夫が背負っていた衝撃の過去… 33歳妻が頭を抱えた「夫の子育てに非協力的な理由」【後編】
夫が背負っていた衝撃の過去… 子育てに非協力的な理由が明らかに
探偵に何度調査を依頼しても夫の不倫の証拠は出てこず、どうすればいいのか悩みあぐねていた紗英さん。
しかし、あるとき「このままではだめだ」と思い立ち、いつになく真剣な表情で「なぜ子どもの面倒を見てくれないのか」と夫に問い詰めました。
すると、最初は黙っていた夫も、しばらくすると「実は…」と理由を話し始めたのです。
「夫は『僕は子どもが苦手で、子どもの顔を見るとイライラしてしまうことがある。けど、授かった以上は可愛がりたい。しかし、どんなに努力をしても子どもが苦手なのは変わらず、我が子に対してもどう接していいのかわからない。僕自身も苦しんでいる』という話をしてきました。
“子どもが苦手”というのは私も薄々感じていたので驚きませんでしたが、夫がそこまで我が子との接し方に悩んでいたというのは、そのときに初めて知りましたね。
そして、そこまで苦しんでいる夫に対して、無理に『育児をして』というのも残酷な気がして、余計にどうしたらいいのかわからなくなってしまったのです…」
夫の話を聞いて黙り込んでしまった紗英さんに対し、夫は幼少期の頃の経験も話し出したそう。
「夫の両親は早くに離婚していたため、夫に父親の記憶はなく、母親が女手一つで育ててくれたとのことでした。また、兄弟はおらず、親戚のなかで一番自分が年下だったこともあり、子どもと接する機会がほとんどなかったのだとか。
そういった背景もあり、子どもとの接し方がわからず、次第に子どもに対して苦手意識を抱くようになったそう。しかし、それも父親になれば変わると思っていたものの、変わらず、苦しんでいたそうです」
さらに夫と今後について話していくうちに、紗英さんはある決断をすることにしました。
「私は最初、そこまで思い詰めなくてもいいのでは…と思っていました。ただ、そのときにじっくりと話し合いをした結果、私と夫の間で子どもとの関わり方に対する価値観に大きな違いがあることを知ったんです。それと同時に、このままでは家族のだれかが常に我慢を強いられる人生になってしまうと思いましたね。
その日すぐには結論を出しませんでしたが、それから数か月“今後の家族のかたち”について悩み続けました。そして最終的に、私たちは“離婚”という選択をしたのです」
円満に離婚。離れてからのほうが良好な関係に
紗英さんが離婚を提案すると、夫もそれを了承したそう。子育てには今後もふたりで携わっていくという条件で、離婚を成立させました。
「意外なことに、離婚してからのほうが元夫は子どものことを可愛がってくれているんです。子どもの親権は私にあるので、元夫とは月に1回、短い時間を過ごすだけ。ですが、一緒に住んでいたときは笑顔なんて見せなかった夫が、今では子どもと楽しそうに遊んでくれています。
おそらくですが、子どもと接する時間が限られるようになったことで、夫の肩の荷が少しおりたんでしょうね。離婚を決めるまでは悩みましたが、結婚していたときよりも夫と良好な関係が維持できているので、今となっては満足しています」
夫婦や親子のかたちは、ひとつではありません。どんな選択をするにしても、当人たちが納得してこれまでよりも幸せを実感できる環境を整えることが大事なのかもしれません。
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