歯ブラシは「シャカシャカ」音を立てないのが正解! 正しい歯みがきを歯科医が伝授

2023.11.3
正しい歯みがきやうがいの仕方、効果的なフロスの使い方など、今さら聞けないお口ケアの基本を改めてレクチャー。まずは、毎日の習慣を見直すことから始めましょう!

オトナ女子のための歯みがきレッスン

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毎日歯みがきはしているけれど、やり方は自己流という人がほとんどでは。これを機に自分の歯の状態を知り、ケアを見直そう。

「まず、鏡で口の中を観察する習慣づけを。みがく時も歯ブラシがすみずみまで届いているか鏡で確認しながら行うのが理想です。歯ブラシは場所によって当て方を変え、1本ずつ丁寧にチョコチョコみがくのが基本。フロスを併用し、高速うがいも身につけると、歯みがきの効果が高まります。歯科検診の時にみがき方を習うのもいい方法です」(歯科医・照山裕子さん)

UPDATE 1:歯みがき前に「いー」「あー」「ベー」ストレッチで状態のチェックを。

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歯をみがく前に、鏡の前で「いー」「あー」「べー」と言いながら口を開け、歯や舌の状態をチェック。歯の黄ばみやすり減り、歯ぐきの腫れ、舌の汚れやむくみなどがないか確認する。「このチェックを習慣にすると、口の中の異変に気づきやすくなり、虫歯や歯周病などの予防にもつながります。また、口を左右上下に大きく動かすことで表情筋のトレーニング効果も期待できます」

「いー」で前歯に食べかすがついていないか、歯の色やすり減り、歯ぐきの腫れなどを確認し、「あー」で奥歯の汚れ、口内の腫れや炎症などもチェック。「べー」で舌の色や付着した白い汚れの度合いも見ておこう。

UPDATE 2:フロスは歯みがき前に行うべし。

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虫歯菌や歯周病菌は、口の中に残った食べかすや汚れをエサにして増殖する。歯ブラシだけでは汚れの6~7割しか落とせないといわれており、フロスは必須。「意外かもしれませんが、フロスは歯みがき前に使うのがおすすめ。歯と歯のすき間の汚れを念入りに取り除いてから歯みがきをすると、歯みがき粉の薬用成分が歯全体に浸透します。就寝前だけでもフロスは必ず使いましょう」

POINT:「ワックスあり」のフロスを選ぶと使いやすい!
ワックスタイプのフロスはすべりがよく、フロスに不慣れな初心者でも使いやすいのがメリット。慣れてきたら、ノンワックスタイプに替えるのも◎。フロスは歯のカーブに沿わせて汚れが取れる、糸巻き型が万能。歯と歯のすき間が広がっている人は歯間ブラシを使うのがおすすめ。

UPDATE 3:みがく順はルーティン化して、みがきムラ防止を。

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なんとなく歯ブラシを動かすだけでは、みがきやすい場所ばかりをみがいてしまいがち。みがく歯の順番を決め、それに沿ってブラシを動かしていこう。「歯の噛み合わせ面から先にみがく、右下から時計回りにみがくなど、自分がやりやすいルールを決めて一本一本みがくことを意識してください。また、利き手側の上下の歯の内側は、みがき残しが多い部分。気に留めておきましょう」

POINT:“一筆書き”を意識するとムラが少ない!
みがく歯の順番が上下左右であちこちに飛んでしまうとみがきムラになりやすい。一筆書きのように、例えば上の歯の表側の右、前、左、上の歯の裏側の左、前、右とみがいていくとよい。奥歯をみがく時は口を大きく開けると頬が邪魔して歯ブラシが届きにくいので、口は閉じ気味で。

UPDATE 4:「シャカシャカ」音を立てないのが正解!

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歯ブラシは鉛筆を持つように持ち、歯に軽く押し当てて2~3mmほどの幅で小刻みに動かしてみがく。「場所に応じて歯ブラシの当て方を変え、歯の裏側まで届かせましょう。きちんとみがけているか、音も目安に。自分に小さく聞こえる程度ならOKですが、周りに聞こえるほどシャカシャカ音が出るのは歯ブラシを強く当てて大きく動かしているから。気づいたら直すようにして」

POINT 1:歯ブラシは「かため」を避けて選ぶ
「かため」の毛先の歯ブラシは、みがいた感触が得られやすいものの力加減によっては歯ぐきを傷つけることも。なるべくコンパクトなヘッドで毛先の硬さは「ふつう」がベター。歯ぐきが腫れていたり出血しやすい場合は「やわらかめ」がおすすめ。また、歯ブラシは月に1度交換を。

POINT 2:歯ブラシの当て方

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前歯の裏は歯ブラシの「かかと」部分を使うと汚れが落ちやすい。歯の根元付近と歯ぐきの境目は歯ブラシを45度に傾けるのが基本の当て方。歯並びが不揃いの部分はみがき残しが出やすいので、歯ブラシを立てて歯の出っ張りやくぼみに沿うように当てて。

UPDATE 5:高速のぶくぶくうがいで汚れを「外に出す」ことを意識して!

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歯みがき後のうがいは、速く勢いよく口を動かして。口の中に残った汚れを強い水圧で吐き出すことが目的。「食べかすなどをすぐに取り除ければ、虫歯や歯周病の原因となるバイオフィルムの形成を防げます。すぐに歯みがきできない時も水でゆすぐことで酸性に傾いた口の中を中和でき、着色汚れがつきにくくなる効果も。口輪筋や舌筋が鍛えられフェイスラインも引き締まります」

POINT:速いほど効果アップ
約30mlの水を口に含み、どの方向でも構わないのでとにかくできるだけ強く速く、音を立てて10回ゆすぐ。これができるようになったら、上下左右と水を含む場所を変えて10回ずつトライして。動かす速さの目安は、7秒間で10回が最低ライン。口元が疲れるくらいが効果的で、簡単なトレーニングにもなる。

UPDATE 6:舌みがきは、とにかくやさしく丁寧に。

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鏡で確認して舌の表面が白くなっていたら舌みがきを。この白い汚れは食べかすや細菌が付着した「舌苔(ぜったい)」で、口臭の一因に。「専用の舌ブラシを使うかガーゼを指に巻き付け、汚れをやさしく拭いましょう。朝食後、出かける前に舌をきれいにすれば口臭予防になりますし、汚れたタイミングでみがくのでもかまいません。歯ブラシを使うと舌を傷つけてしまうこともあるので避けて」

POINT:専用アイテムで、奥から手前に!
舌専用のブラシはループ状の毛で舌苔をからめとるタイプや、へら部分の突起が舌の汚れをかき出すタイプなどがあり、力加減に注意して奥から手前になでるように汚れを取る。うまく取れなければ、舌専用のクリーニングジェルを併用してもよい。口臭予防のエチケットとして習慣にして。

照山裕子さん 歯科医、歯学博士。クリニックで診療する傍ら、雑誌やテレビで口腔ケアの大切さを伝えている。著書に『新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)、『歯科医が考案 毒出しうがい』(アスコム)など。

※『anan』2023年11月8日号より。写真・中島慶子 イラスト・YOUI 取材、文・熊坂麻美

(by anan編集部)