椎名林檎が10年越しの初ベスト! きっかけ作った大物ミュージシャンとは?

2019.11.22
約10年前、椎名林檎は竹内まりやからベスト盤を出すことを勧められ、すぐに納得し、出すことを決意したという。しかし、まだそれにふさわしい曲が揃っていないということと、新曲を入れたかったという理由で延ばし続けてきたそうだ。つまり、ここにきて初のベスト盤『ニュートンの林檎~初めてのベスト盤~』が出るということは、完璧なものができる手応えがあったということだ。

豊かさを生み出し続けてきた21年間の闘争史。

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2枚組の冒頭には、1998年、共に東芝EMIからデビューし、公私ともに親交の深い戦友・宇多田ヒカルを招いた新曲「浪漫と算盤 LDN ver.」。ジャズテイスト溢れる、たおやかでゴージャスなサウンド・デザイン。日本の音楽界の至宝ふたりによる、現代社会における「浪漫」と「算盤」を解いていくようなボーカルの掛け合いは、ゾクゾクするほどスリリングで美しい。

そこからは、ほぼ時系列に沿って、曲が収められている。椎名林檎の名を日本中に知らしめた「ここでキスして。」に代表される、「あなた」を強烈に求める煽情的なギターロックで多くの名曲を生んだ初期。バンド東京事変を経て、その音楽性はどんどんしなやかに変化していく。DISC2の1曲目のもうひとつの新曲「公然の秘密」も、また然りだ。

大衆音楽は文化的でなければならない。人々の欲望が反映され、時代を映すものでなければならない。それでもって、人々になんらかの力を与えるものでなければならない―。宇多田ヒカルをはじめ、宮本浩次(エレファントカシマシ)、トータス松本(ウルフルズ)、Mummy-D(ライムスター)、浮雲等、多くの敬愛するアーティストを招き、その思想を具現化し続けた全30曲(通常盤は28曲)。「豊かな価値」を音楽で描き、気高く発信してきたその21年間の闘争史に心底感服させられる。

ライブの人気曲、カップリング曲も収録した初のオールタイム・ベストアルバム『ニュートンの林檎~初めてのベスト盤』。【初回生産限定盤2CD ボーナストラック2曲入り】¥3,300(ユニバーサル ミュージック)

しいな・りんご ’98年、東芝EMIからシングル『幸福論』でデビュー。12月11日にMV作品集Blu-ray/DVD『性的ヒーリング ~其ノ伍~七~』と『The Sexual Healing Total Orgasm Experience』が発売される。

※『anan』2019年11月27日号より。文・小松香里

(by anan編集部)

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