眼福すぎます! 皇室のお宝をイッキ見できる「日本の美」満載の展覧会
どんな展覧会?
特別展『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』展示風景
【女子的アートナビ】vol. 258
特別展『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』では、宮内庁三の丸尚蔵館が収蔵する皇室の名品に、東京藝術大学のコレクションを加えた82件の日本美術を展示。代々日本の文化を育て、保護してきた皇室に伝わるお宝をまとめて見ることができる大変貴重な機会です。
三の丸尚蔵館とは、宮内庁が管理する博物館。もともとは皇室に受け継がれてきた美術品を天皇家が国にご寄贈されたことがきっかけとなって設立された博物館で、現在約9,800点の作品を収蔵しています。
また、会場となっている東京藝術大学大学美術館も、美術教育に関する「参考品」として集めたコレクションを収蔵。現在約3万件のコレクションを持つ美術館です。
日本美術の世界へ…
特別展『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』展示風景
では、実際に展示の様子をご紹介していきます。
「序章 美の玉手箱を開けましょう」では、まず明治時代に皇居内でつくられた《菊蒔絵螺鈿棚》(宮内庁三の丸尚蔵館蔵、通期展示)がお出迎え。当時の宮内省と東京美術学校(現・東京藝術大学)が共同で制作した作品から、本展の展示がはじまります。
また、東京美術学校の創立にもかかわった岡倉天心が教えた日本美術史の講義ノート(東京藝術大学蔵、通期展示)も展示。東京藝術大学で日本美術史の講義を受けるような気持ちで鑑賞をはじめられます。
ミニ解説がありがたい…!
「1章 文字からはじまる日本の美」では、国宝の《絵因果経(えいんがきょう)》(東京藝術大学蔵、通期展示〈場面替えあり〉)をはじめ、数々の貴重な文書が登場。
《絵因果経》とは、上半分に絵、下半分にお経が書かれている絵巻で、内容はお釈迦様の伝記のようなものです。展示されているのは奈良時代のものですが、絵の色彩が鮮やかで、楷書の文字も大変美しいです。
また、平安時代の優れた書家である藤原佐理や小野道風、藤原行成の「三跡」による書も見ることができます。
ちなみに、「三跡」ってなんだっけ? と思った人でも大丈夫です。本展では、ところどころに「ミニ解説」が提示されているので、歴史や日本美術が苦手な方でも安心して楽しめます。
有名な《鮭》もあります!
特別展『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』展示風景
「2章 人と物語の共演」では、源氏物語や伊勢物語が描かれた屏風や、国宝の《蒙古襲来絵詞》(宮内庁三の丸尚蔵館蔵、通期展示〈巻替えあり〉)など見ごたえある作品が登場。
日本の四季や貴族たちの華やかな装い、武士たちの甲冑など、当時の人々の様子が絵師たちによって見事に描き出されています。
右:高橋由一《鮭》(重要文化財)明治10年頃 東京藝術大学蔵 通期展示、左:葛飾北斎《西瓜図》江戸時代 天保10年 宮内庁三の丸尚蔵館蔵(※《西瓜図》は8月28日まで展示。現在は展示されていません)
続く「3章 生き物わくわく」も見どころ満載。8月30日からはじまっている後期展示では、江戸時代の絵師・伊藤若冲の代表作で国宝の《動植綵絵》(宮内庁三の丸尚蔵館蔵)が10幅同時に展示されています。
また、教科書で一度は見たことのある重要文化財《鮭》もこの章にあります。画家の高橋由一は、日本における油絵の基礎をつくった人。それまでの日本画にはなかったリアルで生々しい鮭の描写は、当時の人々を大変驚かせたそうです。高橋由一は、日常にありふれている身近なものを描き、洋画の普及を目指しました。
特別展『日本美術をひも解く―皇室、美の玉手箱』展示風景
最後の「4章 風景に心を寄せる」では、明治期の洋画や工芸品などを展示。1900年のパリ万博に出品するために制作された並河靖之の《七宝四季花鳥図花瓶》(宮内庁三の丸尚蔵館蔵、通期展示)など、豊かな自然や風景をテーマにした作品を堪能できます。
奈良から昭和時代までの「日本の美」を一気に見られる眼福の展覧会は、9月25日まで開催されています。皇室に受け継がれてきた名品や優品を、ぜひ味わってみてください。
Information
会期 :~9月25日(日)
休館日 :月曜日(ただし、9月19 日は開館)
※会期中、作品の展示替えおよび巻替えがあります
会場 :東京藝術大学大学美術館
開館時間 :午前10時~午後5時、9月の金・土曜日は午後7時30分まで開館
※入館は閉館の30分前まで
※最新情報などの詳細は展覧会公式HPをご覧ください
観覧料 :一般 ¥2,000、大学・高校生 ¥1,200、中学生以下無料