【総研神社部】伊勢「おかげ参り」とは? 神嘗祭の見学レポ!

写真・大内カオリ 文・三谷真美 PR・神社本庁 — 2023.12.11〔PR〕
3年目を迎えたanan総研の「総研神社部」が、2023年も活動! 新メンバーが加わり、「神宮大麻(じんぐうたいま)」のことや、伊勢神宮のお祭りの中でもっとも重要とされている「神嘗祭(かんなめさい)」について、全3回にわたって深掘りします。第2回となる今回は、五穀豊穣の感謝祭である「神嘗祭」を実際に見るべく、「伊勢神宮」へ総研神社部の2名が訪れます。

「神嘗祭」を見学するために伊勢神宮へ!

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左から、齊藤彩さん(anan総研No.76)、岩根沙恵子さん(anan総研No.304)。

「神嘗祭(かんなめさい)」についてもっと詳しく知りたい! と、anan総研神社部を代表して、初期から神社部に参加している齊藤彩さんと、新人メンバーの岩根沙恵子さんが、三重県に鎮座する伊勢神宮へ行きました。

前回記事:【総研神社部】伊勢神宮でもっとも重要なお祭り「神嘗祭」って?


日本人の総氏神をおまつりする「伊勢神宮」

伊勢志摩国立公園の中に位置する「伊勢神宮」は、全国の神様の中心であり、日本人の総氏神として仰がれる天照大御神(あまてらすおおみかみ)をおまつりしています。「伊勢神宮」や「お伊勢さま」と称されますが、正式名称は「神宮」です。

天照大御神をおまつりする皇大神宮(こうたいじんぐう)・内宮(ないくう)と、天照大御神のお食事をつかさどる、豊受大御神(とようけのおおみかみ)をおまつりする豊受大神宮(とようけだいじんぐう)・外宮(げくう)と、その別宮(べつぐう)、摂社(せっしゃ)・末社(まっしゃ)および所管社(しょかんしゃ)、計125社の総称です。


伊勢神宮でもっとも重要とされるお祭り「神嘗祭」

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「神嘗祭(かんなめさい)」とは、毎年10月に行われる五穀豊穣の感謝祭のこと。伊勢神宮で年間1500回程行われるお祭りの中で、もっとも重要なお祭りとされています。

お祭りでは、その年の最初に収穫した稲穂である「初穂(はつほ)」を天照大御神にお供えし、「由貴大御饌の儀(ゆきのおおみけのぎ)」と「奉幣の儀(ほうへいのぎ)」を中心に、興玉神祭(おきたまのかみさい)や御卜(みうら)、御神楽(みかぐら)などの諸祭を執り行います。


神宮参事・音羽悟さんに案内してもらいました!

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今回お話を伺ったのは、神宮司庁広報室次長である、神宮参事・音羽悟さん。外宮を案内してもらいながら、総研神社部の2人の疑問に答えてくれました。

音羽さん 「神嘗祭」は、天皇陛下の御使いである勅使(ちょくし)が参向して行われる「奉幣の儀(ほうへいのぎ)」と、それに先立つ前夜に二度(宵と暁)行われる「由貴大御饌の儀(ゆきのおおみけのぎ)」を中心とするお祭りです。

齊藤 いつから始まったお祭りなんですか?

音羽さん 「神嘗祭」は、天照大御神が天上の高天原で「新穀」(しんこく)を食したという神話に由来しています。明治時代初期までは、9月17日に行なわれていました。


「奉幣の儀(ほうへいのぎ)」とは?

音羽さん 正午に、幣帛(へいはく)という五色の布や織物などを、天皇陛下の使いである勅使が奉納される「奉幣の儀」が行われます。お祭りでは秋の実りに感謝申し上げ、皇室の弥栄や五穀の豊穣、国家の隆昌、並びに国民の平安を祈願します。そして、午後6時には御神楽が行われます。

岩根 「奉幣の儀」は、私たち国民にとってどんな意味があるのでしょうか?

音羽さん 「奉幣の儀」は、天皇陛下が国家の安泰、国民の安寧を祈るために行われます。「国安かれ、民安かれ」との天皇陛下の祈りを国民も共有するとともに、祈りと感謝を捧げましょう。

「神嘗祭」に合わせて、伊勢神宮では装束や祭の器具を一新するため「神嘗正月(かんなめしょうがつ)」とも呼ばれています。伊勢の人々は、伊勢神宮の「神嘗祭」を迎えるまでは新穀を食さないなど、1年の節目としても考えられています。

「神宮大麻(じんぐうたいま)」をはじめとするお神札は、1年に1度新しくお取替えする習わしですが、お正月だけでなく、この「神嘗祭」を節目としてお取替えする考え方もあります。

齊藤 今まで、お神札はお正月に新しくするものだと思っていたから、「神嘗正月」を1年の切り替えとする考え方もあることに驚きました!


「由貴大御饌(ゆきのおおみけ)」とは?

音羽さん 「奉幣の儀」に先立つ前夜に、「由貴夕大御饌(ゆきのゆうべのおおみけ)」と「由貴朝大御饌(ゆきのあしたのおおみけ)」を午後10時と午前2時の二度にわたって執り行い、その年に神宮神田(じんぐうしんでん)で清浄に栽培された新穀の御飯・御餅・神酒を始め、海の幸、山の幸をお供えします。

齊藤 伊勢神宮でお米が作られているのですか?

音羽さん はい。伊勢神宮では、お米のほかにも、酒、干鯛(ひだい)、熨斗鰒(のしあわび)、野菜、果物、塩などのお供え物が、昔ながらの製法で清浄を期し、自前で生産されています。日々の神様のお食事にも、ここまで気を配るのは、天皇陛下の御祖先にあたる最も尊い神様がまつられている「伊勢神宮」ならではのことです。


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岩根 伊勢神宮のお祭りは、外宮から内宮の順で行われる「外宮先祭(げくうせんさい)」が習わしなのは、どうしてですか?

音羽さん 古い書物では、天照大御神が「祭典を行なう際は、豊受大御神の外宮を先に。そのあとで私に奉(たてまつ)るように」と告げたとされています。また、豊受大御神は天照大御神のお食事をつかさどる神様なので、内宮の祭儀に先だってお食事を奉るとも言われています。

祭典の順序にならい、参拝も外宮から内宮の順にお参りするのが習わしです。それだけでなく、以前は全国から歩いて参拝に来ていたため、地理的な関係で、外宮からお参りをしていたことも理由のひとつかと思います。

齊藤 江戸時代、「伊勢神宮」への参拝は人々の生涯かけての願いだったんですよね。

音羽さん そうですね。「伊勢神宮」の御利益を得ようと、江戸時代には約60年に一度、お伊勢参り(おかげ参り)が大流行するという現象がありました。そして、内宮の鳥居前町であったおはらい町には、明治初期まで御師(おんし)と呼ばれる、参拝・宿泊などの世話をする人たちの館が立ち並び、活気にあふれていました。

ですが明治以降、御師制度が廃止されたことや自動車での参拝者が増えたことなどから、おはらい町は徐々に活気を失っていき、この状況を危惧した地元の会社、株式会社赤福さんが、おはらい町に伊勢路の伝統的な街並みを再現しようと開業したのが「おかげ横丁」です。今でも、当時の雰囲気を感じるとともに、当時から人気だったとされる伊勢グルメを堪能できますよ。


おかげ参りを学ぶために、「おかげ横丁」へ行ってみよう!

岩根 今もなお、伝統を受け継いで「神嘗祭」を行なっているんだね。それだけ、天照大御神への祈りや感謝の大切さが伝わってくるよう…。交通手段が整っていなかった当時の人々にとって、おかげ参りにはどんな意味や想いが込められていたんだろう?

齊藤 実際に「おかげ横丁」 へ行って、当時の様子や人々の想いについて調べてみよう!

伊勢神宮でもっとも重要なお祭りとされている「神嘗祭」を実際に奉拝した2人。次回は、おかげ参りの頃の風情を今に残す「おかげ横丁」 へ行き、当時の面影を深掘りします!


取材協力:神宮司庁


「神宮大麻」は、どこで受けられるの?

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「神宮大麻(じんぐうたいま)」とは、全国の神さまの中心であり日本人の総氏神として仰がれる、伊勢神宮の神様・天照大御神(あまてらすおおみかみ)の力を宿し、「自宅でもまつることができるように」と奉製されたお神札のこと。

「神宮大麻」は、神職がいる日本全国の神社で受けることができますが例外もあります。

毎年、新しい「神宮大麻」を受けると共に、地域をお守りくださる氏神様や、崇敬する神社のお神札を一緒に神棚におまつりして、ご家庭の一年の無事と幸せを祈るのが、日本の習わしとなっているので、「神宮大麻」は、氏神神社や崇敬神社で受けるといいでしょう。

氏神神社は、居住地の神社庁(東京都なら東京都神社庁)に電話をして住所を伝えると、知ることができます。昔の区割りで分かれているため自分では判断しにくいので、ぜひ一度問い合わせてみてください。

神宮大麻について 詳しくはコチラ