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日本は実質ゼロに!? 「原発輸出政策」の現状とは

2019.3.15
意外と知らない社会的な問題について、ジャーナリストの堀潤さんが解説する「堀潤の社会のじかん」。今回のテーマは「原発輸出政策」です。

輸出は実質ゼロに。今後は中露が、世界に広げる?

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イギリスで日立製作所が進めてきた原発建設計画が中断されることになり、日本の海外への原発輸出計画は実質、すべてストップすることになりました。原子力発電の輸出政策は民主党政権のころから推し進めていました。水道や鉄道(超高速鉄道)など、インフラ技術を売ることが輸出の重要な鍵になるといわれており、そのひとつが原発だったのです。当時の鳩山首相は、温室効果ガスを2020年までに25%削減すると国際的に公約。そのためのクリーンなエネルギーとして、原発を増やそうとしていました。新興国では、しばしば電力が足りなくなり工場で停電が起きます。アジアや南米などに原発を輸出しようとしていた矢先、2011年に福島で原発事故が起きました。

それ以降、安全対策にコストがかかり、原発の建設費用が1基5000億円以下だったのが、1兆円以上に跳ね上がりました。また、原発は、稼働し続けて初めて利益が回収できるもの。トラブルや災害で止めなければならない状況になると、収益も見込めません。これまでにも1979年にアメリカ・スリーマイル島、1986年にチェルノブイリ、2011年に福島と10数年に一度、世界で大きな事故が起きていますし、小さなトラブルは無数にあります。輸出先で事故が起きると、その損害賠償はメーカーが負わなければいけません。これはとても大きなリスクです。さらにいまは風や熱、光、潮など再生可能なエネルギーが増えました。信用を落とした日本の原発に、投資家たちはなかなか投資をしてくれません。

福島第一原発事故が起きたのは、日本の技術が劣っていたからではなく、耐用年数が40年だったにもかかわらず、1960年代の古い型の原子炉を使い続けていたからです。最新型の原発ではそんなことにはなりません。そんななか、いま、原発の開発に力を注いでいるのは、ロシアと中国。国が開発資金をつぎ込み、輸出後のトラブルも国が補償。アメリカやフランス、イギリスなどが原発に後ろ向きになっているのに対し、ロシアや中国など強権な国が、アジアやアフリカに輸出をし、核を扱うアライアンスを世界中に広げていくというのは脅威でもあるのです。

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堀潤 ジャーナリスト。NHKでアナウンサーとして活躍。2012年に市民ニュースサイト「8bitNews」を立ち上げ、その後フリーに。ツイッターは@8bit_HORIJUN

※『anan』2019年3月20日号より。写真・中島慶子 イラスト・五月女ケイ子 文・黒瀬朋子

(by anan編集部)

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