不動産会社の経営者が教える【タワマンNGポイント】知らずに購入すると後悔する!

取材、文・髙倉ゆこ — 2024.1.27 — Page 1/2
物件探しの際、知っておくと助かるトピックをご紹介。『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)の著者でもあり、5000人超の女性たちの「幸せになれる家選び」をサポートしてきた「ことり不動産」代表の石岡茜さんに、実際に住んでみてわかる「選んではいけないNG物件」について教えてもらいました。今回のテーマは、タワマン(タワーマンション)のデメリットについて。参考にして物件選びにお役立てください!
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タワマンで見過ごしがちなポイントは?

――いつか住んでみたいとタワーマンション(以下タワマン)に憧れている人も多いと思います。初歩的な質問ですが、タワマンとはどのように定義されたマンションなのでしょうか?

石岡 一般的にタワマンとは20階以上、高さ60mを超える超高層マンションのこと。建物の構造上の安全性が基準に達しているか、安全に避難できるか、耐火性能があるかなど、建築基準法に定められた項目を満たし、国土交通省の認定を受けた建物のことを指します。

――なるほど。それでは石岡さんが思うタワマンの魅力やメリットとは?

石岡 まずは眺望と日当たりの良さでしょうね。もちろん立地や周辺環境、暮らす部屋の階数にもよりますが、高層マンションならではの開放的な景色(夜景)は、低層マンションや一戸建て住宅では味わえない魅力だと思います。周辺に遮るものがない場合、ほとんどの部屋で日当たりがいいのも特長です。

また戸数が多いので管理費や修繕積立金が貯まりやすく、サービスが充実しているのも高ポイント。たとえば共用設備として、プールやスポーツジム、自習室、パーティールーム、バー、スカイラウンジ、シアタールーム、キッズルームなどが完備されている物件もあり、住人であれば無料、もしくはリーズナブルに使用できます。

エントランスにコンシェルジュが常駐している物件では、「宅配便やクリーニング、タクシーの手配など生活のフォローをしてもらえて便利」「いつも誰かがいてくれることで安心感が湧く」といった声を聞くことも多いですね。

――セキュリティ面はいかがでしょうか?

石岡 コンシェルジュがいる物件では、訪問先に確認してからでないと通してもらえないなどセキュリティ強化がはかられていることが多いです。またエントランスのオートロックはもちろん、エレベーター内でも鍵を差し込まなければ操作できない(訪問階にしか止まらない場合も)など、ダブルオートロックを採用しているタワマンもあります。

なかには、エレベーターホールに入るためにもオートロックを解除しなければならないトリプルオートロックの物件もあり、防犯対策がしっかりしているのがタワマンのメリットと言えそうです。

他にも「各フロアにゴミステーションがあるので便利」「害虫に悩まされることが少ない」「立地がよい物件が多く、資産価値が保ちやすい」といった長所が挙げられます。

――「タマワン高層階の住人が低層階の住人にマウントをとる」などという噂を聞くこともありますが。

石岡 なかには、ドラマか漫画のように悪趣味な人もいるのかもしれませんが…(笑)。私の周囲では、そういった話はほとんど聞きません。高層階行きと低層階行きのエレベーターを分けているタワマンも多いので、日常的に高層階と低層階の住人が接する機会は少ないはず。そこはあまり気にしなくていいポイントだと思います。

――なるほど。それでは、住んでみてわかるタワマンの不便さや注意点など「知っておくべきNGポイント」を教えていただけますか?

NG1 ベランダに洗濯物が干せない

タワマンでは多くの場合、ベランダに洗濯物や布団を干すことが禁止されています。

落下することで起こる事故を防ぐといった安全面への配慮はもちろん、生活感が出て外観を損ねてしまうことを防止するためにこうしたルールが設けられているのです。

基本的には室内干しするか乾燥機を使用して乾かすことになります。そのため、低層マンションや一戸建てと比べて光熱費がかさむといったデメリットがあることを覚えておきましょう。

NG2 地震の揺れが長く続く

タワマンのような超高層建物は、上階ほど揺れが大きくなる傾向にあります。

とくに地震が発生した際の長周期地震動(揺れが一往復するのにかかる時間が長く、大きな揺れのこと)によって、長時間にわたって揺れ続けることがあるのです。その結果、家具などが倒れて壊れてしまう恐れも。

また地震が収まって建物の揺れが停止しても、ずっと揺れている(乗り物酔いのような)感覚が続く人もいますし、普段でも建物が揺れているような(めまいに似た)感覚になる人もいます。そのような可能性があることを、覚えておいてほしいです。

NG3 南向きの部屋は暑すぎる

低層マンションや一戸建て住宅では、一般的に南向きの物件が人気です。ですが、タワマンの場合、高層階になればなるほど日差しの影響を受けやすくなるため、一概に南向きがいいとはいえません。

冬場に暖かいのはメリットですが問題は夏場です。近年、40度に近い猛暑日も増え、しかも暑い時期が長くなっています。灼熱の太陽が差し込むことで室温が上昇し、蒸し風呂のような状態になった部屋では快適に過ごせないですよね。

暑さに関してはエアコンを使用することで解決できますが、高額の光熱費がかかる他、家具、床、壁などが日焼けによって劣化しやすくなってしまうというデメリットも生じてしまいます。

このためタワマン住民のなかには、あえて南向きではなく他の方角を選ぶ人も多いのです。候補の物件がある場合は、夏場と冬場の日当たりや、時間ごとの室温などついてもリサーチしておくと安心です。

なお、断熱性に優れた高性能サッシや窓ガラスなどを配した最新の物件は室温が快適に保たれる傾向にあります。その分、価格は上がりますが、比較検討してほしいです。

NG4 防音性が低い物件がある

築年数の古いタワマン住人のなかには、「隣の部屋の音が気になる」というかたがいます。

暮らしてみて初めて「子どもが走り回る音がうるさい」「隣にパリピが住んでいて日常的に騒いでいる」といった騒音に気づくパターンがあるのです。

その理由のひとつに、タワマンならではの壁の構造が挙げられます。

超高層建築物の場合、軽量化を意識して造られています。そのためタワマンは中低層マンションの多くが採用する一般的なコンクリート壁ではなく、コンクリートよりも比重の軽い軽量気泡コンクリートの外壁と「乾式壁」が使用されているのです。

「乾式壁」とは、鉄骨を組んだ中に吸音材を充てんし、石膏ボードで挟んだ軽量な壁のこと。ちなみにこの「乾式壁」は、鉄筋コンクリートと比べて密度が低いため、音が透過しやすい、つまりは防音性が低い傾向にあります。

最近では技術の進歩により、防音性の高い乾式壁が採用されている物件も多いのですが、築年数の古い物件の場合は要注意です。
騒音トラブルに悩まされないためにも内見の際は音についても確認したり、不動産会社に問い合わせてみたりすることをおすすめします。

今回はデメリットについて紹介しましたが、やはりタワマンは眺望のよさや共用部分の充実度から、海外のかたにも人気が高いです。賃貸に出してもすぐに借り手がつくなど、メリットも多いので、メリットとデメリットの両方を知った上で選んでください。

Information

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<教えてくれた人>
石岡茜さん。2013年に「女性のための不動産会社を作りたい」と、東京・学芸大学に「ことり不動産」を設立。女性ならではの細やかな視点と「幸せな家選び」をモットーに、物件選びをサポートしている。宅地建物取引士。著書に『持ち家女子はじめます』(飛鳥新社)がある。現在、TV CMを放送中。YouTube「ことり不動産TV CM」でも視聴可能。
https://www.youtube.com/watch?v=r_CAWia41ow

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取材、文・髙倉ゆこ


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