デビューは1歳! 21歳になった加藤清史郎「楽しいからやっているっていう根本は今も同じ」

2023.7.21
デビューはなんと1歳のとき。大河ドラマ『天地人』や映画『忍たま乱太郎』、CMで扮した「こども店長」など代表作は数知れず。2010年のananでは表紙に登場、「Seishiro Love」と題し8ページにわたる特集が組まれたことも。21歳になった加藤清史郎さんが、今、そして当時を語ります。
2357 katou1

――つい先日、11月に帝国劇場で上演のミュージカル『LUPIN~カリオストロ伯爵夫人の秘密~』への出演が発表されました。

’13年のミュージカル『レ・ミゼラブル』(通称・レミゼ)以来、10年ぶりに帝国劇場(通称・帝劇)に立てるのが何より嬉しいです。僕は高校入学のタイミングでイギリス留学したんですが、向こうにいる間も将来的に日本のミュージカルの世界に戻りたいと思っていて、そのイメージの中にあったのが帝劇でした。初めてミュージカルを観たのも初めて立った舞台も帝劇で、自分にとっては特別な思い入れがある場所なので。

――幼い頃からドラマ、映画、CMにと活躍されていましたが、そこまでミュージカルに強い思い入れを持ったのはなぜですか?

きっかけは、当時の事務所の先輩子役さんがガブローシュという役を演じているからと観に行ったレミゼです。そのとき、この大人たちに交ざって、大人顔負けの熱量で歌って、お芝居して、走り回っている男の子、なんなんだ、すっげえかっこいい…ってなったんです。レミゼという作品も大好きになって、次にオーディションがあったら絶対に受けさせてほしいと事務所にお願いしました。もしあのときに、先輩がガブローシュをやっていなかったら、僕はレミゼもミュージカルも知らないままだったかもしれないし、留学もしてなかったかもしれない。俳優人生のターニングポイントをくれた帝劇に10年ぶりに帰ってこられるということで、ちょっと気合入っちゃってます(笑)。

――初めてガブローシュ役で出演されたのが’11年。大人気子役として引っ張りだこだった中、ご自分からオーディションを受けられたとは思いませんでした。

当時のことをよく「すごく活躍されていた」と言っていただきますが、僕としては当時も今もその感覚があまりないんです。たしかに『天地人』やこども店長で名前が出て、道端で声をかけられることは増えましたが、学校だったり家族や親戚、友だちだったりが、何も変わらなかった。レミゼのオーディションに関しても、小さいときから散々受けてきて落ちるのが当たり前だと思うようにプログラミングされているので(笑)、抵抗はなかったです。100%出し切って落ちたら、それはご縁とタイミングが合わなかっただけのこと。それでも、あんなに緊張したオーディションってなかったんじゃないかっていうくらいでした。もともと緊張しいではあるけれど、本当に吐くんじゃないかってくらい、過去最高レベルでしたね。

――ご自身は人気子役の自覚はなかったんですね。

ありがたく感じていましたけれど、ただ自分が楽しいことをやってるだけなのに、いいのかなぁみたいな感覚だった気がします。楽しいからやっているっていう根本は今も同じですけれど、あの頃に比べたら、少しはお芝居をお仕事として見られるようになったかな。

――’15年に市川海老蔵(現・團十郎)さん主演の六本木歌舞伎に出演されたとき、俳優を辞めるか迷って海老蔵さんに相談したと話されていました。“楽しい”お仕事を辞めようと思っていたのは?

あのときは、楽しいことが他にもあったんですね。

――というのは?

野球です。小さい頃から阪神タイガースが好きで、ずっと大ファンだった赤星(憲広)選手とお話しする機会があって、「俺は中学の途中から野球を始めたから遅くないよ」と言われたんです。そのとき、今からでも自分も野球選手になれるかもしれないと本気で思っちゃったんです。野球選手がお芝居やってるイメージはあまりないけど、CMやバラエティ番組に出られたりもするし、両立できなくないのかなと考えたりもして。

――その頃は、本気でプロ野球選手を目指そうと思われた?

…というと語弊があるかもしれませんが、気持ちとしてです。なれるかはわからないけれど、もしまだ野球選手になる可能性があるならば…と思うくらい野球が好きだったんでしょうね。

――あの…大変に失礼ですけれど、意外と単純、というか…。

そうなんです(笑)。今もそういうところがありますが、楽しいからやっていて、楽しくなければやれない。俳優業も、子供の頃から親に「いつ辞めてもいいんだよ」って言われてきたおかげで、将来的に家計がどんなに苦しくなっても、楽しくなくなったら辞めるんだろうと思います。逆にどんなに苦しくても、演じる楽しさを超えない限り続けるんでしょうし。

――ということは、ここまでずっと、楽しいが勝っていた?

今のところ、楽しくないと思ったことはないです。まだまだ僕の経験なんて、たかが知れてますけど。演じている最中も楽しいですけれど、カットがかかった瞬間、舞台だったらカーテンコールでお辞儀して顔を上げた瞬間、楽しいなーって思います。

――それは達成感?

それもあると思いますが、たぶんその瞬間って、感覚がもっとも研ぎ澄まされているんです。喧嘩のシーンとかだとより実感しやすいですけれど、相手が発するあらゆるものを敏感に感じ取って投げ返して、それを向こうが受けて…って、卓球とかテニスのラリーみたいな感覚です。しかもそのラリーには勝ち負けがなくて、どっちも勝ち。そりゃ楽しいですよね。

2357 katou2

ドラマ『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』は、毎週土曜22時~日テレ系にて放送中。卒業式の日に生徒に殺される未来を体験した女教師・九条里奈(松岡茉優)。自身の死を覆すため、生徒にすべてをかけて向き合う覚悟を決める。加藤さんは、すべてにおいて自分の“楽しい”を優先させる独善的な生徒・相楽琉偉を演じる。

かとう・せいしろう 2001年8月4日生まれ、神奈川県出身。1歳でデビュー、7歳のときに大河ドラマ『天地人』で演じた幼少期の直江兼続で注目を集め、映画『忍たま乱太郎』など数多くの映画やドラマに出演。中学卒業後はイギリスに3年間留学。帰国後に出演したドラマ『ドラゴン桜』第2シリーズやミュージカル『ニュージーズ』なども話題に。

カーディガン¥13,200(ヌワールファブリック/ジーンズ ファクトリー 卸団地本店 TEL:088・861・5100) その他はスタイリスト私物

※『anan』2023年7月26日号より。写真・玉村敬太 スタイリスト・ダヨシ ヘア&メイク・MYOKEN インタビュー、文・望月リサ

(by anan編集部)