合は、退職時に積立金が戻ってくるので必ず調べてみてくださいね。

社会保険関連

1. 「健康保険」
退職時には、健康保険証を会社に返却します。そのまま職につかない場合は、自分自身で役所に出向き、「国民健康保険」に切り替える必要があります。「夫の扶養に入る」などの選択肢もあるので、こちらも合わせて確認を!

2. 「厚生年金」
転職の場合は、次の職場が厚生年金を採用しているかを事前に確認を。万が一「厚生年金を扱っていない」場合、自分自身で国民年金に加入しなければいけません。この手続きも、やはり自分で出向いて行う必要があるため、要チェックポイントです。

3. 「住民税」
会社員の場合、お給料から自動的に引かれている「住民税」。こちらは前年度の収入に応じて金額が決まるので、会社を退職した翌年に納税通知書が届きます。こちらを自分で役所や金融機関に納めにいかねばならないので気をつけて! 実は気づかないで延滞してしまう人も多いんです。

また、転職先が「特別徴収」を行っている場合もあるでしょう。こういった企業では、入社の際に届け出を出せば、引き続き転職先でも分割された住民税が差し引かれるようにしてくれます。ただ、働きはじめるまで日が空く場合や、退職する月によっても異なるので、詳しくは住民税のサイトなども参考にして知識を持っておくと安心です。

ステップ2〜会社を辞めた「後」〜

会社を辞めた後には、「自分自身で手続きするもの」と「会社がやってくれる手続き」の2種類に分かれます。

会社側がやってくれるものに関しては、人事や総務からのアプローチもあり安心です。しかし、自分自身で出向いて行う手続きは、忘れていると困った事態に繋がるので、要チェックです。

また、退職時に会社に返さなければならないもの、受け取るものもたくさんあるので併せてチェックしていきましょう!

自分自身で手続きするものは?

1. 「健康保険、年金の切り替え」
さきほどお話しした、「退職前にチェックすべきポイント」と同じです。切り替え手続きは退職した後にしかできないため、要注意。転職の際は、次の勤務先の制度に従って入社時に手続きをしましょう。完全に退職する際や、転職先に制度が整っていない場合、役所にて自分自身で行う手続きは「退職日の翌日から14日以内」です。

国民健康保険はなるべく早めに切り替え申請を行いましょう。発行までに数日かかることがあるため、急に病院に行くことになった際に「そういえば保険証がないんだった……」といったトラブルが生じる可能性も!

会社に返すもの、受け取るものは?

1. 会社に返却するもの
・健康保険証(扶養家族分あれば一緒に返却)
・身分証明書や社員証(カードキーや社章など、現会社の社員であることを証明するものはすべて返却)
・名刺(自分の名刺はもちろん、仕事上で得た取引先の名刺も返却)
・通勤定期券(原則は、退職日に返却)
・社費で購入した文房具類・図書
・制服や作業服
・その他資料や会社の業務書類

2. 会社から受け取るもの
・雇用保険被保険者証
・年金手帳
・源泉徴収票(源泉徴収票は退職日には受け取れないため、後日発行。いつになるかは事前に要確認!)
・健康保険被保険者資格喪失確認通知書(失業中に国民健康保険への切り替えを行なう場合に必要)
・退職証明書(希望者のみ)
・在籍期間証明書(希望者のみ)

そして……転職先がすでに決まっている人は不要ですが、辞めた後から転職活動を始める人、会社都合などのやむを得ない理由で急きょ退職する人には必ずチェックしていただききたいのが「離職票」です。

離職票も源泉徴収票と同様、退職当日に受け取ることができません。後日、郵送となるケースが多いようです。そのため、退職時に「いつどのように受け取れますか?」と、人事・総務に確認しておきたいポイントですね。

会社を辞めた後、すぐに転職先が決まっていない人は、この離職票は「失業給付」をもらうために必ず必要です。雇用保険に加入していて、退職日までに雇用保険への加入期間が12ヶ月以上ある場合は、条件を満たせば「失業給付」という支援金をもらえるので、必ず離職票の確認を忘れずに!

そして、「失業給付ってなに!?」と思った方へ。

今回は知っておきたい「転職、退職の時の手続き」についてお話ししていきましたが、次回は「失業給付」について詳しくお伝えしていきますね。

以上、【はぴマネレッスン】vol.16でした。