「好きだけどしんどい…」年下彼氏を萎えさせた「24歳女性の無神経すぎる提案」

文・三松真由美 — 2023.11.23
現在大量発生中のレスなひとびと、いわゆる「レスびと」の相談内容を、TVや雑誌など多くの媒体で活躍中の、恋人・夫婦仲相談所所長の三松真由美さんにうかがいます。セックスレス、恋愛レスと、レスにもいろいろある。今回は、学生の彼氏との経済格差に悩む女性のお悩み。二人で海外旅行をするために親に援助してもらうことになり…。三松先生が、「愛とお金の問題」について教えてくれます!

香苗(24歳)、お金レスだけど海外旅行に行きたい! 親に出してもらってもいいよね

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【レスなひとびと】vol. 224


オフィス家具会社で派遣社員として働く香苗は、なぜか普通の会社員では手が届かないようなブランドのバッグを3つ持っている。

パパ活をしているわけではない。香苗は「実家の援助が多め」なのだ。実家は目黒。職場は渋谷。社会人になってからも「一人暮らしする意味がないから」と言って、実家から通っていた。

実家には生活費を入れていない。だってパパは会社の重役さんだから、入れる必要ないっしょ。
給料はすべてネイルやコスメや趣味につぎ込む。金欠になったらママにおねだり。ママもお買い物好きだから、一緒に銀座シックスや東急プラザに行けば、ほしいものを買ってくれる。

1つ年下、23歳の彼、啓介とは大学で出会った。交際をはじめて、かれこれ4年。啓介はまだ大学院生で一人暮らしをしているから、家計はカツカツだ。

外見は派手な香苗だけど、恋人は一緒にいて安心できる人が一番だと思っている。ハイブランド好きなチャラ男はNGというマイルール。ふだんは啓介に合わせておうちデートが多め。一緒に動画LIVEを観たり、動画観ながら料理をしたり。結婚してもずーっとこんなフワフワな夫婦でいたいなと夢を見る。今のままでじゅうぶん楽しかったけど…。

「でも、やっぱりたまにはパーッと遊びたい!」

というお嬢様欲が溢れてきた。高校までは家族でハワイ行ってたもの。

よって、交際4年記念にグアムへ旅行することを提案。
しかし、啓介にはお金がない。しかも香苗が選ぶホテルは、高級なところばかり。

香苗との電話中「1泊5万円なんて、僕には出せないよ」と啓介がこぼす。すると、スマホ越しの香苗は「大丈夫だよん。ママに言えば、啓介のぶんも出してくれる。あ、ねぇ、ママー!」と叫ぶ。

「ちょ!!!」

スマホの向こうで、早速話をつけようとする香苗に、啓介は急いでストップをかける。結婚しているわけでもないのに、パートナーの母親に旅行のお金を出してもらうなんてとんでもない。

数日後、香苗が啓介の家にやってきた。

「ママ、ホテル代出してくれるって。エアだけは自分たちで出しなさいって。一緒にネットで予約取っちゃお」

「マジかよ…。」
しぶしぶ顔でOKする啓介。
その日からだ。香苗の母からの干渉がはじまったのは。

今まで、香苗は啓介のことを詳しく親には話していなかった。
「カナちゃんが好きな人ならいいわ。はやく結婚して孫の顔を見せて」的な発想の親だと信じてた。

でも、旅行代金の一件でなんだか親達の態度が変わってきた。

なぜか香苗とママと啓介の3人のLINEグループができた。
そして、啓介さんはいつから働くのかとか、今大学で研究していることが将来に結びつくのかなどをLINEで聞いてくるように。

啓介の家でイチャイチャエッチの最中。香苗の母親からLINEがピコン。「今年、〇〇社が採用に力を入れているみたい。啓介さんにぴったりなんじゃない」とURLつき。啓介は、エッチに全然集中できなくて萎えてしまう。

「あのさ、香苗のことは好きだけど、正直、親が入り込んでくるとちょっとしんどい。旅行のお金もらうのも、惨めっていう気持ち、わかってくれよ」

そして、旅行はキャンセル。LINEから啓介が消滅した…。


【三松さんからのコメント】

実家住まいの皆さんも、一人暮らしの皆さんも、よーく考えてみましょう。
すねかじりのなにが悪いのか。親には経済的余裕があり、子を援助できるのを喜んでいる。子のほうも、親のお金で楽できる。
しかし、その関係の中で「精神的自立」ができるのか。

香苗さんが親の決めたとおりにしか動けず、経済以外の案件も親に頼っているのであれば心配です。香苗さんは仕事もあるし、彼を自分で見つけた。精神的には一応自立しています。両親同居も悪いことではありませぬ。

ただ、香苗さんがバッグを買ってもらうのと、彼の旅行代金を出してもらうのとでは話が違うのです。この本質に気づけないようではオトナではありません。

お金を出してもらう=意見されるのを許す…ってことにつながりませんか。株主が株持ってる会社に物申すのと似てないか。

香苗さんは、自分の親になにか言われても躊躇なく無視できるでしょう。でも、啓介さんは他人です。彼女の母親に意見されるとスルーはできないでしょう。オトナ対応をしなければならないと気づくお年頃。
「お金、出してもらえるならいいじゃん」というお気楽な判断が、啓介さんの大きなストレスになることに気づきましょう。

香苗さんも、彼のご両親に会って揉まれれば、オトナ対応の重要性が理解できると思います。結婚するのであれば、お相手一族のプライドなどおもんぱかり、結婚となってもうまくやってゆける関係に持ってゆきましょうね。姑問題がこじれるとそれはそれは泥沼です。

「彼と私の経済格差。そんなもん愛さえあれば乗り越えられるもーん! と思うなかれ。愛とお金は上手に付き合わないと問題必発します。ふかーく考える習慣を」


新刊『アンダー40 ―どうする結婚』 原作:三松真由美 画:こまだまこ(小学館)
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三松 真由美 
恋人・夫婦仲相談所所長・コラムニスト。バブル期直後にHanakoママと呼ばれる主婦の大規模ネットワークを構築。その後主婦マーケティング会社を経営。主婦モニター4万名を抱え、マーケティング・商品開発・主婦向けサイト運営に携わる。現在は夫婦仲、恋仲に悩む未婚既婚女性会員1万3千名を集め、「ニッポンの夫婦仲・結婚」を真剣に考えるコミュニティを展開。「セックスレス」「理想の結婚」「ED」のテーマを幅広く考察し、恋愛・夫婦仲コメンテーターとして活躍中。講演・テレビ出演多数。20代若者サークルも運営し、若い世代の恋とセックス観にも造詣が深い。コミック『「君とはもうできない」と言われまして』(kadokawa)好評発売中。ほか各人気コミック作家としても活躍中。


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