志村 昌美

『バーフバリ』に続く大ヒット作が誕生!バジュランギおじさんって何者?

2019.1.25
1月も後半に入り、すっかり元の生活に戻ったものの長い休みのあとは、なかなかやる気が出ないもの。そこで、そんなときにぴったりの心を元気にしてくれる笑いあり涙ありのオススメ映画をご紹介します。それは……。

インド発『バジュランギおじさんと、小さな迷子』!

【映画、ときどき私】 vol. 211

パキスタンの小さな村で生まれた少女シャヒーダーは、幼い頃から声が出すことができなかった。そんな娘を心配した母親に連れられ、ある日インドのイスラム寺院へと願掛けに行くことに。ところが、帰り道で母親とバラバラになり、ひとりでインドに取り残されてしまうのだった。

そんなシャヒーダーが街中で出会ったのは、ヒンドゥー教の熱烈な信者でお人好しのインド人青年パワン。母親とはぐれた少女を預かることにするが、シャヒーダーがパキスタン人のイスラム教徒だとわかり、事態は一変する。しかし、パワンはシャヒーダーを家まで送り届けることを決意するのだった。はたしてパスポートもビザもない2人は、無事に母親の元にたどり着けるのか……。

近年、『バーフバリ』シリーズが日本でも大ヒットし、大きな話題となりましたが、その影響でインド映画に親近感が湧いている人も多いはず。そんななか、お気に入りのインド映画リストにぜひ付け加えてもらいたいのが、全世界で150億円に迫る興行収入を記録している本作です。

『ダンガル きっと、つよくなる』『バーフバリ 王の凱旋』に次いで、インド映画として世界興行成績歴代3位をキープしているほどの人気ぶりですが、今回はオススメポイントをご紹介していきたいと思います。

その1:キャストがとにかく魅力的!

バジュランギとはパワンが信仰している猿の神ハヌマーンの別名であり、パワンの愛称。そんなバジュランギおじさんを演じているのは、ボリウッド映画界でもっとも人気と影響力があると言われているスター俳優サルマン・カーンです。

鍛え上げられた厚い胸板と精悍な顔立ちが印象的ですが、バカが付くほどの正直者で憎めないパワンを好演しています。華麗なダンスも披露しており、圧巻のシーンは必見! 思わず一緒に踊り出したくなるはずです。

そして、もうひとりはシャヒーダーを演じた6歳のハルシャーリー・マルホートラちゃん。オーディションで5000人のなかから選ばれたというだけあって、声を出さずに表情だけで演じるという難しい役どころも見事にこなしていますが、天使のような笑顔には誰もが虜に。悶絶級のかわいさは、まさに“天性の子役”と言うにふさわしいほどです。そのほかにも、笑いを誘う個性豊かなキャラクターが次々と登場するので、そちらもお見逃しなく。

その2:異文化にも触れることができる!

インドとパキスタンといえば、約70年前に分離独立して以降、長年にわたってお互いに確執を抱えている国同士。

ヒンドゥー教とイスラム教という異なる宗教も対立の原因とされており、劇中でも宗教に関するさまざまな描写もありますが、日本にいるとなかなか知ることができないことだけに、映画を通じて異文化の実態に触れることができるのも見どころのひとつです。

インドとパキスタンの関係性や宗教間での食文化の違いなど、少しでも知識があると、それぞれのシーンに込められた裏側をより理解することもできます。

たとえば、一見シャヒーダーがただチキンを食べているように見えるシーンでも、それによってベジタリアンのパワンにとっては自分と階級が違うことを示していたりするので、そんなふうにいままでとは違う視点にもぜひ注目してみてください。

とはいえ、詳しい歴史的背景を知らなくてもこの作品は純粋に楽しむことができるようにもなっているので、ご心配なく!

その3:まっすぐな思いに涙と感動が止まらない!

本作ではシャヒーダーを助けたいというその一心に突き動かされるパワンの姿が描かれていますが、彼が持つ無償の愛と他人に対する深い思いやりは、文化や宗教の違いに関わらず誰にでも伝わるもの。そして、憎しみに支配されている人々の心を溶かすことができるのは、神さまよりも人を思う温かい気持ちなのです。

人と人との関係が希薄になりつつある現代だからこそ、いまの私たちに必要なのは、すべての垣根を超えてしまう“バジュランギおじさん精神”。損得や歴史にとらわれないパワンとシャヒーダーの強い絆に、人間が本来持っている優しさや愛情の重みを感じるはず。劇場を出たあとは、いつもより他人に優しくなれる自分に生まれ変わってるかも。

心も踊る予告編はこちら!

作品情報

『バジュランギおじさんと、小さな迷子』
新宿ピカデリー他全国順次公開中
配給:SPACEBOX
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http://bajrangi.jp/