注目選手がぞくぞくと! ’19フィギュアスケートの展望を小塚崇彦さんが教えてくれました。

男子シングルも、女子同様、日本選手を中心にメダル争いが繰り広げられるのだろうか。

2018 GPファイナル 男子 SP
宇野昌磨/Shoma Uno (JPN),
DECEMBER 6, 2018 - Figure Skating :
2018 ISU Grand Prix of Figure Skating Final
Men's Short Program
at Doug Mitchell Thunderbird Sports Centre, Vancouver, BC, Canada.
(Photo by YUTAKA/AFLO SPORT)

「世界選手権は、やはり、羽生結弦選手と宇野昌磨選手のふたりが中心になると思います」

アメリカのネイサン・チェン選手を筆頭に、ふたりよりも難度の高い構成で挑んでくる選手はきっといるはずだが、それでも小塚さんはこう予想する。

「両選手のプログラムには、抜け目がないですよね。トランジションと呼ばれる、ジャンプやスピンといった要素と要素の間のつなぎを、すごく大切にしています。よく、“難しい入り方からのトリプルアクセル”といった解説を耳にすると思うんですが、ジャンプの前後に難しい動作を入れるのは、あくまでジャンプの加点をもらうため。それを入れながら、なおかつ、その間にも、難しいターンを入れたり、上半身の大きな動きをつけたりして、途切れないスケートをしているのが、つなぎがあるということ。実はジャンプを跳んだ後に、つなぎを入れるのは、難しいことなんです」

でも、これが、PCS(プログラムコンポーネンツ)と呼ばれる演技構成点に反映され、得点にかかわってくるのだという。

「見ていると、ただ足をクロスさせながら滑っているだけ、という選手が意外に多い。そんな中で、日本の2選手、特に羽生選手の演技には、つなぎがたくさん入っています。グランプリファイナルで3位に入った韓国のチャ・ジュンファン選手も、そこを意識して滑っていると感じます。ふたりとも、同じブライアン・オーサーコーチに師事していますが、こういうところもチーム・オーサーの強さの秘密だと思います」

中国のボーヤン・ジン選手は、

「そこに気づいて、つなぎを入れようとしているんだけど、それによってジャンプに影響が出てしまっているという段階ではないでしょうか。でも、少し前までの彼は“高難度ジャンプを跳ぶ選手”というイメージでしたけど、最近はとても個性が出てきましたよね。演技を見ていても、楽しいな、面白いなという部分が感じられるので、これからが楽しみです」

そして、もうひとつ、ルール改正も戦いを左右するという。

「羽生選手が、平昌五輪で4回転ループジャンプを回避して、4回転トウループとサルコウの2種類だけで、金メダルを獲りましたよね。今季からのルール改正で、それがより顕著に出てくると思います。つまり、難度を下げても、戦略的に戦えば、高い点数が出て、勝機があるということです」

あとは、跳びたいのか、勝ちたいのか、選手の考え方次第。

「以前、チェン選手が、“いましかできないから”と、フリーで4種類の4回転を5本跳んだことがあったんですが、それもひとつの考え方。ただ、いまは、ケガを押してまで頑張らなきゃいけないシーズンではないので、とにかく無理だけはしないでほしいですね」

日本から出場するもうひとり、田中刑事選手については

「身長が高いので、ジャンプが決まると映えます。全日本選手権では、今季、苦しんでいた4回転サルコウも決まって、魂の入った演技をしていたと思います」

「ただし」と、四大陸に出場する友野一希選手とともに、あえて、愛ある苦言と激励の言葉を。

高橋大輔

「全日本選手権での高橋大輔選手は素晴らしかったと思いますが、ふたりはその上をいかなきゃいけなかった。なにせ4年間もブランクがあったんですから。3位と4位という成績に終わり、改めて気持ちが入っていると思うので、しっかり結果を残してほしいです」

ちなみに、いまはジュニア世代にも、4回転ルッツを跳ぶ選手が出てきている。男子のジャンプ構成は、今後も高難度化が進むのか。

「僕は、ジャンプの種類は、落ち着いてくるんじゃないかと考えています。チェン選手がいま、5種類の4回転ジャンプを跳んでいますが、これがおそらくマックスではないかと。ただ、羽生選手は近い将来、4回転半(アクセル)を跳んでくるかもしれません」

羽生結弦 ソチに続く、平昌でも金メダル。男子シングル史上、66年ぶりの五輪連覇を成し遂げた24歳。世界選手権へは、2011-12シーズンから6大会連続出場。2度金メダルを獲得しているが、近年はケガに悩まされ、昨年は代表に選ばれながらも欠場に。トリプルアクセルの完成度は別格で、4回転アクセルへの挑戦も公言している。

宇野昌磨 平昌五輪で羽生選手に次ぐ、銀メダル。昨年末の全日本選手権で3連覇を達成した日本男子シングルの二枚看板のひとり。マイペースな天然キャラとして愛されていたが、最近は男気のある姿勢やコメントも注目を集める21歳。世界選手権は2年連続の銀メダル。クリムキンイーグルを炸裂させ、今年こそ金メダルなるか。

ネイサン・チェン 平昌五輪での、男気あふれる驚異の巻き返しが記憶に新しい19歳。5種類の4回転ジャンプを跳ぶことができる前回世界選手権の覇者で、今季もグランプリシリーズ連勝、ファイナルも制している。将来、医者になるという夢を叶えるべく、昨秋からアイビーリーグの名門イェール大学に通う、文武両道を実践するスケーター。

チャ・ジュンファン 今季はシニアのグランプリファイナルで韓国男子初の表彰台に上がるなど、韓国・男子シングルの歴史を次々と塗り替えている17歳。11歳で5種類の3回転をマスターしていたという逸材は、オーサーコーチの下で、着実にトップ選手への階段を上っているところ。子役もしていたというそのルックスで、人気も高い。

友野一希 シニア1年目の昨季は、“浪速のエンターテイナー”からトップ選手へ大躍進。補欠で出場した世界選手権で5位入賞。日本の3枠確保に貢献したが、昨年末の全日本選手権では力を発揮できず、自力での出場は叶わず。四大陸選手権での活躍を誓う。海外の実況も驚くベビーフェイスの20歳は、大のラーメン通としても有名。

※『anan』2019年1月30日号より。写真・YUTAKA/アフロスポーツ(宇野昌磨) 写真:坂本 清/アフロ(高橋大輔) 取材、文・齋藤優子

(by anan編集部)

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