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大好きな人とアレして…幸せホルモンがめちゃ出る「簡単な行為」#22

取材、文・土居彩 看板写真・Yumiko Sushitani — 2020.1.30
ボディタッチが上手な著名人が「あざとい」などと揶揄されたりもしますが、たしかにタッチ(触れ合い)には、奥深き力があります。それはご存知、恋人同士や親子の愛や信頼関係を育む大切なコミュニケーション。そして研究によれば、教師が生徒の上腕を励ますように軽く叩くことで授業への参加を促せたり、脳の「ご褒美」センサーをオンさせる働きもあるとか。今回は心理学、生理学研究でわかっているタッチが持つ深淵なるパワー、その世界へとお誘いします。

【マック・マインドフルネス時代の瞑想探し。「魂ナビ」が欲しい!】vol. 22

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タッチ(触れること)は、私たちが理解する以上に奥深いものです。それは思いやりを表す第一言語、そして思いやりを広げる主要な方法ともいえるでしょう」とは、カリフォルニア大学バークレー校心理学部教授のダチャー・ケトナー博士。ケトナー博士は、思いやりを社会に広げるための研究機関、グレーター・グッド・サイエンス・センターの創設者です。

私たちは猿人から人間へと進化する過程で、びっしりと体を覆っていた毛を失いました。それに伴って、皮膚は私たちを内側と外側の世界をつなぐ素晴らしい接点になったのです。

「皮膚は最大の臓器であり、その重さは約2.7kg、広げると約1.7㎡の大きさです。鋭い木の枝、UV線、バクテリアやウィルスといった害となる外の世界から体を守るだけではなく、皮膚は良いものを私たちの中に取り込む重要な働きがあります」(ケトナー博士)。

育むような触れ合いで、心と体が健康に。

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タッチ・セラピーやマッサージに代表されるように、触れることが心と体の健康に大きく影響することは、多くの研究も明かすところです。『タッチ』の著者のティファニー・フィールド博士によれば、未熟児にマッサージを施すと、平均して47%体重が増えたという結果もあります。

また母親からたくさんの触れ合い(舐める、毛づくろい、密接に体を接触する)を受けた小ネズミはそうではない小ネズミに対して、のちに成長して困難な状況下におかれたとき、そのストレスホルモン値は低く新しい環境を積極的に探索することができ免疫システムも強かったという研究もあります。

愛する人に手を握られると、脳のショックサインがオフ。

「ある研究では電気ショックを受けることになっていて、それを心配しながら待つ女性参加者の脳の中を調べると、“脅威”に関連する領域が活性化していました。けれども愛する人に手を握ってもらうとその反応がすぐに止まりました」(ケトナー博士)。

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触れ合いは、私たちの深淵な対話であり、つながり、健康の根幹となる大切なものです。それは皮膚の下にある受容体に処理されることで、私たちを育むような生理反応を始動させてくれます。

オキシトシンが分泌し、信頼感が生まれる。

「友好的なタッチは、迷走神経を活性化します。迷走神経とは“闘うか逃げるか”の防衛闘争反応を鎮め、信頼感をもたらすオキシトシンという神経伝達物質の放出を誘う、胸部にある神経の束です」(ケトナー博士)。

心地よい触れ合いは、空腹時に甘いものを食べたり、良い匂いを嗅いだ時などに「ご褒美」を感じるとスイッチが入る脳の場所、前頭前野眼窩部(Orbitofrontal cortex)を活性化します。ケンブリッジ大学のエドモンド・ロールズ博士は、前頭前野眼窩部を研究してきた心理学者、神経科学者ですが、彼は腕に柔らかいビロード布を軽く触れることでもこの場所を活性化できることを記録しました。

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猿も食べ物をわけてくれた相手にグルーミングをします。それはやってくれたことへのお返し、感謝の心を伝え、信頼関係を築く方法のひとつです。互いに、そして世界への信頼感と善意を促す、タッチの力。それを教育の現場に活かすヒントもあります。

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生徒が授業に積極的に参加。

フランスの心理学者ニコラス・グエゲン博士は120人規模の統計学のクラスを受け持つ教授に、教室の前に出て問題を解くと志願した生徒全員に同じ言葉をかけて励ますように指導しました。そしてその生徒を無作為に選び、彼らに対してのみ話す時に、上腕を軽く叩くように教師に依頼しました。

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腕を触れられた学生は、うち28%が、触れられなかった学生の9%に比べ大きく数をしのいで、再び問題を解こうと手を挙げたのです。当然教育現場で生徒を触れることはタブーにもなるでしょう。そこで受け取り手がそのメッセージをどう捉えるかが重要な鍵となります。

触れるだけで、感情を言い当てられる?

ケトナー博士は、当時研究室の生徒だったマット・ハーテンスティン博士(現在デポー大学教授)と特定の感情を「触れるだけ」で識別できるかという実験をしました。その仕掛けはこのようなものです。

見知らぬ二人をつい立てで遮ります。そのうち一人が腕をつい立てから出し、待機します。もう一方の人は、感情のリスト(思いやり、感謝、怒り、愛、恐れ、共感、嫌悪など)を渡され、それらの感情をつい立て向こうの見知らぬ人の前腕部(ひじから手首まで)に1秒間タッチするだけで伝えるように試みます。手を触れられた受信者は感情が何かを言い当てます。

参加者は60%近くの正解率で思いやりを解き当てました。感謝、怒り、愛、恐れ、共感、嫌悪に関しても50%を超える正解率でした。

ところがこの実験、参加者を同性ではなく、異性同士で行ったときに興味深い結果が出ました。女性が怒りを込めたタッチをしたとき、男性の正解率は0%となったのです。そして男性が思いやりを、手を触れることで伝えようとしたら……女性はそれを理解できなかったというのです! 

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実体験を思い起こさせるような苦笑いが込み上げる結果ですが、触れる側の意図、また受け取り手との関係性を踏まえて初めて“育む”タッチは叶うようです。チャットや、ビデオ通話で触れ合うこともなく意思の疎通が図れるようになった今日。互いの息づかいを感じて、“触れる”ことでしか得られないコミュニケーションも大事にしたいものですね。それではみなさん次回まで、キープ・イン・タッチ

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土居彩

編集者。東京の薪割り暮らしを綴るブログ『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』。株式会社マガジンハウスに14年間勤め、anan編集部、Hanako編集部にて編集者として、広告部ではファッション誌Ginzaのマーケティング&広告営業を務める。’15年8月〜’17年5月、カリフォルニア大学バークレー校心理学部にてダチャー・ケトナー博士の研究室で学ぶ。’18年9月〜’19年1月、7月、ニュー・メキシコ州サンタフェにあるウパヤ禅センターに暮らしながら、ジョアン・ハリファックス師に師事。現在は、書道家・平和活動家、禅研究家の棚橋一晃氏の著書『Painting Peace(平和を描く)』(シャンバラ社)、芸術家で社会活動家の小田まゆみ氏の『Sarasvati’s Gift』(シャンバラ社)を翻訳中。
https://greenz.jp/author/doiaya/

『東京マキワリ日記、ときどき山伏つき。』

参考
Keltner,Dacher. “Born to be Good-The Science of a Meaningful Life.”
Francis and Meaney. “Maternal Care and the Development of Stress Responses.”
https://greatergood.berkeley.edu/article/item/darwins_touch_survival_of_the_kindest
https://greatergood.berkeley.edu/video/item/dacher_keltner_on_touch
https://greatergood.berkeley.edu/article/item/hands_on_research
https://greatergood.berkeley.edu/article/item/the_right_touch