甘いものが好き、いつも食べ過ぎる…「ウンチが硬い人」の特徴と対策 #200

文・大久保愛 — 2023.2.17 — Page 1/2
便が硬くコロコロしていたり、便が出にくい人は、食事や日々の生活スタイルを見直すべきなのかもしれません。中医学士で漢方薬剤師の大久保愛先生が誰でもすぐできる対策を教えてくれます!

便の状態は、生活スタイルの通信簿

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【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 200


便がコロコロしたり、すごく力まないと出てこないような硬い便になっていることはないでしょうか。便の状態は、私たちの日ごろの生活スタイルの通信簿のようなもの。硬くて出にくいということは、食物繊維や水分摂取量が少なかったり、糖質や脂質の量が多すぎたり、日ごろの姿勢が悪く内臓を支えるインナーマッスルが衰えてしまっている状態かもしれません。

便秘気味という女性は多いと思いますがが、腸の状態は美容・免疫・メンタルすべてにかかわるものです。即効性のある便秘薬に頼ってばかりではなく、自分の生活スタイルを見直してほしいというカラダから合図であることを忘れないようにしましょう。とくに、乾燥しやすく、寒くて動かなくなりやすい今の時期、便秘で悩む人は増えてしまうと思います。そこで、今週は便が硬くて困っている人のための食薬習慣を紹介していきたいと思います。

今週は、便が硬くて困っている人のための食薬習慣

バレンタインデーは過ぎましたが、いただき物や自分へのご褒美として購入したチョコレートを少しずつ消費している人も多いのではないでしょうか。チョコレートも高カカオのものであれば、カカオポリフェノールやカカオプロテインで抗酸化や腸活になりますが、カカオの含有量が少なかったり、砂糖がたっぷり含まれていたりすると、カラダに良いものとは言い難くなります。

甘いものは食べ癖を作ってしまい、おやつの量が増えてしまう傾向があります。そして、甘い食べ物は、腸内で悪玉菌の餌となり腸内環境を乱してしまうこともあります。さらに、甘いものを食べすぎた結果、日ごろの食事が減ってしまい、トータルの食物繊維の摂取量が減ってくると便が硬くなったり、黒くなったり、粘り気が強くなってきます。肌荒れを起こしてしまう人も多いでしょう。

漢方では、便秘気味で、肌荒れや過食気味になる状態を『湿熱』がたまっている状態と考えます。また、便が硬い状態を『陰』が不足していると表現します。そこで、今週は『湿熱』を取り除き、『陰』を補う食薬習慣を紹介します。今週食べるとよい食薬は、【白菜の胡麻和え】です。

食薬ごはん【今週食べるとよい食材:白菜の胡麻和え】

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レシピはこちらです。胡麻は思いっきりたくさん使いましょう。

<材料>
白菜    1/8(一口大に切る)
すり胡麻  大さじ4
醤油    大さじ1
オリゴ糖  大さじ1

<作り方>
材料をポリ袋に入れて和えたら完成。

【白菜】

白菜は、食物繊維が多く腸を整えることに役立ち、カリウムも多いため水分代謝を整えることを助け、『湿熱除去』ができます。また、芯や中心部付近にグルタミン酸やイソチオシアネートなど旨味や抗酸化物質、カリウムなどのミネラルが多く含まれています。外側に向けては、ビタミンCやβカロテンが多く『補陰』に役立ちます。

食べ方としては、中心部には生長点があり、周りから養分を吸い取るため、中心部から先に食べていくのがベター。白菜は部位で栄養分布が異なるので、白菜の良さを得るためには丸ごと食べるようにしましょう。

【胡麻】

胡麻は、半分が油分でできているため腸を潤し『補陰』するために役立ちます。漢方では、タネは総じて潤腸通便を助けるとされています。また、カルシウム、鉄、亜鉛、マグネシウム、セレンなどのミネラル、ビタミンB群、食物繊維、抗酸化作用の高いゴマリグナン、ビタミンEなども含まれているスーパーフードです。また、胡麻の殻は硬いため、すり胡麻を選ぶと栄養の吸収が高まります。

便秘がちになると下腹部が出る、お腹が張ってつらい、痔になりやすいなどの直接的なデメリットもありますが、毒素が腸から全身をめぐることで、肝臓や肌にダメージを与えたり、精神状態が不安定になってしまったり、免疫が低下しやすくなったりしてしまいます。慢性的な便秘を感じている人は、その状態に慣れてしまわずに改善点を探していきましょう。
ほかにも心とカラダを強くするレシピは、『不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖』(世界文化社)で紹介しています。もっと詳しく知りたい方はぜひご覧ください。

※食薬とは…
経験則により構築されている『歴史ある漢方医学』と近年急成長している分子栄養学や腸の考え方、生命科学などの『最先端の予防医療』を融合することで、より理論的で具体的な食の提案ができるようにしたものです。東洋医学と西洋医学の良いとこどりをしています。

また、漢方医学では、人は自然界の一部として存在し周囲と柔軟にバランスをとることで、よい状態を維持できるという『生体観念』という考え方を根幹としています。そのため、『食薬』では、日照時間、気候、土壌(LPS、ファイトケミカル)、微生物(口腔内細菌や腸内細菌)などの環境変化と連動して体調変化もするものと考えています。季節の移り変わり、日々の気候の変化、腸内細菌の変化などとの関係にも注目し、1年を通して季節や体調にに合わせ食薬を選び習慣として取り入れることで体調のコントロールをしていきます。


Information

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大久保 愛 先生
漢方薬剤師、国際中医師、国際中医美容師、漢方カウンセラー。アイカ製薬株式会社代表取締役。秋田県出身。昭和大学薬学部生薬学・植物薬品化学研究室卒業。秋田の豊かな自然の中で、薬草や山菜を採りながら暮らす幼少期を過ごし、漢方や食に興味を持つ。薬剤師になり、北京中医薬大学で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び、日本人で初めて国際中医美容師資格を取得。漢方薬局、調剤薬局、エステなどの経営を経て、漢方・薬膳をはじめとした医療と美容の専門家として活躍。おうちで食薬を手軽に楽しめる「あいかこまち」を開発。漢方カウンセラーとして、年間2000人以上の悩みに応えてきた実績を持つ。著書『1週間に1つずつ心がバテない食薬習慣(ディスカヴァー・トゥエンティワン)』は発売一ヶ月で七万部突破。『心と体が強くなる!食薬ごはん(宝島社)』、『女性の「なんとなく不調」に効く食薬事典(KADOKAWA)』、近著に「不調がどんどん消えてゆく 食薬ごはん便利帖(世界文化社)」がある。
公式LINEアカウント@aika
https://aika-inc.co.jp/

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体質改善したい人、PMS、更年期など女性特有の悩みを抱える人へ。漢方×栄養学×腸活を使った「食薬」を“五感”を刺激しつつ楽しく取り入れられる。自分の不調や基礎体温から自分の悩みを検索して、自分にあった今食べるべき食薬がわかる。55の不調解消メソッドを大公開。


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