パンにカフェオレの朝食…「うんちがスルっと出ない、コロコロ便が続く人」の特徴と対策

文・大久保愛 — 2023.10.20 — Page 1/2
秋はじつは、便秘や硬くコロコロとした便が出る人が増える季節。その原因は、日々の食生活や生活習慣にあります。さらに、肌寒くなるこの時期に、ぬくぬくしながら食べたくなる食べ物にも一因があるのだとか。そこで、中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が、便の状態を乱すNG習慣とすぐにできる対策を教えてくれます!

便秘・コロコロ便が続いていませんか?

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 236


肌寒い季節が始まり、ぬくぬくすることに幸せを感じる時間が増える季節になりましたよね。就寝時には久しぶりに加湿器を稼働させたりと、季節が変わりゆくことを日々実感します。そして、寒くていつまでも眠っていたい朝には、焼き立てのクロワッサンやデニッシュ、温かいカフェオレやカップスープなどが癒しになることもあるかもしれません。

ただ、乾燥した空気、急な冷え込みと、体調を崩してしまう要素も同時に少しずつ増えていきます。そんなときには、カラダに朝を知らせ、腸内環境を整え、一日を元気に過ごせるように、活力を与える朝食の習慣が大切です。とくに朝食は、そもそも食べなかったり、食べたとしても毎日同じものを食べたりとパターン化されてしまうことが多いもの。健康に気を付けた食事をしていきたいときには、食物繊維やタンパク質の不足がないよう、真っ先に見直すポイントとなります。

また、朝食をおいしく食べるには、夕食の量、内容、時間などのコントロールをすることで、胃腸の負担を朝まで引きずらないことも大切です。もし、コントロールできない場合には、便秘になったり、固い便がでたり、ニオイがきつく便器にくっつくような便が出たりと、便の状態に様々な変化が現れます。自分の食事の内容が適切なのかどうかは、便の状態を把握することもヒントとなります。

ということで、今週は健康管理の上で見逃せない、便の状態を整える食薬習慣を紹介していきます。

今週は、便秘・コロコロ便の対策となる食薬習慣

最近、スルッとした便はでていますか? 漢方医学では、この時期は便秘になりやすく、腸内環境が乱れることにより、肌トラブルや免疫力の低下を感じることが増えるとされています。秋に食べたくなる食材は、どちらかというと糖質や脂質が多い、こってり濃厚な食材が多いと思います。サツマイモや栗を使ったクロワッサンやクリームたっぷりのデニッシュ、お湯に溶くだけでできるホッコリするスープ、濃厚クリーミーなカプチーノなど、温かさを感じられる食べ物が欲しくなります。

これらの食材を立て続けに食べるときには、腸内細菌と共存していることを思い出し、便の状態までたどって考察してみるのがおすすめです。食べ過ぎた時には、ベットリしたニオイのきつい便やスルッと出ない残便感を感じる便などが出てきてしまうことが多いはずです。この状態が続くと、漢方医学で考える喉や鼻が敏感になり免疫が低下してしまう『肺陰虚』やアレルギーや咳などの炎症を起こしてしまう『湿熱』などを感じることがあるといわれています。

ということで、今週は、『肺陰』を補い『湿熱』を除去する食薬を紹介していきます。今週食べるとよい食薬は、【ゴボウとアサリの味噌汁】です。逆にNGな習慣は、『湿熱』を生じさせる【クロワッサン・デニッシュ】を朝の定番とすることです。

食薬ごはん【ゴボウとアサリの味噌汁】

ゴボウとアサリ、ニンニク、ネギを組み合わせることで、腸内環境、肝臓の働きを整え、便秘、アレルギー、貧血、むくみなどの対策やデトックスにも役立ちます。特にミネラル豊富なアサリによって『陰』を補い、ゴボウによって『湿熱』を除去します。便通がいまいちというときには、朝食の味噌汁習慣をはじめてみましょう。

<材料>
アサリ  150g
ニンニク 2片(スライス)
ネギ   お好みで
ゴボウ  1/3本(輪切り)
水    400ml
味噌   大さじ1くらい
みりん  小さじ2

<作り方>
材料を煮たら完成。

NG行動【朝食のクロワッサン・デニッシュ】

便の状態は、カラダの状態を教えてくれる通信簿です。もしも便の状態があまりよくなかったり、便秘薬で便をだしているという場合には、朝食の見直しをしてみましょう。パンよりはお米。そして、食物繊維の摂取も当然ですが忘れてはいけません。パンをメインにした食卓からは、食物繊維やタンパク質が不足しがちです。調子が悪い時だけでも、ごはん、味噌汁、サラダ、鮭のような旅館の朝食をイメージした食事を準備してみましょう。

毎日のことだから、そんな手間がかかることは、無理! とはじめから諦めてしまってはいないでしょうか。毎日のことだから、積もり積もってカラダに大きな影響を与えてしまうものでもあります。全部を一気に変えることは難しいですが、1つずつ良い方向へ変化できるポイントを探し、1か月に1つ程度でもよいので、体に良い習慣を増やしていけると、1年後には12個も良い習慣が身に付きますよね。

一度に変化させることを目指すのではなく、習慣化させることを目指していけるとよいですね。そのほかにも心と体を強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
『食薬』は、『漢方×腸活×栄養学×遺伝子』という古代と近代の予防医学が融合して出来た古くて新しい理論。経験則から成り立つ漢方医学は、現代の大きく変わる環境や学術レベルの向上など現代の経験も融合し進化し続ける必要があります。

近年急成長する予防医学の分野は漢方医学と非常に親和性が高く、漢方医学の発展に大きく寄与します。漢方医学の良いところは、効果的だけどエビデンスに欠ける部分の可能性も完全否定せずに受け継がれているところです。

ですが、古代とは違い現代ではさまざまな研究が進み明らかになっていることが増えています。『点』としてわかってきていることを『線』とするのが漢方医学だと考えることができます。そうすることで、より具体的な健康管理のためのアドバイスができるようになります。とくに日々選択肢が生じる食事としてアウトプットすることに特化したのが『食薬』です。


Information

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<筆者情報>
大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田で薬草を採りながら育ち、漢方や薬膳に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・美容を学び、日本人初の国際中医美容師を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、未病を治す専門家として活躍。年間2000人以上の漢方相談に応えてきた実績をもとにAIを活用したオンライン漢方・食薬相談システム『クラウドサロン®』の開発運営や『食薬アドバイザー®』資格養成、食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち®」シリーズの展開などを行う。著書『心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売1か月で7万部突破のベストセラーに。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『食薬事典(KADOKAWA)』、「食薬ごはん便利帖(世界文化社)」、「組み合わせ食薬(WAVE出版)」、「食薬スープ(PHP)」など著書多数。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/
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