世界的ギタリスト・MIYAVI「未来への希望を持ってほしい」新作の礎

写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり スタイリスト・櫻井賢之[casico] — 2021.9.14
【音楽通信】第88回目に登場するのは、これまでに8度のワールドツアーを成功させ、音楽活動以外にも俳優としてハリウッドデビューを果たし、ワールドワイドに活躍している、世界的ギタリストのMIYAVIさん!

バンドの花形であるギターを選んだ理由

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【音楽通信】vol.88

エレクトリックギターをピックを使わずにすべて指で弾く、独自の“スラップ奏法”でギタリストとして世界中から注目を集め、これまでに約30か国 350公演以上のライブとともに、8度のワールドツアーを成功させている、MIYAVIさん。

音楽活動の一方では、アンジェリーナ・ジョリー監督の映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)で俳優としてハリウッドデビューを果たし、2017年には日本人として初めてUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の大使に就任。

そんなさまざまなかたちでワールドワイドに活躍するMIYAVIさんが、2021年9月15日にニューアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、お話をうかがいました。

ーーおさらいとして、まずギターを始めたきっかけから教えてください。

もともと小学生の頃からサッカーをやっていて、プロを目指していました。大阪にあるプロチームのジュニアユースに入ったのですが、14歳ぐらいのときに怪我で挫折して。そこから地元の友人たちとバンドでもやるか、となって。

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ーーいろいろと楽器はありますが、なぜギターだったのでしょうか。

やっぱギターはバンドの花形、ある種ロックの象徴。バンドといったらギターだろう! と単純な思考で選びました。

ーーユースチームに入るほどの才能もあり、そこからさらにこうして音楽活動などでもご活躍されていてすごいですね。

サッカーのほうはそんな才能ないですし、とはいえ音楽のほうも才能ではなく、これは僕に限らずですが、一つの物事にどれだけの熱量と時間をかけているか、ということだと思うんです。サッカーでは僕よりも才能のあるプレーヤーはいましたし、だから僕はキープアップできなかった。そういう意味では、その挫折で得たものを音楽活動に活かしている部分はあると思います。

ーー当時よく聴いていたアーティストの音楽はなんでしょうか。

(アメリカのブルースギタリスト)スティーヴィー・レイ・ヴォーンですね。他とは違う、一度音を聴いたら「あっ、スティーヴィーだ!」とわかる音の強さと、唯一無二の存在感が好きでした。(エリック)クラプトンや、ジミ・ヘンドリックスも好きでしたね。

アルバムを聴いて「未来を感じてほしい」

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ーーMIYAVIさんは9月14日が40歳のお誕生日ということで、おめでとうございます。

ありがとうございます。

ーーお誕生日の翌日、2021年9月15日に13枚目のアルバム『Imaginary』をリリースされるということで、30代最後の作品となりますね。仕上がった手応えから教えてください。

実は、このアルバムはもともと去年4月に発表した前作『Holy Nights』に続けてすぐリリースしようと思っていた作品なんですが、コロナでツアーなどが延期になり、やっぱり自分にとっては、こういった音楽作品ってライヴでオーディエンスの皆に届けてはじめて完成する部分もあるので、改めて2021年に発表することになりました。

前作は『世界に目を向けると世界は燃えている、この時代で何を歌えるのか、歌うべきなのか』というテーマで制作して、今作では『その後の世界、どんどん価値観がシフトしていく中で僕たちの新しい在り方、存在意義』をテーマに作りました。

今、このコロナ禍でこの時代に生きていて思うことは、『音楽家として何ができるのか』僕たち音楽家は少なからず影響力を持っていて、その力を持って作品を通じて、救える人がいるとしたら、少しでも未来への希望を持てるものを作りたい。僕たちの持つ想像力や創造性、これこそが未来へのキーなんじゃないかと。『Imaginary』というタイトルをつけたのも、未来を指し示すためです。

ーー昨年リリースするつもりだったということは、制作期間は長かったのですか。

はい、昨年の段階で作り上げていました。でもリリースするタイミングを延ばすとなって、そのまま一度冷凍保存したんです。やっぱり時代が変わると、言いたいことの温度感も変わってくるので。そして今年の2月ぐらいから制作を再開しました。

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ーー収録曲についてもいくつかうかがいます。2曲目「Imaginary (feat. Kimbra)」は9月1日に先行配信された楽曲で、アルバムのタイトル曲でもあります。もっとも今作を表す楽曲ということになるのでしょうか。

そうですね。Imaginary、想像力、イマジネーション、これこそが、僕たちの未来を切り拓いていくうえでの武器だと強く感じています。

1曲目「New Gravity」も、アルバムのタイトルにしようかなと思っていたくらいの曲で。新しい重力、既存のルールや在り方、自分たちが作ってきたもの自体が自分たちを縛り付ける重力そのものだったんじゃないかと。そこから解き放たれて、新しい価値観、新しい世界の中で、僕たちがどう飛べるのか、を歌っています。

ーー6曲目「Hush Hush (feat. Kang Daniel)」は韓国の男性アイドルグループのWanna Oneの元メンバーである、韓国の歌手、カン・ダニエルさんとの楽曲ですね。MIYAVIさんが、コラボのお声をかけたということですか。

そうです。コロナ禍での制作期間だったので、直接会わずにリモートで制作していって。会わずしても、こうしてつながって、完成できたのもご縁だと思います。自分だけでは出せない表現をしてくれたと思いますし、曲の世界観が広がったので、すごくうれしいです。

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ーー4曲目「Smells Like Teen Spirit」はニルヴァーナのカバー曲です。7曲目にもカバー曲はありますが、このニルヴァーナの曲を選んだ理由はなんでしょうか。

カラオケで得意なんで……というのは冗談ですが(笑)、やっぱり歴史を変えた楽曲ですから。同じギターミュージックとして、新しい解釈で挑ませていただきました。7曲目「Youth Of the Nation (feat. Troi Irons) 」(P.O.D.の「Youth of the Nation」カバー)は、ちょうどアメリカで学生運動が盛んになっていた時期に作りました。やはりいつの時代も未来を作るのは、若い世代。これもオリジナルと全然ニュアンスが違うし伝え方は違うけれど、現状を打破する、熱量の大きさという意味では負けていない曲になっています。

ーーすでにアルバムから先行配信された楽曲もありますし、みなさんの反響も楽しみですね。

そうですね、やっぱり、自信はありますよね。歌うべきことを歌っている自信はあるし。マイナーチェンジですけど、自分のなかでの成長というか。エクスプレッションの部分、表現力やコンポーズ能力は上がってきていると感じています

ーー9月30日から10月は、アメリカ合衆国とカナダで19都市をまわる北米ツアーを予定されていますね。現在の状況下ではライヴを行う際、大変なこともありませんか。

正直、コロナで先が見えないところもありますが、やるしかないですし、何よりやれることに感謝したいです。日本では、アルバム『Imaginary』のリリース前日が誕生日なので、節目を祝うバースデーライブをUSEN STUDIO COASTで開催します。そのあと、もうひとつ、京都の清水寺で新たなバーチャルライヴを行う予定で、その後に北米ツアーとなります。

ーー清水寺でのライヴは、配信されるのですか。

配信します。とくにオリンピックの開閉会式を観て強く思ったこともあったので、僕だったら、日本のライヴをこうしますよ、ということを表現したライヴになる予定です。日本から世界に対して、メッセージを発信します。

ーー日本から発信されるというのは、日本人としてもうれしいですね。

清水寺でロックするのは、初めてのことみたいです。何より神聖な場所ですし、僕たちも気を引き締めて臨みたいと思います。

「目の前にいる人たちに音楽を届けたい」

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ーー音楽活動以外では、2021年9月10日から配信されたデヴィッド・リーチ製作総指揮による、アメリカのアクションスリラーでNetflix映画の『KATE』にもご出演されていますね。日本人キャストとしては、他に浅野忠信さん、國村隼さんもご出演されています。

『KATE』は監督と出会って、オーディションを受けて、役柄がハマったというのもあって、参加させていただきました。タイで撮影しましたが、他の日本人のキャストの方とはシーンが別だったので、そんなに絡んでいないですね。作品自体は、初めてのガチアクションなので、面白かったです。なかなかギタリストで、アクションもやれる人はいないと思うし、こんな挑戦をさせてもらえること自体、とても光栄でした。

ーーその一方で、9月3日から配信された新しい音楽バラエティ番組、Amazon Prime Video「ザ・マスクド・シンガー」では、パネリストとしてご出演しています。全米で大ブームだった人気番組の日本版だそうですね。

この日本版は大泉洋さんがMCで、パネリストは他にPerfume、水原希子ちゃんたちも一緒に出演しています。マスクをかぶったパフォーマーが歌い競い合い、僕たちは誰もその正体を知らずに観るんですが、今回日本の曲がほとんどで、70〜90年代の邦楽の強さをあらためて感じました。NetflixやAmazon Prime Videoといった新しいメディアの台頭もあって、世界中で観ることができる。作品の作り方も変わってきていますよね。

こういったメディアを通じて、今この瞬間に地球の裏側の人にコンタクトできる。これは、文明のパワー。それを良い形で使うのか、そうじゃない形で使うのかは、僕たち次第だと思っています。

ーーではお仕事以外で、おうちにいる間はどのようにお過ごしですか。

キッズたちと遊ぶことが多いですね。生まれたばかりのベイビーもいるし。

ーーお子さんにはギターを教えることも?

ギターも教えますし、歌も一緒に歌います。皆でファミリーバンドもやります。夏はプールも行ったりキャンプに行ったりしました。いまは日本にいるので、できるだけ日本の文化を経験させてあげたいですね。ananwebをご覧の方のなかには、僕と同じようにお子さんがいる方もいるかもしれないですが、子を持つというのは、やっぱり大変だし、もう一度自分の人生をやり直すような不思議な感覚もあります。自分のDNAが入っている子どもたちの軌跡を見ながら、うまくガイドしていくのは大変だけど、自分たちもまた人として成熟していく、その過程だと感じます。

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ーーMIYAVIさんは日本だけでなく、海外でもご活躍されていますが、そのエネルギーの源はどこからきているのでしょうか。

うーん、どうだろう。小さいときから、人が驚いたり喜んだりする顔を見るのが好きなので、「ワオ!」という体験を共有したい、という思いからかなと。「ワオ!」を感じたときに、未来を感じる。人を喜ばせたくて、自分もエネルギーが湧いてくるのかもしれません。

ーーいろいろなお話をありがとうございました。では最後に、今後の抱負をお聞かせください。

9月のバースデーライブをやったあと、日本から世界に届けるプロジェクトにチャレンジします。それはきっと(VRを使用したリアルとバーチャルをつなぐパフォーマンスイベントの)「Virtual LIVE」の延長線上になるはず。そして、いよいよアメリカツアーがはじまります。

年内には、日本でもツアーをしたいですね。いまはライヴに行きたくても行けない方もいるじゃないですか。ライヴをやることだけが正解ではないと思うんです。だけど僕のやれることはやっぱり、目の前にいる人たちに音楽を届けること。なので、また早くライヴで皆に会いに行きたいですね。

取材後記

その志の高さで、ギタリストとしてはもちろん、俳優としても、ボーダーレスに国内外でご活躍されているMIYAVIさん。ananwebの取材では、未来を見据える力強い瞳が印象的でした。そんなMIYAVIさんのニューアルバムをみなさんも、ぜひチェックしてみてくださいね。


写真・山本嵩 取材、文・かわむらあみり
スタイリスト・櫻井賢之[casico]

<スパンコールセットアップ>ジャケット¥869,000、シャツ参考商品、パンツ¥385,000、ソックス参考商品、スニーカー参考商品/グッチ(グッチ ジャパン クライアントサービス 0120-99-2177)

MIYAVI PROFILE
1981年9月14日、大阪府生まれ。バンド活動を経て、2002年からソロ活動を開始。以降、コンスタントに作品を発表し、国内外でのライブも成功に収めている。2019年7月、アメリカのドジャースタジアムで行われた大リーグ始球式での国歌演奏で観客を魅了し、日本、アメリカで話題騒然となった。

アンジェリーナ・ジョリー監督映画『不屈の男 アンブロークン』(2016年日本公開)では俳優としてハリウッドデビューも果たした他、国内では『BLEACH』『ギャングース』(ともに2018年公開)、国外では『キングコング:髑髏島の巨神』(2017年日本公開)、『マレフィセント2』(2019年日米同時公開)などにも出演。

2020年6月、GUCCIがグローバルに展開する「Gucci Off the Grid」コレクションの広告に起用される。GUCCI創設以降、約100年の歴史のなかで広告に日本人の著名人が起用されるのは初の快挙となった。

2021年9月15日、アルバム『Imaginary』をリリース。
アルバム発売前夜の誕生日となる9月14日、バースデーライブを東京・STUDIO COASTにて、9月18日、京都・清水寺でライブを開催。

9月30日からは、カナダ・アルバータ州カルガリーを皮切りに、ロサンゼルス、ニューヨークを含む北米19都市を巡る、北米ツアー「MIYAVI North America Tour 2021」を行う。

Information

1点使用の場合【初回盤A】miyavi_H1_v02_0727_master_COL

New Release
『Imaginary』

(収録曲)
01.New Gravity
02.Imaginary (feat. Kimbra)
03.Warrior
04.Smells Like Teen Spirit
05.Living In Fire
06.Hush Hush (feat. Kang Daniel)
07.Youth Of the Nation (feat. Troi Irons)
08.I Swear
09.Are You With Me?
10.Dance With Me
11.Super Hero

2021年9月15日発売
*収録曲は全形態共通。

(通常盤)
TYCT-60176(CD)
¥3,080 (税込)

(完全生産限定盤A)
TYCT-69206(CD+DVD)
¥4,400 (税込)

(完全生産限定盤B)
TYCT-69207(CD+DVD)
¥4,400 (税込)

(UNIVERSAL MUSIC STORE 限定セット)
通常盤+Tシャツ
¥5,500(税込)
*サイズ:Lサイズ(ワンサイズのみ、身丈 73cm,身幅 55cm,肩幅 50cm,袖丈 22cm)。

MIYAVI HP
http://myv382tokyo.com/

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