佐々木蔵之介、宮世琉弥と語る困難の乗り越え方「逆にピンチを笑う」
佐々木蔵之介さん & 宮世琉弥さん
【映画、ときどき私】 vol. 639
本作では、普通の父親が娘に危害を加えようとした彼氏を殺してしまう衝撃の物語が描かれていますが、主人公の鳥栖哲雄を演じているのが佐々木さん。そして宮世さんは、哲雄を追いかける犯罪組織「間野会」に復讐を誓う“謎の男”大沢隼人として映画版から参戦しています。
今回は、現場での裏話や自分にとってのヒーロー、そして最近身に起きているピンチについて語っていただきました。
―本作で初共演となりましたが、ご一緒されてみていかがでしたか?
宮世さん 佐々木さんの背中がすごく大きかったので、こっそりといろんなことを吸収させていただきました。
佐々木さん そんなところあったかな?
宮世さん 現場での居方やスタッフさんへの対応、そしてお芝居への向き合い方など、細かいこともいろいろ学ばせていただきました。そのおかげで自分の引き出しもすごく増えたと感じています。
僕は普段から何でもメモするタイプで、電車で見かけた派手目の女性が携帯を使いにくそうにしてたら「爪が長いと打ちにくい」とかそんなことも書くほどなんですけど、そんなふうに現場でもたくさんメモさせていただきました。
最初から役者として芝居の話が自然とできていた
―すごいですね。ちなみに、佐々木さんに関してはどんなことをメモされていたのでしょうか。
宮世さん まずは、座長として引っ張っていってくださるところとか、ついていきたくなるような部分を書いていました。あとは、初対面でもボケたりツッコんでくださったりするほど、とにかく優しいところについてです。
佐々木さん それは、関西人だからかもしれないですね(笑)。
宮世さん 特に、僕は現場で一番年下ということもあってすごく緊張していましたが、そんなときにご飯にまで誘っていただいたので、それもすごくうれしかったです。
―佐々木さんから見た現場の宮世さんはどのような印象でしたか?
佐々木さん まず役の話をすると、大沢は過去に深い傷を負っていて影があるものの、ハツラツに登場してきて爆発力があるキャラクターなので、そこが面白いと思いました。敵なのか味方なのかわからない感じを宮世くんがうまく出していて、素晴らしかったです。
―打ち解けられた瞬間などもあったのでしょうか。
佐々木さん 最初から役者として芝居の話が自然とできていたので、すんなりいった感じだったかなと。
宮世さん ちなみに、初めてご一緒したシーンは水族館でしたが、セイウチが急に鳴き出して大変でしたよね!
佐々木さん そうそう。本番中、定期的にセイウチが鳴くんですよ。それを止めることができなかったので、セイウチで押しました(笑)。
宮世さん でも、そのおかげで佐々木さんと2ショット写真が撮れましたし、そこで距離が縮まった気がします。
途中からの参加でどの現場よりも緊張していた
―クランクアップのとき、佐々木さんは感極まって涙も見せていたそうですが、ご自身にとっても特別な役でしたか?
佐々木さん 殺人犯なのにヒーローで、正義なのか悪なのかわからないキャラクターなので、いままでやってきた役のなかでも楽しくてやりがいがありました。客観的に見たらホラーのようなことをしているのに、笑えるところもある。そういう多面的な部分も含めてすごく好きでした。
―とはいえ、精神的にも肉体的にもけっこう大変だったのではないかなと思うのですが。
佐々木さん みなさんに心配していただいたのですが、僕は普段から役に引きずられることはまったくありません。ただ、今回は血のりが多かったので、「お弁当が食べにくいな」とか「血が付いて嫌だな」とかそういうのはありましたけど(笑)。でも、現場は最高におもしろかったです。
―宮世さんは映画版からの参加となりましたが、今回のキャラクターを演じるうえで意識したことはありましたか?
宮世さん 僕は「間野会をつぶす!」ということだけに専念していたので、すべての行動はそこに向かっています。そのためなら何の手段も問わないという思いを心に入れてお芝居をしていました。
佐々木さん いやー、素晴らしいね。
宮世さん ただ、すでに出来上がっているチームに途中から参加ということで、クランクインのときはどの現場よりも緊張していたと思います。なるべく早くなじめるように、撮影の合間にはスタッフさんたちと話をしたりして、感覚をつかむように心がけていました。
自分たちのヒーローに支えられている
―本作には豪華な顔ぶれが揃っていますが、印象に残っている方がいれば教えてください。
佐々木さん 間野会の殺し屋を演じている音尾(琢真)くんですね。彼の演じる窪という役は一番人を殺していて最強なんですけど、あんな怖い顔して差し入れのドーナツを全種類食べるくらい甘い物が好きで「娘に持って帰りたい」と言っていて。あれだけ人を殺している役を演じている彼もやっぱり娘が大事なんだなと思いました(笑)。
宮世さん 本当にキュートな方で、娘さんを愛していますよね!
佐々木さん あと、間野会トップの津田(健次郎)さんもクセが強い役でしたね。でも、ご本人はものすごく優しい方です。
―では、おふたりにとって「ヒーロー」といえばどなたですか?
佐々木さん それは、観てくださるお客様です。不安なこともいろいろありますが、「よかったよ」とか「励まされました」と言っていただけると、こちらも力をいただけますし、本当に助けてもらっています。特に、舞台のときは一緒に作品を作っている感じがするので、僕にとって一番の原動力はお客様ですね。
宮世さん 僕は、家族です。家族がいなかったら、僕はいま生きていません。言葉でも支えられてきた部分が大きいので、その恩返しをしたいという意味でもこういった活動をしています。なので、僕にとっては“マイファミリーヒーロー”です。
ピンチのときは、考え方を変える
―劇中の哲雄は、自分の得意分野を駆使してさまざまなピンチを乗り越えていきますが、おふたりがピンチに見舞われたときの解決法などがあれば教えてください。
佐々木さん 僕の場合は、「逆にピンチを笑う」かな。それは「このピンチめっちゃキツイやん」とか「こんなのありえへんで!」とか言いながら消化していくイメージです。というのも、ギリギリの状態でやっていると力を発揮できませんからね。考え方を変えて、あえて笑いにしています。
―ということは、ピンチに追い込まれるのも意外と嫌いではない?
佐々木さん いや、嫌いですよ(笑)。できれば避けて通りたいです。
―ですよね。宮世さんはいかがですか?
宮世さん 僕は言葉と距離を置くようにしています。弱音を吐きそうになったら、その言葉と距離を取って、自分をその状況に置かないようにする。疲れたときは、そういう意識を持つようにしています。
―なるほど。ちなみに、最近ピンチだったことはありますか?
佐々木さん 実は、昨日めちゃくちゃピンチでした。というのも、2月からXとインスタを開設したんですが、まだ何もわかってないのにいきなりインスタライブをしたんです。
宮世さん えっ!? それはかなりハードルが高いですね!
佐々木さん でも、そのハードルの高さもわかってないんですよ(笑)。
宮世さん 僕はインスタを学ぶまでにけっこう時間がかかったほうですが、インスタライブなんて1発目にするものではないので逆にすごいです。
佐々木さん そうでしょ! 僕もそう思う(笑)。ボタンがどこにあるかもわからないし、いろいろハプニングもあったので、ずっとピンチでした。
まさにいま絶体絶命のピンチを迎えている
―それは最初から大変でしたね。
宮世さん ちなみに、僕はいま財布をなくしていてピンチです。なので、頭のなかの5割は財布のことを考えています(笑)。
佐々木さん どういうこと?
宮世さん 朝起きたときに「そういえば最近財布見てないな」と思って、家を探したらなくて。ご飯屋さんに連絡してもなくて…ピンチです(笑)。一昨日まではあったんですけど。買い物はスマホでしていたので全然気が付きませんでした。
佐々木さん それは絶体絶命やね。
―まさかのおふたりともピンチの真っ只中とは…。ちなみに、いまだから相手に聞いてみたいこととか相談したいことはありますか?
佐々木さん やっぱりインスタのことを相談したいですね(笑)。どういうふうにしたらいいか全然わかっていないので。
宮世さん 続けるのは難しいですよね。以前ご飯に行ったときに、お酒の作り方とか選び方とか、いまの日本酒業界で起きていることなど、お酒の話をたくさん聞かせていただいたので、僕は佐々木さんからもっといろいろな世界を学びたいなと思っています。
佐々木さん そういえば、前回はまだ未成年で飲めなかったんだよね。じゃあ、ちょっと飲みに行きますか。
宮世さん やった!
佐々木さん そしたら、飲みながらインスタを教えてもらおうかな(笑)。
悩めるときは思いっきり悩んだらいい
―楽しそうですね。それでは最後に、ananweb読者にメッセージをお願いします。
宮世さん まずはシンプルに「がんばれ!」のひと言ですね。というのも、僕自身もTHE BLUE HEARTSさんの「人にやさしく」という曲の「がんばれ」という言葉に支えられている部分があるので。
大変になることもありますけど、そういうときは「どうしてこの仕事に就いたのか」とか、自分が活動している意味についてもう一度思い出しながら初心に返るようにしています。
佐々木さん 僕が20歳くらいのときは、そんなこと考えたこともないのにすごいね。20代や30代の頃は日々苦しいこともいろいろあると思いますが、大いに悩めばいいと思います。悩むことは決して損ではないですし、後から考えたら大丈夫なことばかりですから。なので、絶対に開けてくると己を信じて過ごしてほしいです。
僕自身もみなさんの年代のときは困難も多かったですが、その経験で基礎体力は身についたと思います。悩めるときは思いっきり悩んだらいいんじゃないかなと。そういう時期も悪いことではないので、安心してお酒でも飲んでください(笑)。
インタビューを終えてみて…。
年齢差を超えた仲の良さを見せる佐々木さんと宮世さん。劇中では行動をともにする役どころということもあり、お互いへの信頼感も伝わってきました。ぜひ、おふたりの関係とそれぞれどのような戦いを繰り広げるのかにも注目してください。
最後まで息つく間もなくノンストップ!
二転三転する展開から片時も目が離せない本作。緊張感が最高潮に達したクライマックスで迎える想像を超えたラストはお見逃しなく。
写真・園山友基(佐々木蔵之介、宮世琉弥) 取材、文・志村昌美
佐々木蔵之介 ヘアメイク・晋一朗(IKEDAYA TOKYO) スタイリスト・勝見宜人(Koa Hole inc.)
宮世琉弥 ヘアメイク・礒野亜加梨 スタイリスト・徳永貴士(SOT)
ストーリー
愛する家族を守るため、娘の彼氏を殺してしまった父・鳥栖哲雄。命がけで何とか罪を隠し通してきたが、それから7年後、山中に埋めた死体が発見されてしまう。捜査に乗り出す警察と、死体とともに消えた10億円を探す半グレ犯罪組織が哲雄に襲い掛かる。
さらに、再び標的&容疑者になった哲雄にある秘密を知る男・大沢も接触してくるのだった。そして、父の罪を知らずに刑事になった娘は、事件の真相に迫っていくことに…。
続きが気になる予告編はこちら!
作品情報
『映画 マイホームヒーロー』
3月8日(金)全国ロードショー
配給:ワーナー・ブラザース映画
https://wwws.warnerbros.co.jp/mhh-moviejp/
(C)2024 映画「マイホームヒーロー」製作委員会