“奥様の病状は”… 家族崩壊寸前の30代夫婦の出した最終決断とは【後編】
仲のいい友だち夫婦を見て…
「夫は育児を手伝わないどころか、家のことを何もしてくれませんでした。私は、仕事で育休をもらっていたのですが、とうてい復帰などできない状態で、そのまま退職することに。アットホームで居心地のいい職場だったので、とても残念でした。
子どもが1歳を迎えた頃、仲の良かった友だちが出産をしたんですね。それで、子どもを連れて家に遊びに行ったんです。友だち夫婦は仲が良く、育児や家事を分担して、できるだけストレスを溜め込まないようにしているのだと。
旦那さんがオムツを変えている姿を見て、とても羨ましく思いました。私は夫がオムツを変えているところなど見たことがありませんでしたから」
すべてを投げ出したい気持ちに
「帰りの電車の中で、友だち家族の姿を思い出し、突然虚しさが頭の中を支配しはじめて…。このまま子どもとどこかへ行ってしまいたい。何もかも考えられないほど、落ち込んでしまいました。
その日からです。妙に胸がざわつき、不安に駆られるような感覚に常に襲われるようになりました。外に出るのがイヤになり、家事をするのも億劫。すべてを投げ出したい気持ちになりました。
母親に相談すると、病院に行くことを勧められました。そこで心療内科を受診したところ、“うつ病”だと診断されました」
入院で家を空けることに
「先生から入院を勧められました。ただ、まだ小さい子どもを置いて入院などできないと泣きながら母に訴えました。育児をまったくしない夫に任せられるはずがありません。
でも、私自身もう精神的に限界でした。正直に夫に病状を伝え、入院を許可してもらいました。入院期間は3か月。その間、家を空けることになったんです。
私の母が、家に泊まり込みで来てくれて、子どもの面倒を見てくれることに。今までまったく家事や育児に関わってこなかった夫もさすがに動き出し、母と協力して、家を守ってくれているようでした」
2人で出した決断は…
「入院して3か月後、退院して家に戻ると、夫は今までの様子が嘘のように、穏やかになっていました。子どもをひざにのせながらご飯をあげている姿を見たときは、嬉しくて胸が熱くなりましたね。
私が家に戻ったとき、土下座して泣きながら今までの態度を謝ってきました。自分で初めて子育てをして、その大変さを身に染みて理解したようです。
ただ、私も長い時間をかけて心が蝕まれていたので、すぐに元の状態に戻るのは難しかったんです。このまま3人で幸せに暮らしました…とはなりませんでした。
夫と相談した結果、私は子どもを連れて実家で暮らすことに。別居という選択をしたのです。完全に回復して、いつか子どもと一緒に家に戻れたらいいなと思います」
非協力的な夫に苦しめられ“ワンオペ育児に追われた妻の告白”をご紹介しました。
妻がいなくなって、ようやく家事や育児の大変さが分かったんですね。ですが、大切な人が倒れてから気づくのでは本来遅いです。日々夫婦でしっかりコミュニケーションを取って、お互いの立場を尊重し合えるような関係でありたいですね。
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