喉の違和感増加中!?…おこもり疲れを解消する「お助けフード」

文・大久保愛 — 2020.4.15
家にずっとこもっているとストレスを感じてしまう人は多いでしょう。その結果、自律神経が乱れて、なかには感染しているわけではないけど、喉がつかえるなどの違和感を感じる人も出てくるそう。そこで、漢方薬剤師の大久保愛先生が、おすすめの食べ物をご紹介します。いまは我慢のとき。家の中で少しでも気持ちよく過ごせるような工夫をしましょう!

【カラダとメンタル整えます 愛先生の今週食べるとよい食材!】vol. 53

喉がつまる感じはしませんか?

呼吸器系に全く問題なく、味覚の変化もなく、新型コロナウイルスではないはずなのに、なぜか喉につまる感じがあることはないでしょうか。風邪やウイルス、花粉ではない喉の違和感。それは、長期的なおこもりのストレスで自律神経が乱れ始めているのかもしれません。家の中が安らぐ場所だったのに、最近では気持ちも体も休まることはなく、イライラしてしまったり、眠れなくなったり、味覚はおかしくないけど食事もおいしく感じなくなったり……。

長期的な不安、緊張、焦りなどネガティブな感覚を感じている時には、唾液とともに空気を大量に飲み込んでしまうことがあります。これによって喉のつまり、お腹の張り、食事に関係なくゲップがでるようになることを呑気症といいます。実は、この呑気症で悩んでいる人は非常に多いのです。そこで今週は、おこもりでたまったストレスによる喉のつまりを解消する食薬習慣を紹介します。

自然の変化が体調に影響している

漢方医学で人は自然の一部であり、自然の変化は体調に影響を与えると考えられています。気温や湿度、気圧の変化だけではなく、太陽や月の動きまでもが体に影響を与えています。学生の頃、太陽暦や太陰暦を学んだことを覚えていませんか? 一か月の日数や季節などは太陽や月の動きから決められていたことはご存知のかたは多いと思います。

月や太陽は、地球との位置により引力が変わり、地球では潮の満ち引きが起こります。地球の約七割が水分と言われていますが、同様に人の体も約七割が水分と言われています。そう考えると、人間も月や太陽の影響を受けることは想像しやすいことだと思います。中国最古の医学書である皇帝内経(こうていだいけい)にも、月が体調に影響を与えることは記されています。

つまり、気温、湿度、気圧、太陽、月の変化と様々なものを指標にすることにより、より正確に体調管理をすることができます。この体調管理に食事内容を役立てることを『食薬』と呼びます。

今週は、喉のつまりを解消する食薬習慣

いつ解放されるのかわからない緊急事態に、その先にある未来への不安が長いこと続いていますよね。家から出られないし、気も休まらないしでストレスはどんどん膨らんでいきます。私たちは、ストレスを感じたときに歯を噛みしめたり、息をのむことが多いのですが、このタイミングに唾液と一緒に大量に空気を飲み込んでしまうことが多いようです。

この大量に飲み込んだ空気が、喉のつまりや膨満感、おならやゲップが増えるなどの症状を引き起こします。さらに、歯を噛みしめたり歯ぎしりするときには、顎に相当な圧力がかかるため、それに連動し顎周辺の筋肉がこわばって血行も悪くなり、肩こりや頭痛、耳鳴りなどの症状も加わってしまうことがあります。ただ、このように症状が多岐にわたるので、医療機関の検査で異常を見つけづらいため原因が特定しづらいということもあるようです。

漢方医学では、この状態を「肝気鬱結」といいます。これは季節的にも起こりやすい現象でもあるのですが、肝気鬱結が続くと5月が来る前にすでに五月病になってしまうこともあるでしょう。そこで、今週は「肝気鬱結」による喉のつまりを解消する食薬習慣を紹介します。今週食べるとよい食材は【五香粉×小松菜】です。

今週食べるとよい食材:五香粉×小松菜

五香粉を見たことのない方、食べたことのない方も多いと思います。しかし、中華料理ではよく使われるスパイスなので、スーパーでも基本的に販売されていますし、食べたことのある味だと思います。使ったことのない人は、今週を機に購入してみてはいかがでしょうか。

五香粉

五香粉には、漢方薬といってもよいほどの生薬が含まれるため、『肝気鬱結』を解消するのに役立つ調味料です。シナモン、クローブ、八角、花椒、フェンネルなどがミックスされています。気の巡りを改善するだけではなく、胃腸の働きを助け、抗菌、抗炎症作用、腸内環境を整える作用などもあります。

小松菜

小松菜には、鉄、カルシウム、カリウム、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンEなどが含まれています。また、気の巡りを改善し、肝臓や腸内にたまる毒素の排泄役立つイソチオシアネートも含まれています。

おすすめ献立は、五香粉を使った小松菜の豚肉の中華炒めです。そして、食べ方も大切です。早食いも食事をとりながら空気を飲み込んでしまう原因となるので、ゆっくりよく噛んで食事をとる意識をするようにしましょうね。

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大久保 愛 先生
アイカ製薬株式会社代表取締役・漢方薬剤師。
昭和大学薬学部生薬学研究室で漢方を学び薬剤師免許を取得。その後、中国で漢方・薬膳・東洋の美容などを学び資格を取得。漢方相談、調剤薬局、エステなどの経営を経て商品開発・ライティング・企業コンサルティングなどに携わる。

https://aika-inc.co.jp/

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著書『1週間に一つずつ 心がバテない食薬習慣』(ディスカヴァー)。
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