シャイな矢野聖人、クジラよりも女の子の扱いのほうが難しい!?
【イケメンで観る海外ドラマ&映画】vol. 19
力強い瞳で強い印象を残す、実力派俳優
舞台は、和歌山県南部に実在し、クジラの博物館として世界一のスケールを誇る『太地町立くじらの博物館』。クジラの飼育員・鯨井太一は来館数の減少に歯止めを掛けようと、スタッフ手作りによる「くじらまつり」を企画。しかし、古参スタッフたちとの確執、クジラの体調変化など、次々とトラブルに見舞われます。2010年に伝説の演出家・蜷川幸雄の舞台『身毒丸』で主演を務め、鮮烈なデビューを果たした矢野さん。本作では繊細な役作りで、太一の純粋な気持ちを表現しています。
ーー映画初主演が決まったときのお気持ちは?
矢野さん 舞台、TVドラマ、映画で主演するのは、僕が20代のうちに成し遂げたい目標でした。舞台とTVドラマの主演は経験していたので、残りひとつの夢を叶えることができ、嬉しかったです。
ーー実際に映画の主演をやってみて、いかがでしたか?
矢野さん 主演の気負いは全く感じませんでした。それよりも自分が練ってきた演技プランをこの作品に投じたいという気持ちで演じました。
ーー座長としてキャストやスタッフをまとめるために心掛けたことは?
矢野さん 僕は恥ずかしがりやで、自分からほかの出演者の方に「ご飯に行きましょう」と言えなくて(笑)。プロデューサーさんと一緒に、飼育員・白石唯役の武田梨奈さんや学芸員・間柴望美役の岡本玲さんらを誘い、みんなで焼肉を食べに行きました。
ーー意外です。イケメンさんですから、いつも躊躇せずに美人女優さんたちを誘ってお食事に行かれていると思っていました。
矢野さん いえいえ(笑)。普段は撮影中のご飯会ですら、あまり参加しないほどの恥ずかしがりやです。
ーーこの映画では、太一の純粋な気持ちが次第に伝わっていき、博物館のスタッフたちをまとめ上げていきます。今回、頑張ってご飯会を主催されたのは、その役作りも兼ねて?
矢野さん 太一のキャラクターとしては、それほど周りと仲良くなる必要はありませんでした。役作りのためではなく、シンプルに出演者の方々のことをよく知りたいと思ったので。撮影が忙しい時でも、なるべく接点を持つようにしていました。
ーー太一の役作りで行ったことは?
矢野さん 芝居の面では、声のトーンを上げ、喋り方を遅くしました。気持ちの面では、太一の天才ぶりや明るさが伝わるように心掛けました。撮影が進むと慣れが出てしまうので、声や喋り方が普段の自分に戻っていないか、監督に確認しながら演じました。
ーー撮影で印象に残っていることは?
矢野さん 撮影のため、和歌山に16日間滞在しましたが、僕は次のお仕事の兼ね合いで、撮影を終える日が決まっていたんです。天気が悪い日が続いて撮影ができないと「僕のせいかな」というプレッシャーを感じました(笑)。クジラの体調が変化するシーンを撮った日も雨風が強くて。出演者たちは雨合羽を着て、撮影を行いました。結果として、物語の状況に合った絵が撮れたと思っています。
ーー撮影中に台風が2回もやってきたそうですね。
矢野さん 照明のコードが破損したり、雨風の音が入ったりと大変でした。博物館がある場所は山に囲まれているため、風がとても強くて。クジラのショーのシーンでは、足を踏ん張って風に耐えながら演技をしました。天候が悪かったぶん、キャストやスタッフがよりいっそう集中して撮影に挑み、団結力が強まったと思います。
ーー矢野さん演じる太一が海に飛び込んだ後、クジラがジャンプするシーンがとても印象的でした。
矢野さん 水に濡れると髪の毛や衣装がびしょびしょになってしまうので、僕が飛び込むシーンは1回で撮りきらないといけなくて。クジラのジャンプのシーンは何回か撮っていますが、海に浮かんで待っている間に僕の体がどんどんまわってきて(笑)。態勢の維持が難しかったですね。
ーー恥ずかしながら、この映画を観て、クジラとイルカが生物学上同じであることを知りました。
矢野さん 僕も台本を読んで知りました。クジラがイルカと同じようにショーをすることにも驚きました。しかもクジラは個体によって、好きな食べ物や量が違うんです。この映画をやらなかったら、知り得ないことばかりで。僕は撮影がない日も調餌(ちょうじ/生き物に与えるえさを作ること)の練習を行い、博物館内を見学して、クジラのことを勉強していました。
ーークジラのトレーニング・シーンの苦労は?
矢野さん 手のサインは、撮影に入る前に三日間だけ練習をしました。最初は全然できなくて。三日目にはサインの種類を覚えて、なんとか形にすることができました。クジラとコミュニケーションを取ること自体はそんなに難しいことではなかったように思います。
ーー映画の見どころを教えてください。
矢野さん クジラが好きな方はもちろんのこと、クジラをよく知らない方でも楽しめる映画です。誰かに自分の夢を否定されたとしても真剣に頑張っていれば、誰かが夢を後押しをしてくれるというメッセージ性もあります。そういうところに注目して観ていただけると嬉しいです。
ーー20代の目標をすべて叶えた矢野さんの次の野望は?
矢野さん いつの日か、自分で脚本を書いて、映画を撮りたいと思っています。その夢を叶えるために、役者としてもっと努力をしていきたいです。
インタビューのこぼれ話
出演者同士のご飯会では、ラストオーダーの後、矢野さんがさりげなく席を立って全員分のお会計を済ませたとか。主演ならではの気遣いはさすが! ちなみにお会計した後、矢野さんのお財布には2千円しか残らなかったそう(笑)。
Information
『ボクはボク、クジラはクジラで、泳いでいる。』
イオンシネマ和歌山、ジストシネマ和歌山・南紀で公開中。11月3日(祝)より全国順次公開。
出演:矢野聖人、武田梨奈、岡本玲ほか
配給:キュリオスコープ
公式サイト:http://www.bokujira.com
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